2021.05.17

働きながら介護する方に知ってほしい介護休暇・介護休業

最終更新日:2021.05.17

家族や親族を介護する必要が生じたとき、職場に介護休暇や介護休業を申請できることがあります。介護休暇と介護休業は何が異なるのか、どのような場面で取得できるのかについて見ていきましょう。また、介護休業中には「雇用保険の介護休業給付」を受給できます。受給の条件や金額についても紹介するのでぜひ参考にしてください。

「介護休暇」と「介護休業」の違い

ケアマネジャー

介護休暇は、通院の付き添いやケアマネジャーとの話し合いなど単発で介護のための休みを取得する場合で、長期的あるいはまとまった日数の休みの取得は介護休業です。それぞれどの程度の休みがとれるのか、また、休み中の給与や保険給付について詳しく解説します。

介護休暇とは?

介護休暇とは、介護により1日あるいは数時間会社に行けないときに申請する休暇です。休む当日でも申請可能なので、急に介護や付き添いが必要になった場合でも利用できます。

取得可能な休暇日数

介護休暇は、介護を必要とする家族が1人の場合は年に5日まで取得することが可能です。この場合の1年とは、就労規則などで特別な規定がない限り4月1日から翌年3月31日のことを指します。介護を必要とする家族が複数の場合は、年に10日まで取得可能です。労使協定で時間単位での介護休暇の取得が認められていない場合を除いて、時間単位でも取得できるので、「付き添い時間だけ」「施設に送迎するだけ」といった短時間のときは何度かに分けて取得することも検討できます。例えば1日8時間勤務の方ならば、合計40時間まで介護休暇を取得可能です。必要なときに必要な休暇を取得できるように計画的に利用しましょう。

介護休暇中の給与は支払われる?

介護休暇中は給料は原則として支払われません。しかし、会社によっては有給となることもありますので、事前に調べておくといいでしょう。また、雇用保険による給付もないため、場合にもよりますが、介護休暇ではなく休んだ当日も給与が支給される「有給休暇」を先に使うことも検討できます。

介護休暇を利用するための条件

介護休暇を利用できるのは、介護の対象となる方が要介護状態で、なおかつ、親か祖父母、兄弟姉妹、子、孫、配偶者、配偶者の父母のいずれかである場合のみです。ただし、入社後6か月未満の労働者、あるいは1週間の勤務日数が少ない労働者は申請できないことがあります。事業所によって異なるので、確認しておきましょう。

介護休暇の申請方法

介護休暇の申請は、書面に限定されていません。口頭での申請も可能なので、急なときもスムーズに申請できます。なお、書面に関しては事業所ごとにルールが定められていることがあります。後日提出することができる場合もあるので、事前に申請方法も確認するようにしましょう。

介護休暇のメリット・デメリット

介護休暇は時間単位あるいは日単位で取得できます。また、書類を記入できないときは口頭での申請が可能な点もメリットと言えるでしょう。しかし、原則として給与や保険給付の適用はないため、所得が減る可能性があります。有給休暇や後述する介護休業とも組み合わせて、上手に活用しましょう。

介護休業とは?

介護休業とは、介護によりまとまった休業が必要なときに利用できる制度です。1日単位でも取得できますが、被介護者1人につき3回を上限としているため、細かく分けて取得するときは介護休暇のほうが利用しやすいでしょう。また、介護休業を取得する場合は、原則として休業開始予定日の2週間前までに申請する必要があります。

取得可能な休暇日数

要介護状態にある家族(親か祖父母、兄弟姉妹、子、孫、配偶者、配偶者の父母)が1人いる場合の上限回数は3回、上限日数は93日です。例えば1回目が30日、2回目と3回目が20日の休業を取得した場合、93日までにはあと23日残っていますが、すでに3回取得しているので、同じ家族の介護のためにこれ以上は介護休業を取得することはできません。また、日数は1年ごとにカウントされるのではなく、通算でカウントされます。介護が長引く場合は、家族とも協力して休業を分散することを検討しましょう。

介護休業中の給与は支払われる?

会社で介護休業中の給与について特別な取り決めがない限り、原則として休業中は給与は支払われません。しかし、休業開始時の賃金月額の67%を雇用保険による給付金として受給可能です。申請書類を休業取得をする労働者が記載し、事業者側が手続きを行います。休業終了日の翌日から2か月後の月が属する月末までに、忘れずに提出しましょう。給与が高額な場合や事業所で休業中の給与を設定している場合は、月額賃金の67%を受けられないことがあります。例えば賃金月額の上限は502,200円(令和3年7月31日まで)のため、休業開始時点で月額502,200円を超える給与を受給している方は、受給額は月額賃金の67%未満です。ただし、月額賃金が77,220円を下回る場合は、原則として30日分の介護休業給付金として支払われる金額は77,220円です。この場合は、月額賃金を上回ることになるでしょう。また、事業所で休業中も給与が支払われる取り決めがある場合は、給与と介護休業給付金の合計額は月額賃金の80%を超えないように調整されます。そのため、休業取得前までの月額賃金の13%以下の給与が支払われる場合は給付金を全額受給できますが、13%を超える場合は給付金の一部が減額されることになるでしょう。いずれも事業所を通して手続きが行われますので、必要とされる書類は早めに提出し、雇用保険制度が適用され給付金等を滞りなく受けられるようにしておきましょう。

介護休業を利用するための条件

入社後1年未満の労働者は原則として申請できません。また、休業取得予定日から一定日数までに契約期間が満了し、なおかつ更新されないことが明らかな労働者も介護休業の申請対象外となります。労使協定を締結している場合には、労働日数によっても休業の取得が制限されることがあるでしょう。

介護休業の申請方法

介護休業は所定の書面を通して、休業開始予定日の2週間前までに申請します。ただし、事業者側が介護休業の申請期限を2週間よりも短い期間に定めることも可能です。就業規則に記載されていることがあるので、事前に確認しておきましょう。また、休業終了予定日の2週間前までに申請することで、終了予定日を1回限り繰り下げることが可能です。その際に理由を問われることはないため、家族の介護の状況について報告する必要はありません。反対に終了予定日を繰り上げることもできますが、早めに会社側に伝えるようにしましょう。

介護休業のメリット・デメリット

まとまった期間を介護に充当できることや、給付金を受給しながら介護できるという点はメリットです。自宅療養が続く場合や、入院できない事情があるときなどは、休業制度を利用して介護と仕事を両立できるかもしれません。しかし、介護を必要とする家族1人あたりの休業取得日数が決まっているため、介護が数年におよぶときには日数が足りなくなることもあります。他の家族とも話し合い、介護の負担が偏らないように計画を立てるようにしましょう。

まとめ

介護_面談

家族に介護が必要なときは、日数や時間などに合わせて介護休暇や介護休業を取得することが可能です。しかし、いずれも上限日数が決まっているため、他の家族やケアマネジャーなどの福祉関係者とも話し合って、介護が特定の一人に集中しないように計画を立て、効率よく活用してください。また、介護休業を取得するときには、介護休業給付金を受給することができます。休業終了後2か月以内に事業所を通して申請手続きをする決まりになっているので、忘れずに申請し、経済的基盤を確保できるようにしておきましょう。