2021.08.27

介護タクシーとは?|実際の料金や使い方を説明

最終更新日:2021.08.27

介護タクシーとは、介護が必要な方や体が不自由な方の外出を支援するものです。こちらの記事では、介護タクシーの種類や利用方法、料金について解説していきます。通院や買い物などの移動にお困りの方、ご家族を介護している方はぜひ参考にしてください。

介護タクシーとは

介護タクシー

介護タクシーは、車いすのための専用リフトやスロープがついた車両です。介護タクシーの内容は、介護保険適用の有無によって異なります。介護保険適用外のタクシーは、対象者や利用者に特別な制限はありません。介護保険を使いたい場合は、要介護1~5の方に対象者が限定されるため注意が必要です。趣味や娯楽目的にも利用できないため、まずはそれぞれの違いについて確認していきましょう。

介護保険適用内で利用できる介護タクシー

保険適用となる介護タクシーは、訪問介護サービスのひとつとして実施されます。そのため、対象者やサービス内容に一定の制限があるのが特徴です。運転手は介護士資格を有した者に限られ、身体介助を受けられることもポイントです。必要に応じ、着替えや排泄介助といった移動前後の介助も可能となります。

対象者

対象者は、要介護1から5に認定された方に限られます。要支援1または2の方は、介護保険で介護タクシーを利用することはできません。あくまでも、「ひとりでは外出できず、介助が必要な方」を支援するサービスであるため、以下の点が重要なポイントとなります。

● 要介護1から5の認定を受けている方(要支援の方は利用不可)
● 自宅または有料老人ホーム、ケアハウス、サービス付き高齢者住宅などで暮らす方
● 公共交通機関の利用がひとりでは困難な方

例えば、要介護1であったとしても、ひとりでバスや電車での移動が可能な方は、保険利用の適用外となります。自分がサービスの対象となるかどうかは、ケアマネジャーに確認するのがおすすめです。利用目的も、以下のような項目に限られています。

● 選挙投票や生活に必要な届出
● 受診やリハビリを目的とした通院
● 本人の同行が必要なメガネや補聴器などの買い物
● キャッシュコーナーや銀行での預金の引き下ろし

趣味の買い物や旅行など、プライベートな用件には利用できないため注意しましょう。

サービス内容

介護タクシーのサービスは、訪問介護サービスの「通院等のための乗車または降車の介助」の内容に沿って提供されます。通院で利用する際の大きな流れは、以下のとおりです。

1. 着替えや排泄の介助
2. 車までの移動および乗降介助
3. 病院までの移動
4. 病院での乗降介助
5. 受付対応
6. 会計および薬の受け取り
7. 自宅までの移動
8. 乗降および室内までの移動介助
9. 排泄介助

ここであげたサービス内容は、あくまでも一例です。実際は、本人の身体状況や環境をふまえ、ケアマネジャーと相談しながら決定していきます。

実際の利用料金

介護タクシーの料金は、「運賃」、「介助費用」、「器材利用料」の3つの項目で構成されています。

「運賃」

運賃は、一般タクシーと同等に設定されることが多い項目です。そのため、地域によって金額が異なります。時間ごと、または距離ごとによって金額が設定されているのが特徴です。

「介助費用」

利用者さんの体に、直接触れる必要のある介助のサービス費です。事業者によって設定費用が異なるため、選択時のポイントのひとつとなります。

「器材利用料」

器材利用料は、移動に必要な介護機器のレンタル費です。車の移動に適した、リクライニング式の車いすをレンタルできることもあります。

以下は、3つの費用の大まかな目安となるものです。利用料金の大まかな合算額は、2kmあたり1,500円~4,000円程度と考えられます。実際に利用する際には、ケアマネジャーとともに料金をよく確認しましょう。

運賃
時間制運賃 例)30分ごとに1,000円~3,000円
距離制運賃 初乗り1.5km:750円
以降242mごとに90円

 

介護サービス費
乗降介助 例)無料~1,000円
室内介助 例)500円~1,000円

 

器材利用料
車いす 例)無料~500円
リクライニング式車いす 例)1,000円~2,000円
ストレッチャー 例)1,000円~3,000円

利用の流れ

対象条件である要介護1から5と認定されるには、認定審査を受けなくてはいけません。そのため、まずは市区町村の担当窓口に申請する必要があります。介護認定を受ければ、介護タクシーに限らず、さまざまなサービスを保険内で利用可能です。要介護状態の前段階である要支援認定を受けた場合も、介護予防のためのサービスを利用できます。認定度合いは必ずしも希望通りにいくものではありませんが、介護が必要だと思われる状態になったときには、介護認定の申請を検討してみましょう。すでに要介護認定を受け、担当ケアマネジャーがいるという場合は、ケアプランに介護タクシーの利用を組み込みます。サービスごとの費用は事業者によって異なるため、事業者の選択はケアマネジャーに相談するのがおすすめです。

利用時の注意点

介護保険を使って介護タクシーを利用するうえで、注意したいのが以下の3つの点です。

1. 利用者さんのご家族は同乗不可
2. 運転手は病院内の介助はできない
3. 介助が多くなるとサービス内容が変更になる

1つめの「利用者さんのご家族は同乗不可」という点は、通院に同行したいと思っているご家族にとっては大きな問題です。ご家族は、利用者さんとは別の方法で病院へ向かわなければいけないことになります。不便なようにも思えますが、介護サービスはあくまでも利用者さん本人を支援するためのものです。ご家族が同行できる場合は、公共交通機関や介護保険適用外のタクシーの利用を検討しましょう。

病院内での介助もお願いしたいと思っているときには、2つめに挙げた点にも注意しなくてはいけません。運転手は、利用者さんと診察の順番待ちをしたり、病院内で排泄介助をしたりできないのです。特別な事情がある場合は例外が認められることもあるため、必要に応じ、ケアマネジャーに相談してみましょう。

さらに、運転手の介護負担が大きい場合は、3つめに挙げたサービス内容の変更が考えられます。通院の乗降の介助ではなく、身体介護や生活援助サービスが適しているとみなされるからです。サービス内容が変更されると、単位数とともに、利用料も変わってくるため注意しましょう。

介護保険外で利用できる介護タクシー

介護保険外の介護タクシーは、対象者やサービス内容に制限がないことが特徴です。全額自己負担ではありますが、介護保険適用タクシーでは対応できない部分をカバーできます。

対象者

介護保険外の介護タクシーは、介護度に限らずどなたでも利用できます。要支援認定の方はもちろん、要介護認定を受けていない高齢者も利用可能です。また、利用者さん以外の人が同乗できることも大きなポイントです。家族や友人と一緒に外出したいときにも、利便性の高い移動手段となります。

サービス内容

介護保険外のタクシーは、以下のような幅広い用途に利用できます。

● 趣味や習い事、旅行などに出かけるため
● 日用品以外の買い物や理美容へ行くため
● 冠婚葬祭へ出席するため
● 病院の入退院や転院で一時的に利用するため

ただし、運転手は介護士資格を有していない場合もあります。そのため、身体介助が必要な方は注意が必要です。特に、同行者がいないときはサービス内容をよく確認しておきましょう。

実際の利用料金

介護保険適用外の介護タクシーの多くは、一般的なタクシーと同等の料金設定となっています。地域によって料金の幅はあるものの、2kmあたり800円~1,000円程度と考えるとよいでしょう。事業者によっては、時間制の貸し切り運賃を設けている場合もあります。

活動範囲を広げよう

介護タクシーは、介護が必要な方の活動範囲を広げてくれるサービスです。介護資格を有した運転手のタクシーであれば、移動以外の介助サービスも利用できます。介護保険外のタクシーは、ニーズに応じた活用が可能です。「身体が不自由だから」と外出を控えていた方やそのご家族も、新たな楽しみを見出せる可能性があります。サービス内容や料金をご自分の状況と照らし合わせ、必要と思われる介護タクシーを検討していきましょう。

増田 高茂
社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者
多くの介護事業所の管理者を歴任。小規模多機能・夜間対応型訪問介護などの立ち上げに携わり、特定施設やサ高住の施設長も務めた。社会保険労務士試験にも合格し、介護保険をはじめ社会保険全般に専門知識を有する。現在は、介護保険のコンプライアンス部門の責任者として、活躍中。