2021.05.11

レビー小体型認知症とは|具体的な症状と対応方法について解説

最終更新日:2021.06.07

レビー小体型認知症という病気を知っていますか?独特な症状があるため、介護の際にはそれに合わせた対応方法を知っておくことが重要です。親の介護に役立てるよう、ぜひ参考にしてみてください。

幻視や錯視が大きな特徴

時間
レビー小体型認知症とは、レビー小体という神経細胞に出来る特殊なたんぱく質の増加によって起きる進行性の病気です。認知症全体から見たレビー小体型認知症の割合は20%とされています。アルツハイマー型認知症とは異なり、幻視や錯視が特徴的で認知症とパーキンソン病を合わせたような病気です。他にも認知機能が変動する、パーキンソン症状(前傾、手の震え、固い表情、バランスの悪さ、小刻み歩行など)が症状として現れます。

レビー小体型認知症とは 症状の過程

頭_痛み

一口にレビー小体型認知症といっても、幻視や錯視が強く出る人とパーキンソン症状の方が強い人があり、症状の現れ方には個人差があります。他の認知症と比較しながら、大まかな症状の経過について説明していきます。

初期

「虫が見える」「子供が遊んでいる」などリアルな幻視を訴えるようになります。「夕べ泥棒が入った」という類の妄想や、はっきり聞こえる幻聴、「レム睡眠行動障害」という睡眠中の行動異常がみられることがあり、家族を驚かせます。夢を見るレム睡眠のとき筋緊張の抑制が障害されるため、眠ったまま話をしたり動いたりしてしまうのです。また、特徴的な症状として、アルツハイマー型認知症の約2倍のうつ症状が現れやすいとされています。一方物忘れはあまり目立たないことが多く、時間や場所も比較的理解できるので、家族や友人と交流できる能力も多く保たれています。アルツハイマー型認知症が物忘れや見当識障害でできないことが増え、本人が混乱・葛藤するのに比べ、レビー小体型認知症は精神症状のほうが目立つので、家族が動揺することが多いといえるでしょう。

中期

幻視や錯視が悪化し「虫が体を這う」「子供が事故に合う」といった恐ろしい幻視によって興奮してしまうこともあります。パーキンソン症状も現れるようになっていきます。前のめりで転びそうになりながら歩く、震えや動作の遅れが目立つなど手助けが必要な場面が増えていきます。歩行障害が進行するので歩行器や車いすを早い段階から使う人が多いのも特徴です。睡眠障害で夢を見ながら歩き出し家の外まで出ていってしまったり、転倒したりする危険性が高くなっていきます。少しずつ認知症の症状が強くなり始めるので記憶力や認知機能が悪い時間が増え、BPSDと言われる徘徊や物盗られ妄想が目立つ人も出てきます。

後期

後期になるにつれ、パーキンソン症状は悪化していき、常時誰かの介助が必要になります。認知症の症状も進行し、ほとんどの時間が記憶力、認知機能とともに悪い状態になっていきます。末期になると食べ物を飲み込む嚥下機能に障害が出始め、体の硬直や歩行障害が進むので寝たきりになっていくでしょう。コミュニケーションをとることが難しくなる一方で、幻視や睡眠障害は目立たなくなっていきます。アルツハイマー型認知症に比べ進行が早めで、ここまで10年くらいで経過するのが一般的です。

レビー小体型認知症の方への対応

介護

レビー小体型認知症の方へはどのように関わればいいのでしょう。独特な症状に家族が戸惑わないように、レビー小体型認知症について、症状ごとに対応方法を説明していきます。

幻視がある時

虫や子どもの幻視は、場所や時間に関わらず繰り返し現れます。本人が落ち着いているようなら否定せず見守るのが適切ですが、レビー小体型認知症は認知機能が比較的良好に保たれるので、自分だけに見えている幻覚と理解できることもあります。不安や恐怖を抱いているようなら病気によるものだということをやさしく説明し、理解してもらうことで落ち着いてもらえるようにしましょう。

うつ症状がある時

うつ症状と一口にいっても、気分のふさぎ込みや活動性の低下のほか、腰や膝の痛みを過度に心配する心気などの精神症状も含まれることがあります。家族としてはストレスなく居心地の良い時間を過ごせるようにしたり、介護者自身の気持ちを整えたりするようにしましょう。外出して太陽を浴びる機会を増やすのも好ましい対応です。うつ症状のある方に、強要したり励ましたりするのは適切な対応とは言えません。また記憶力を試すような脳トレも控えましょう。

レム睡眠障害がある時

眠りながらで大声で話す、または動き出してしまうという状態は、家族の睡眠を妨げるだけでなく、本人もケガをする危険があります。ひどい時には一度声をかけて起こしてあげるのもいいでしょう。怒ったり責めたりする必要はなく、目覚めさせてあげるだけで十分です。せん妄とは違い、夢から覚めればすぐに奇行は治まります。日中はなるべく横にならず太陽の光を浴びる、デイサービスに行くなどして活動量をあげ、心地よい疲れを感じて夜を迎えることも大切です。

パーキンソン症状がある時

パーキンソン症状があると、転ぶとき手をつくなど咄嗟の回避行動ができないので、骨折など大ケガをする可能性が高くなります。介護保険を使い、家の段差の解消や手すりの設置など室内外の環境整備を検討してください。また、歩行障害を少しでも遅らせるため、日々リハビリすることも大切になります。家族が一緒に散歩するなどして、安全に楽しく歩くことが長続きの秘訣です。睡眠障害や幻視、うつ症状パーキンソン症状といったレビー小体型認知症の症状を理解して正しく対応することで、本人も介護する家族も快適な生活を送ることができます。

 

増田 高茂
社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者
多くの介護事業所の管理者を歴任。小規模多機能・夜間対応型訪問介護などの立ち上げに携わり、特定施設やサ高住の施設長も務めた。社会保険労務士試験にも合格し、介護保険をはじめ社会保険全般に専門知識を有する。現在は、介護保険のコンプライアンス部門の責任者として、活躍中。