介護保険サービスの種類
介護保険サービスは大きく分けて2種類。自宅で介護サービスを受けるか、施設に入所して介護サービスを受けるかということになります。どちらのサービスも、所得状況によって料金が発生し、1~3割の自己負担金を支払います。利用料金については、利用するサービスによって、定額制という場合と、その都度払いという場合があるため、事前に情報を入手しておくことが必要でしょう。自宅で介護サービスを受ける場合は、その都度払いになることが多く、費用に関しては、介護保険サービスの利用時間や、要介護認定の段階によって金額が変わってくるものです。
自宅で介護サービスを受けたい方へ
自宅で介護サービスを受けるということは、大きく分けると2種類となり、自宅に来てもらうか、自宅から通うかということになります。どちらのサービス内容もほぼ同じですが、通いの場合は決められた時間にお迎えがくることになるので、時間に合わせて準備しておかなければなりません。どちらの場合も、それぞれのメリットがあるので紹介します。
自宅に来てもらい、サービスを受けたい
自宅で暮らしている要介護者に対して、簡単な買い物から、生活全般の介助、さらに医療的な処置やリハビリといったサービスまで、幅広いサービスがあります。自宅で受けられる介護サービスについて詳しく見ていくことにしましょう。
身の回りの介助をしてほしい
生活する上で必要な介助をしてくれます。具体的には、お料理をする、部屋の清掃、衣類などの洗濯、衣類の整理整頓、薬の受け取り、生活に必要なものを買い物する、などです。身の回りの介助については、要介護者によって必要と思われるものに差がありますし、必要があれば、ベッドから車椅子に移る介助などを行うこともあるでしょう。
入浴の介助をしてほしい
自力で入浴できない場合は入浴に関する介助をします。体を清潔に保つだけではなく、入浴にはリラックス効果や、体のあらゆる機能を促進させる効果があります。入浴に関しては徹底したマニュアルがあり、事故やケガを防ぐための入浴のさせ方や、体を洗う順番などきめ細かいものがあるため、安心してお任せすることができるでしょう。
24時間体制で介護をしてほしい
定期巡回・随時対応型訪問介護看護というのは、一日に何度も定期的な看護が利用できるというもの。滞在時間についても、5分という短いもので薬の受け取りをすることもあれば、1時間以上かかるような介護サービスを利用することも可能です。要介護者の生活に合わせて、その都度必要なポイントのみのサービスを受けられるため、利用しやすいといえます。
深夜の介護をしてほしい
夜間にホームヘルパーが、利用者の自宅を訪問するというもので、定期巡回と随時対応という2種類のサービスがあります。排泄の介助や安否確認などのサービスが一般的であり、随時対応の場合は急な体調不良の際に、ホームヘルパーを呼ぶ、救急車を手配してもらうなどのサービスをさします。要支援1・2の人は受けることができないサービスなので、注意しましょう。
医療的な処置もしてほしい
訪問看護では、看護師などが自宅を訪問します。主治医からの指示や連携に基づいた看護が行われ、病気があっても自宅で最期まで暮らせるように対応するものです。処置内容は、医療機器のケアや、点滴注射や創傷処置などの医療行為、急変時の対応、疼痛や血糖コントロール、寝たきり予防に関するケアなど多岐にわたります。
リハビリをしてほしい
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が利用者の自宅を訪問します。心身の機能の維持や回復、さらに日常生活においての自立を支援するために、専門的な知識を使って行われるリハビリテーションを行うサービスのことです。自宅で行えるため、利用者がリラックスした状態でリハビリがうけられます。要介護1以上の人で、主治医が認めた場合にのみ受けられるサービスです。
在宅療養の管理・指導をしてほしい
自宅に専門職である、医師や看護師、薬剤師、歯科衛生士、管理栄養士が訪問し、療養に関する指導、健康管理からアドバイスを行うというもの。自宅で安心して過ごすために必要不可欠なものですが、医師や歯科医師が必要と認められた場合にしか受けられないサービスであり、各種専門職からのサービスに関しては、それぞれ1ヶ月に利用できる回数限度があります。通院する手間が省けるため、通院が困難という人には心強いサービスです。
自宅から通ってサービスを受けたい
自宅から通って、サービスを受けることもできます。いわゆる、通所と呼ばれるもので、バスなどでお迎えに来てくれるのが一般的。決められた時間に準備をして待たなければなりませんが、外出することで日常生活の刺激にもなるでしょう。
通所介護(デイサービス)
通所介護を受けることは、利用者の家族の身体的や精神的負担の軽減につながります。利用者にとっても、社会からの孤立感を解消させ、心身の機能を保つために必要なサービスです。1日につき3~9時間程度の時間、利用者を預かり、その間に入浴や食事だけではなく、レクリエーションや機能訓練など幅広いサービスを行ってくれます。
リハビリを受けたい
介護老人保健施設、病院などに併設された施設において、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士といった、専門的なスタッフから、機能の維持回復訓練や日常生活に関する動作訓練が受けられるというものです。訓練は個別と集団があり、利用者側の状態に応じて分けられます。本人の意欲も重要視されること、無理に行うと負担になることもあるため、主治医とよく相談して行うものです。
認知症に対応した介護をしてほしい
認知症に対応した介護も行われており、大事にされているのは、認知症である利用者が楽しく通い続けられるということ。マニュアルに応じたものではなく、認知症である利用者に合わせたサービスが受けられます。認知症の人は、昔のことをよく覚えている傾向があるので、おもちゃや懐かしい音楽を利用した音楽療法がおこなわれることが多いようです。
短期間宿泊してサービスを受けたい
在宅介護をしている家族への負担の軽減と、冠婚葬祭などでどうしても自宅を空けなければならない際に利用することが多いサービスです。利用者が、特別養護老人ホームなどの介護施設に短期間だけ入所し、利用者の心身に関する健康状態を維持したり、回復したりすることができるのが、「短期入所生活介護」です。一方で、医療系の介護療養型施設などに入所する場合は、「短期入所療養介護」となります。
施設に入所して介護サービスを受けたい方へ
自宅での介護が難しく、施設に入所して介護サービスを受けたいという人もいることでしょう。施設といっても、あらゆる施設があり、それぞれの特徴があります。満足のいく施設選びをするために、参考にしてください。
介護保険で入所できる施設に入所したい
施設に入所する際、介護保険が適用される施設と適用されない施設があることをご存じでしょうか。介護保険が適用されないと、全額自己負担となるので、大きな負担となることが予想されます。経済的な負担を抑えるために、介護保険で入所できる施設について知っておくと、いざというときに慌てずに済むでしょう。
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
社会福祉法人や地方公共団体などが運営している、入所資格が原則65歳以上の高齢者が対象の老人ホームのことです。介護老人福祉施設は、いわゆる長期利用が可能な施設であり、公的な施設なので費用面もかなり抑えることができます。入所資格も現在は要介護3~5に限定されているため、一昔前と比べると待機人数はやや抑えられているようです。
在宅復帰のために施設でリハビリをする
介護老人保健施設とは、要介護状態の高齢者(65歳以上)を受け入れている施設のこと。食事のお世話や排せつの介助を受けられますが、主に行われるのは医療ケアとリハビリになります。利用者ひとりひとりの状態を踏まえたプログラムが組まれ、医師をはじめとする専門スタッフが対応する仕組みです。基本的に3~6ヶ月で退所することが前提となっており、在宅復帰のための施設という側面が強いでしょう。
医療の必要な人が入所する
要介護判定が高めの人には、しっかり医療処置をしてくれ、リハビリを提供する施設が安心でしょう。このような施設を、介護療養型医療施設(療養病床)といい、多くは医療法人が運営しています。看護師の比率が高いため、「インスリン注射」や「痰の吸引」などの医療処置にも対応。個室以外にも、費用面での負担の低い多床室がある施設が多いことも特徴的です。
民間の施設でサービスを受ける
民間の施設も数多くあり、有料老人ホームと呼ばれるものや、シニア向け分譲マンション、サービス付高齢者住宅(高齢者専用賃貸住宅)があります。入居金をあらかじめ設定している施設も多いですし、毎月の負担もかなり高め。しかし、設備は充実しており、元気なうちから入所を考えて見学するケースも多いようです。
有料老人ホーム
有料老人ホームは施設によって、入居基準がさまざま。大きく分けて、自立型と介護専用型、混在型の有料老人ホームがあり、どのようなサービスが提供されるかもそれぞれ違います。当然のことながら、サービスが充実している有料老人ホームは費用面でかなり高額。入居費用と毎月の使用料、加えて備品の使用などが別途請求されます。
サービス付き高齢者向け住宅
2011年の「高齢者住まい法」改正によって創設された施設のことで、現在介護の必要性はない、比較的元気な高齢者のための施設というと分かりやすいでしょう。あらゆるサービスをカスタマイズできるため、無駄がなく、自分が選んだサービスのみを受けることができる仕組みです。義務付けられていることに、安否確認と生活相談がありますが、自由度が高い生活が送れます。
市区町村のサービスを受ける
地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護とは、入居定員が29人以下というきまりがある特別養護老人ホームのことです。地域密着型施設サービス計画に基づいたサービスが提供されますが、2015年4月より、原則として要介護3~5の認定を受けないと入居できなくなりました。要介護1もしくは2という人は、特例により入居が認められることもあるので、希望されている場合は市町村の相談窓口に問い合わせてみましょう。施設については、地域との密接な関りがあるということ以外は、特別養護老人ホームとあまり差はありません。日常生活の世話から、機能訓練、療養上の世話も受けられます。
認知症の人向けの施設に入所する
認知症対応型共同生活介護(グループホーム)とは、認知症がある要介護者が共同生活をする施設のことです。普段は、介護スタッフと少人数の利用者が共同生活を送っており、専門的援助体制は24時間行われています。ここでは、料理や買い物といった一般的な生活を少人数の入居者と送ることによって、互いになじみの関係となり、心身の状態を穏やかに保つことが可能です。家庭的な雰囲気のなかで、スタッフの手を借りながら、料理や洗濯、掃除といったことを、それぞれができる範囲で行い、高齢者が失いかけていた能力を引き出すことを目標にしています。