2021.06.07

杖の合わせ方と選び方のポイント

最終更新日:2022.01.31
遠藤 和優
介護職員初任者研修、福祉用具専門相談員、住環境コーディネータ2級

家族を自宅で介護していると、杖が必要になることがあります。特に、加齢や疾病によって足腰の筋力が衰えてくると、自分の足で歩くことはできても、足元が不安定になったり転倒が心配になったりします。そこで今回は、加齢や疾病で歩行が不安定な人をサポートする介護用品のひとつ、杖の種類や選び方について、適正な長さや購入方法と併せてご紹介します。

杖を選ぶ際のポイント

高齢者

杖には、身体を支え歩行の安定をサポートすることや、足腰への負担を軽減する役割があります。また杖を使用することで、助けを借りずに自分の脚で歩けるという自信とともに、出かけようという意欲が高まることにつながります。杖の種類としては、折りたたみできるものや長さが調節できるもの、杖の脚の支点が1点のT字杖や2点〜4点の多脚杖などがあります。杖を選ぶ際は、使用する人の身体状況や使用する目的に合ったものはもちろんのこと、使いやすさや身体に負担のかかりにくいものを選ぶことがポイントです。

ポイント①身体状況や目的に合ったものを選ぶ

使用する人の身体状況や使用する目的に合わせたものを選びます。初めて杖を使用する人には、強度と軽さを兼ね備えたアルミ製で、長さの調節が可能な伸縮杖、また旅行や出かけることが多い人には、コンパクトに折りたたんで持ち歩ける折りたたみ杖がおすすめです。さらに、筋力が低下した人には、歩行訓練や屋内での立ち上がりを安定したサポートをしてくれる多脚杖がおすすめです。

ポイント②身体に負担がかかりにくい扱いやすいものを選ぶ

重量のあるものは、腕や手に負担がかかるだけでなく、安定した立位を保つことができずバランスを崩しやすいです。またグリップが握りやすいものを選びます。杖によってグリップの素材や形状、サイズなどが異なり、使用する人によって使いやすさが変わります。実際に握ってみて、負担がかかりにくく扱いやすいものを選びます。

杖の適正な長さ

高齢者
杖を使用する際は、身長に合わせた適正な長さに杖を調節することが重要です。杖が使用する人の身長に合っていないと、正しい歩行の姿勢を取ることができず身体に負担をかけるとともに、転倒や骨折などの事故につながります。

身体に合った杖の長さ

杖の長さは、足の小指の外側15cmのところに杖を突いた際、肘関節が約30度~40度の角度になる長さにします。その際、力を抜いて手を下に伸ばした状態で、床から手首までの長さを測ります。さらに身長から身体に合わせた適正な長さを「身長÷2+3」の計算式で簡単に求めることもできます。杖の長さの目安は、女性なら75~80cmくらい、男性は80cm台です。同じ身長でも使用感が異なるため、実際に試すことをおすすめします。

背の曲がった方に合った杖の長さ

背の曲がった方は、手首の高さや腰の高さで合わせると、杖が長すぎてしまうので、身長で合わせます。無理がない程度に軽く背を伸ばし、一度腕を下におろしてから、肘を曲げやすい高さに上げます。その際、手から地面までの長さが身体に合った杖の長さです。なお腰の曲がりが重度の場合は、医師や理学療法士など専門家に相談することが大切です。

杖の主要メーカー

手
杖を取り扱っている主要メーカーをご紹介します。各メーカーから軽くて握りやすく、ライフスタイルに合わせて選べるものが販売されています。

シナノ

シナノは、登山杖や介護杖などを扱う杖専門のメーカーです。スキーのポールのトップブランドとして磨いてきた、身体を支える技術が特徴で、使いやすくて安全な出かけることが楽しくなる杖を販売しています。グリップ部分に採用されるスリムネックは、使用する人の快適さを追求し、細くてもしっかり握ることができるものになっています。握力の弱い人でも扱いやすく、歩行の際の指の痛みを軽減してくれるため、長時間使用する場合にも安心です。シャフト部分は、スキー用のポールにも採用されているアルミ合金のため、軽量かつ強度が高く、過酷な環境にも耐えることができます。握り心地の良い高性能のグリップ杖や安定性がある多点杖、携帯に便利な折りたたみ杖や伸縮機能付きの長さ調節式の杖などがあります。

幸和製作所

幸和製作所は、幅広い福祉用具と介護用品を扱う総合メーカーです。生活のお世話だけでなく心まで豊かになるよう、心のお世話をしたいとの思いを込めた「Tacaof(テイコブ)」というブランド名で、歩行車や杖、入浴補助用具などを販売しています。また、つい手に取りたくなるような風格やこだわりが備わった福祉用具をとの思いを込めた「GENTIL MARRONE(ジェンティルマローネ)」というブランド名でも歩行車や杖を販売しています。

種類は豊富で、調節ボタンで長さを段階的に調節できる伸縮杖や携帯に便利な折りたたみ伸縮杖、シンプルで高級感のある頑丈な作りの一本杖や安定感があり歩行訓練や屋内の立ち上がりの補助に最適な多脚杖などがあります。また、フルカーボンで軽い素材のものや女性向きの可愛らしい柄のもの、幅広い身長の人にも対応可能な、最大14段の高さ調節ができるものなどもあります。

島製作所

島製作所は、シルバーカーや歩行車などを扱う福祉用具メーカーです。歩くことの幸せを感じていただくために、一本で毎日を安全に快適に過ごせる杖を販売しています。おしゃれなデザインで、日々の移動をしっかりサポートする伸縮型や一本型の杖、コンパクトに収納できる折りたたみの杖や安定感抜群の四点式杖などがあります。また、杖の足ゴムを取り替えたり、好みの杖にカスタマイズしたりといったオプションも可能です。

竹虎

竹虎は、医療や福祉、健康分野の幅広い商品を扱う総合メーカーです。健康な暮らしを、安全で安心な商品で支えたいとの思いを込めた杖を販売しています。医療分野現場で主に使用する松葉杖をはじめ、手に吸い付くようなシリコングリップ杖や、右手にも左手にもフィットするカーブ状のグリップが特徴のバンブー杖、ツートンカラーのおしゃれなデザインとクッション付きのグリップが特徴のヒューゴ杖、12段階の高さ調節と接地面積が広く安定性があるヒューゴ杖オフセット多点杖があります。特にヒューゴ杖オフセット多点杖は、脚の部分がコンパクトながら地面をしっかりと捉えてくれるうえ、屋外での使用も邪魔になりにくいため便利です。

フジホーム

フジホームは、杖やステッキなどを扱う介護用品メーカーです。自分の脚で歩けなくなる前の早い段階から、活動的になったり良い姿勢になったり、転倒を防げるというプラスのイメージを持っていただけるような杖を販売しています。海外デザイナーとコラボしたおしゃれなデザインの杖や、本革の高級感と順手でも逆手でも安定して握れるグリップ形状の杖、四つの支点および三つの支点により濡れた路面や傾斜面でも滑りにくい外出用多点杖などがあります。また、シンプルで男性でも持ちやすい杖や腕でしっかりと支える杖、立ち上がりをサポートする杖などもあり、家庭や外出先で幅広く活用できます。

フランスベッド

フランスベッドは、ベッドやマットレスを中心に幅広い福祉用具や介護用品も扱うメーカーです。アクティブシニアと呼ばれる人や障害を抱えている人が、健康に気を遣い、毎日をより活動的に楽しく快適にとも思いを込めた「RehaTech(リハテック)というブランド名で、歩行器や杖販売しています。おしゃれなデザインで傘にもなる杖や使い込むほど魅力を増す木製の杖などがあります。また、軽量で持ち運びしやすい杖や筋力が落ちた女性も使用しやすい杖もあります。

杖の購入方法

杖

杖は、ドラッグストアをはじめ大手スーパーやデパートの介護用品売り場、ホームセンターや病院、福祉用具販売店などで購入できます。杖を初めて購入する人は、アドバイスやフィッティングサービスがあるお店ですと選びやすいです。また豊富なデザインや大きさの杖があるお店ですと、身体と好みに合った杖がより選べやすいです。杖のサイズがわかっている場合は、ネット通販も活用できます。家族が介護しながら買い物に行くのが大変な場合は、ネット通販が便利です。ご紹介した主要メーカーは、比較しやすく品揃えも豊富で、ネット通販にも対応しています。近くのお店に品揃えが少ないなどでお困りの際は、ネット通販を活用してみてはいかがでしょうか。

まとめ

そこで今回は、加齢や疾病で歩行が不安定な人をサポートする介護用品のひとつ、杖の種類や選び方について、適正な長さや購入方法と併せてご紹介しました。杖は、身体を支え歩行の安定をサポートしたり足腰への負担を軽減したりするために、工夫が施されています。杖を使用する人の身体状況や目的に合わせたものはもちろん、おしゃれなものを選ぶことで、出かけることが楽しくなりますので、日々の生活に杖を取り入れてみましょう。

遠藤 和優
介護職員初任者研修、福祉用具専門相談員、住環境コーディネータ2級
福祉用具貸与事業所に勤務し、住み慣れたご自宅での在宅生活を安全・快適に過ごしていただけることをミッションとして福祉用具・住宅改修を通して携わる。
現在は、お客様のお悩みやご相談を受け、福祉用具だけではなく様々な介護保険サービスの説明やご案内を介護相談センター相談員として取り組んでいる。