2021.12.07

高血圧を予防・改善する食事とは|血圧を下げる食べ物や飲み物について紹介

最終更新日:2022.07.25
東海林 さおり
看護師

高血圧の基準とは

高血圧の基準

 

「高血圧」という言葉をよく耳にしますが、いったい「高血圧」とはどれくらいのことをいうのでしょうか。高血圧には診断基準があり、日本高血圧学会が示したガイドラインによると140/90(最高血圧/最低血圧)を超えると高血圧と診断されます。また、最高血圧、最低血圧どちらかがこの数値を超えるだけでも高血圧と診断されます。130~139ミリ/80~89ミリは「高値血圧」、最高血圧が120ミリを超えると「正常高値血圧」と呼ばれ、すぐに治療しなくてはいけない状況ではないものの、「高血圧予備群」として降圧指導の対象になります。

血圧を上げる食べ物や飲み物

血圧を上げる原因で大きなものは「塩分」です。高血圧の方は減塩するというのはもはや常識にもなっており、調味料をつけすぎないのは誰もが意識しています。にも関わらず、高血圧の方が絶えないのは食べている物に問題があるのかもしれません。
血圧が上がりやすいメニュー
・ラーメン
・パスタ
・うどん
・ピザ
・お寿司
・パン
・揚げ物
など
高血圧の方はこれを食べてはいけないのか、というとそうではありません。食べ方を気をつけていく必要があります。

血圧を下げる食べ物や飲み物

前述した通り、塩分を摂取すると血圧が上がります。これは、塩分の摂取量が増えることで水分量が増え、血液量が増えるというメカニズムです。通常、塩分と水分は腎臓から排泄されますが、腎臓に負担がかかり十分に機能しないと排泄が追い付かなくなり、血液量が増えてしまい血圧が上がってしまいます。まずは、塩分の摂取量を下げることが必要になりますが、では何を食べていいのかということをご紹介していきます。
・青魚(鯖、いわし、サンマなど)
・アボカド
・納豆
・ほうれん草
・大豆
・バナナ
・ごぼう
・オクラ
・モロヘイヤ
・なめこ
など

一般的に血圧を下げるのに良いとされている食材ですが、これらが入っているからといって食べても大丈夫というわけではありません。

それでは、具体的にどんな食事をしたら血圧を改善させていけるのかを解説していきます。

高血圧を改善させる食事とは

血圧を改善させる食事

高血圧を改善するには何度も言いますが「減塩」です。それでは、塩分は1日に何グラム摂取していいのか、推奨されているのは5~6gです。しかし、日本人の平均摂取量は約10gです。その差は約2倍です。世界的にも和食はヘルシーで体に良いイメージがありますが、塩分が多いというデメリットもあります。塩分を控えて、食べない方がいいものと、食べた方がいいものが理解できても、それをどう食べるかというのが大切です。実際にどんな調理をしてどんなレシピがあるのかをご紹介いたします。

メイン:長いもチーズの納豆春巻き
①納豆はパックから出して付属のタレを入れて混ぜます。
②長芋の皮を剥いて5mm程度の細切りにします。
③春巻きの皮の裏表を確認し、ひし形になるように置きます。
④皮の上に大葉、納豆、長芋、チーズを乗せ、具を包み片栗粉で止めます。
⑤フライパンにサラダ油を深さ1cm入れて熱し、包んだ春巻きを揚げ焼きにしていきます。
⑥両面がきつね色になったらバットに入れて油をきって完成です。
※注意
・納豆の付属のタレの塩分を確認しましょう。
・揚げ油は酸化していない新しいものを使いましょう。
・春巻きはそのまま食べるか、減塩のポン酢を使うのがおススメです。

副菜:茄子とツナの和え物
①茄子を細切りにして、水に浸しあく抜きします。
②茄子の水気を切ったら耐熱皿に入れて、塩、こしょう、砂糖を少々、鶏ガラスープの素を小さじ1、ごま油を大さじ1、ツナ1缶を加え混ぜ合わせます。
③ラップをして600Wで5分加熱します。
④器に盛り、大葉とごまをトッピングして完成です。
※注意
・鶏がらスープの素は塩分控えめの物が出ているのでそちらを使いましょう。
・ツナ缶は食塩不使用のものがあるのでそちらを使いましょう。

汁物:三つ葉とエリンギのコンソメスープ
①鍋に水を2カップ入れ、コンソメ顆粒を4g入れて沸騰させます。
②一口大にスライスしたエリンギを40g加えて1分程度煮込みます。
③器に盛りつけて粗く刻んだ三つ葉を添えて完成です。
※注意
・コンソメは固形ではなく、顆粒タイプを用意しておきましょう。入れすぎることがなくなります。
・コンソメは塩分控えめ(40%カット)があるのでそちらを使いましょう。

主食
高血圧予防には糖質制限が有効になります。炭水化物(糖質)はごはん、パン、麺、小麦を摂らなくても意外と食材から摂っていることがあります。例えばイモ類、人参、れんこん、トウモロコシなど
そのため、極力控えていくことをお勧めします。白いごはんやパン、麺などの代わりにおススメできるのがオートミールや玄米などの穀物です。グラノーラなどは物によって糖質が多く含まれているものがあるので注意が必要です。

食事の減塩方法

日本人は一日の塩分摂取量の平均が約10gと推奨されている摂取量の2倍程摂取しています。単純にこれを半分にするひつようがあります。それでは塩分の摂取量を半分にするにはどのようなことから取り組んでいけば良いのか解説していきます。

何から塩分を摂取しているのか

まずは何から塩分を摂取しているのかを把握しましょう。日本人の食生活では塩分のおおよそ4割を調味料から接種しています。調味料からの塩分摂取を減らしていくのは有効な手段です。

効果的に調味料からの塩分摂取を減らせるコツ

調味料は料理をする時も、食事中も習慣的に使うものです。習慣を変えることができれば最も効率的に塩分の摂取量を減らすことができます。習慣とは無意識にやっていることなので、無意識に摂取量を減らすのが無理なく減塩できる方法です。では、どんな行動を習慣にしていけば良いのか紹介していきます。

味を確認してから調味料をつける

お好み焼きや海鮮丼、ほうれん草のお浸しなど、食べる前から調味料をかけていませんか?それが、どれくらいの味の濃さなのかを知ることで調味料の使い過ぎを防ぐことができます。まず一口食べてみると思った以上に塩味を感じることができます。

調味料は「つける」

当たり前のようにお好み焼きにソースを塗ったり、海鮮丼に醤油をかけたりして食べていませんか?調味料は小皿にとり、食べる前につけながら食べるだけで全体の調味料の摂取量は変わってきます。

塩味の強いものを複数食べない

減塩をしていても、どうしてもラーメン屋やピザなど食べたくなることはあります。そんな時は、塩味の強いメニューは小さめにして、副菜でサラダや豆腐などの塩味の少ないものを足して満腹感を得ましょう。絶対食べてはいけないというストレスも高血圧には良くないので制限とストレスのバランスも大切にしましょう。

スパイスを上手に使いましょう

一般的に塩分が多く含まれるといわれるしょうゆやソース、味噌などを使いすぎなくても、シソやショウガ、バーブなどを加えることで嗅覚からも満足感が得られるため、減塩メニューのアクセントにおススメです。

生活習慣で気をつけること

生活習慣

高血圧予防には食事をはじめとする生活習慣を見直すことが大切になります。ここまでは詳しく食事についてご紹介してきたので、それ以外の方法についても簡単にご紹介していきます。

適度な運動をする

運動をすることでインスリンの働きが活発になり、血圧を下げる効果があります。しかし、運動中は血圧が上昇するので過度な運動は注意が必要です。

飲酒を控える

お酒を飲むと一時的に血圧を下げる効果がある一方、飲みすぎることで血圧が上がってしまいますまた、心疾患のリスクも上がるため注意が必要です。

禁煙する

実は、喫煙が高血圧の直接的な原因であるとは言い切れません。しかし、心筋梗塞や脳卒中の原因になることはわかっていますし、メタボリックシンドロームの危険因子でもあるため高血圧の方は禁煙した方が良いでしょう。

肥満にならないように運動を心掛ける

高血圧症の方は肥満の方が比較的多い傾向にあります。ちなみに、体重を1キロ減らすことで最高血圧、最低血圧を1ミリ下げると言われています。具体的にはBMI25未満を目指してダイエットしていくことが必要になります。また、高血圧の方が有閑的に有酸素運動をすることで最高血圧が8.3ミリ、最低血圧が5.3ミリ降圧したという結果も出ています。

アルコールは適量にする

アルコールを摂取することで血管が拡張し一時的に血圧が下がります。しかし、習慣的に飲み続けることで血圧が上がるという傾向にあります。それでは、具体的にどれくらいなら飲酒していいのでしょうか。アルコールを1日あたり30ml以上飲むと血圧が3ミリ上がると言われています。
目安
日本酒 1合
ビール大ビン 1本
ワイン 2杯

飲酒しているときは、一緒に水を飲むと血圧の上昇を抑えることができるので、お酒を飲むときは上記の目安量と、水を一緒に飲むことを意識しましょう。

体に良い食事を取り、高血圧を予防しよう

体に良い食事

高血圧は生活習慣の乱れから引き起こされることのある病気です。逆に高血圧の方は生活習慣を整えることで抑制することができます。まずは、1日3回摂っている食事から見直し、運動や飲酒量、喫煙なども気をつけて高血圧予防に努めましょう。

東海林 さおり
看護師

看護師資格修得後、病棟勤務・透析クリニック・精神科で『患者さん一人ひとりに寄り添う看護』の実践を心掛けてきた。また看護師長の経験を活かし現在はナーススーパーバイザーとして看護師からの相談や調整などの看護管理に取り組んでいる。