2021.02.26

認知症が進むとどうなる|早期・初期での介護のポイント

最終更新日:2021.06.07

2025年には65歳以上の5人に1人が発症すると言われている認知症。「認知症と診断されたらどうすれば?」「進行したらどうなってしまうんだろう…」高齢者やそのご家族のなかには、認知症に不安を感じる方も多いのではないでしょうか。認知症は早期発見・治療することで、進行を遅らせたり症状を緩和させたりできる病気です。こちらの記事では認知症の進み方をふまえ、早期・初期での介護のポイントや早期発見のメリットについて解説します。

認知症の進み方

夫婦

「認知症」は、何らかの原因によって起こる症状や状態の総称です。認知症の種類によって進行の度合いは異なりますが、高齢者にもっとも多いと言われる「アルツハイマー型認知症」は、長い年月をかけゆっくりと症状が現れます。早期発見により症状の改善が期待される「軽度認知障害(MCI)」は、認知症の一歩手前の状態。多くの認知症は物忘れのように認知機能が低下する早期・初期から、中期、後期・末期の順に症状が進行していきます。

早期・初期の介護のポイント

介護士

認知症の多くは、同じ話を繰り返したり、物をなくしたりするといった、もの忘れの症状から始まります。症状の進行をなるべく緩やかにするためにも、早期・初期の対応は以下の3つのポイントに注意しましょう。

早期の受診で病気の原因を突き止める

「認知症かもしれない」と不安を感じたら、なるべく早くに受診し原因を見極めることが大切です。認知症の症状をもたらす病気の中には、何らかの原因で脳を圧迫しているものもあり、その場合は早期に治療することで症状が改善される場合もあります。認知症の診断を行うのは、もの忘れ外来や認知症外来のほか、脳神経外科などさまざま。「どこを受診してよいか分からない」という場合には、まずはかかりつけ医に相談することからはじめましょう。

介護保険を申請する

介護保険サービスを利用するためには、地域包括支援センターか市町村の窓口に申請し「要介護認定」を受ける必要があります。要介護認定の区分は「非該当(自立)」「要支援」「要介護」の大きく3つ。利用できるサービスはその区分によって異なりますが、要支援1から介護予防訪問やショートステイなどの在宅サービスの利用が可能です。認知症の症状が進行すれば、将来的には家族の介護負担も大きくなります。先を見据えるためにも、早い段階で介護保険を申請し、利用できるサービスを理解しておくと安心です。

これまで通りの生活をつづける

環境の大きな変化は、認知症の症状を進行させる恐れがあります。そのため、認知症と診断されても、これまでどおりの生活ができるように支援することが大切です。衣食住だけでなく、趣味や生活習慣に関しても本人の意思を尊重するように心がけましょう。

医師との連携を怠らない

認知症はタイプにより症状が異なるため、医師と連携をはかりながら介護する必要があります。「いつもと様子が違う」と感じたときには、かかりつけ医のほか、認知症専門医に連絡できる体制を整えておきましょう。近年は「認知症疾患医療センター」が各地に設置されており、認知症の相談から治療、介護保険申請などを支援する役割を担っています。

早期発見のメリット

介護

認知症の早期発見は、本人だけでなく家族にもメリットをもたらします。認知症の診断を悲観的にとらえるのではなく、早く分かったからこそ適切な治療ができると考えましょう。

薬で進行を遅らせることができる

アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症には、進行を抑制できる薬があります。現状維持が期待できる場合もあるため、例え大きな症状が無くても服薬を続けることが大切です。自立度が高い段階を維持するためにも、認知症は早期発見・早期治療に大きなメリットがあると言えるでしょう。

薬物以外の療法も期待できる

認知症の治療には、薬物治療のほか薬を服薬しない「非薬物療法」があります。自分の好きな曲に合わせて身体を動かしたり、歌ったりする音楽療法もそのひとつです。イスに腰かけながらできるストレッチや散歩などの運動療法は、睡眠障害を軽減できるとも言われています。初期の症状に合わせ、リラックスしながら行うことが症状の緩和へとつながります。

適切な介護ができる

もの忘れや不安症状、暴力的な態度が認知症によるものだと分かれば、症状に合わせた適切な介護を検討できます。医師や看護師、介護職や自治体と連携をはかりながら、本人と家族にとって最適な介護サービスを検討することができるでしょう。認知症の周辺症状と呼ばれる興奮や介護拒否などは、生活環境も影響します。そのため、適切に対応すれば本人の不安を取り払う効果も期待できるでしょう。

介護者が受け入れられる

認知症の診断を受けることは、本人はもちろん、家族にとっても大きな出来事です。認知症について分からないほど、その不安は大きなものとなるでしょう。しかし、早期に認知症が発見できれば、専門医の診断を仰ぎながら将来の見通しをたてることができます。症状が進んだらどのような生活をしたいのか、本人と一緒に相談することも可能です。リビングウィルとも呼ばれる医療・介護の希望をかなえることは、本人の不安をやわらげ、自分らしく生活できるという大きなメリットへとつながります。認知症は、早期に発見し治療を始めることが大切です。発病初期であれば、適切な支援で進行の抑制も期待できます。本人はもちろん家族のためにも、認知症には医療や介護、地域のサポートは欠かせません。気になる症状があるときには、なるべく早く受診するように心がけましょう。

 

増田 高茂
社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者
多くの介護事業所の管理者を歴任。小規模多機能・夜間対応型訪問介護などの立ち上げに携わり、特定施設やサ高住の施設長も務めた。社会保険労務士試験にも合格し、介護保険をはじめ社会保険全般に専門知識を有する。現在は、介護保険のコンプライアンス部門の責任者として、活躍中。