2021.10.05

地域包括支援センターとは|利用方法や相談事例を紹介

最終更新日:2021.10.05

地域包括支援センターとは?

地域包括支援センターとは

高齢者の暮らしをサポートするための施設が、地域包括支援センターです。高齢になると、体力の衰えや病気などにより、これまでと同様の暮らしを送りにくくなります。そのため、介護や医療、福祉の力で高齢者の暮らしをサポートしてあげなくてはならないのです。地域包括支援センターは、2005年ごろから設置が始まりました。2005年といえば、介護保険制度の見直しが行われた年です。地域における包括ケアの中核機関として設置されたのが始まりです。地域包括支援センターの目的は、高齢者が住み慣れた土地で問題なく暮らせるよう、多角的なサポートを行うことです。地域が一体となり、生活支援や介護、予防などのサービスを提供して高齢者を支えます。なお、地域包括支援センターはNPOや民間企業、社会福祉協議会などが、自治体から委託される形で運営しているケースがほとんどです。

地域包括支援センターの役割

support
高齢者やその家族、介護者などを対象とした総合相談窓口が地域包括支援センターです。高齢になると身体機能が低下し、これまでと同じような日常生活を送れなくなるケースが珍しくありません。このような方たちを対象に、介護や保険、医療、福祉などの観点からサポートするために地域包括支援センターは存在します。具体的には、日常生活支援や介護予防サービス、保険福祉サービスなどに関する相談を受け付けています。介護保険を使いたい、日常生活が困難になったなど、さまざまな相談が地域包括支援センターには寄せられているのです。また、介護保険の申請窓口として機能しているのも特徴です。介護保険を申請するにはいくつかの段階を踏む必要があり、複雑で難しいと感じる方も少なくありません。地域包括支援センターでは、そのような方に対しても丁寧にサポートをしてくれます。

3種類の専門家

地域包括支援センターでは、専門性の高い相談に対応しなければならないケースが多々あります。そのため、保健師や社会福祉士、主任ケアマネージャーが専門性を活かしながら業務を遂行しています。

保健師

介護予防マネジメントを担当しているのは保健師です。保健師は、看護師資格を有する専門職ですが、業務内容は看護師と大きく異なります。看護師は、ケガや病気をした人の治療をサポートすることが仕事ですが、保健師は生活指導やアドバイスを行うことが主な業務です。介護予防事業プランの作成、身体状況の悪化防止などにも務めます。

社会福祉士

総合相談や支援事業を担当するのは社会福祉士です。介護のプロフェッショナルであり、地域包括支援センターでも主に高齢者からの相談へ対応するのは社会福祉士です。高齢者の権利擁護、虐待の早期発見、防止にも務めます。

主任ケアマネージャー

主任ケアマネージャーは、高齢者に対する包括的、継続的マネジメントを行うことが業務です。ケアマネージャーから相談を受け、適時アドバイスをしたり、地域ケア会議の開催をしたりといった業務も受け持ちます。

このように、地域包括支援センターにはそれぞれの専門分野に特化したスペシャリストが在籍しています。それぞれの専門性を活かし、うまく連携をとりながら高齢者のサポートへつなげているのです。

相談事例

高齢者
ここでは、実際に地域包括支援センターへ寄せられたいくつかの相談事例をご紹介します。

80歳のある高齢女性は、体力や足腰の衰えを実感しているものの、それなりに日常生活は送れていました。あるとき、部屋の蛍光灯が切れてしまいましたが、自分で交換できないため娘に連絡したのですが、娘さんも仕事が忙しく帰省できなかったそうです。そこで地域包括支援センターに相談し、相談員が女性の自宅を訪れました。女性の自宅は蛍光灯が切れているだけでなく、ゴミも散乱し大変な状況だったそうです。相談員は訪問介護の生活援助を受けるよう提案し、ゴミ収集のサービスを受けられるよう調整しました。

ある男性は、近所に住む高齢男性と久しぶりに街中で会い声をかけたものの、認知症だと思われる症状が確認できました。着ている服もパジャマで、男性のことを誰だかわからない様子だったとのことです。そこで、この男性は地域包括支援センターへ連絡し、認知症の疑いがあると相談しました。その後、地域包括支援センターの相談員が自宅を訪問し、家族とも協議した結果介護サービスを利用する運びとなりました。

ある高齢女性は、玄関先で転倒してしまい骨折し、リハビリを経て退院したものの、日常生活を送ることが困難となりました。家族はいるものの離れた場所で暮らしているため、女性は地域包括支援センターへ相談しました。その後、相談員から介護保険でデイサービスの利用を提案してもらい、申請する流れになったそうです。

地域包括支援センターの利用方法

クローバー
地域包括支援センターを利用できるのは、対象地域で暮らしている65歳以上の高齢者、またはその支援者や家族などです。親が離れた場所で暮らしているケースでは、親が住んでいる地域の地域包括支援センターに相談しなければなりません。なお、地域包括支援センターは各エリアの中学校区域に設置されています。地域包括支援センターの窓口へ相談するのは無料です。相談すること自体には費用が発生しませんが、紹介されたサービスを利用するときは別であるため注意しましょう。また、地域包括支援センターは全国に5,000近く施設が設置されており、インターネットから簡単に検索できます。インターネット接続できるパソコンやスマホがあれば、最寄りの地域包括支援センターも見つけられます。

地域包括支援センターと地域包括ケアシステム

地域包括支援センターと地域包括ケアシステム

少子高齢化が著しく進む日本では、2025年以降ますます医療や介護のニーズが高まると考えられています。そのため、厚生労働省は高齢者が住み慣れた土地で安心して暮らせるよう、地域包括ケアシステムの構築を打ち出しました。その地域で暮らす高齢者を、住民みんなでサポートしようとする取り組みです。また、今後は認知症を患う高齢者がさらに増えるとも考えられているため、地域包括ケアシステムの推進は急務と考えられています。その地域包括ケアシステムの中核をなす重要な施設こそ、地域包括支援センターなのです。

気軽に相談してみよう

地域包括支援センター

地域包括支援センターは、高齢者やその家族を支えるための施設です。介護を受けようと考えている方、高齢家族のことについて相談したい、といった方に対応してくれるため、気になった方は気軽に相談をしてみましょう。まずは最寄りの地域包括支援センターを検索し、窓口で相談してください。

増田 高茂
社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者
多くの介護事業所の管理者を歴任。小規模多機能・夜間対応型訪問介護などの立ち上げに携わり、特定施設やサ高住の施設長も務めた。社会保険労務士試験にも合格し、介護保険をはじめ社会保険全般に専門知識を有する。現在は、介護保険のコンプライアンス部門の責任者として、活躍中。