2021.02.26

認知症が進むとどうなる|中期での介護のポイント

最終更新日:2021.06.07

認知症が進行すると、もの忘れのような「中核症状」に加え、徘徊のような「周辺症状」が現れます。これらの症状を緩和し進行をおだやかにするためには、周囲の理解や適切な介護が必要です。こちらの記事では、認知症の進み方をふまえ、中期症状に合わせた介護のポイントを解説します。

認知症の進み方

 

高齢者_階段

認知症の症状は、前段階といわれる「軽度認知障害」からはじまり、「早期・初期」「中期」「後期・末期」と進行します。認知症の多くが年月をかけゆっくりと進行し、日常生活に徐々に支障をきたしていくのが特徴です。もっとも多いといわれるアルツハイマー型認知症は、症状が出る10~20年前から脳内で病的な変化が進んでいるとも言われています。進行度合いには個人差があるものの、特に高齢者は急激な悪化はみられません。もの忘れのような初期症状からはじまり、中期から後期にかけ介護が必要な状態へと移行していきます。

中期の介護のポイント

介護

認知症が「中期」まで進むと、時間や場所が分からなくなる見当識障害が進行し、徘徊や失語といった症状が現れます。徘徊による事故や行方不明の恐れもあり、周囲の介護負担が大きな時期にあたります。

BPSDは叱らない

BPSDとは、認知症の主な症状である「周辺症状」のことです。記憶障害や見当識障害といった「中核症状」に、生活環境や身体状況が影響することによって進行します。時間や場所が判断できなくなる見当識障害は、認知症患者にとっても不安なものです。そのなかで「なんで同じことを何度も聞くの」「どうしてわからないの」と責められると、さらなる混乱が生じてしまいます。なんとかしなければという思いがさらなる問題行動となって現れ、結果的にBPSDが進行してしまうのです。そのため、認知症のBPSDは怒ったり責めたりせず、まずは患者本人の話しを受け入れることが大切。身体状況に気を配りながら、気持ちを落ち着かせるように心がけましょう。

家族の認知症を受け入れる

認知症の介護には、医療や看護・介護のほか、地域のサポートを欠かすことはできません。適切な介護をするためにも、まずは身近な家族が認知症を受け入れ、理解する必要があります。また、家族の介護負担を軽減してくれるのが、介護保険を利用した介護サービスです。認知症患者の心身状況に寄り添いながら、もっとも最善と思われる介護を検討していきましょう。

失火や転倒事故に気を付ける

認知症の中期は、行動症状と心理症状がもっとも現れる時期です。そのため、「コンロの火をつけたまま忘れてしまう」「徘徊先で転倒する」といった事故のリスクも高くなります。身近な家族としてはすべての危険を回避したくなりますが、「今できること」の否定は自尊心を傷つけることにもつながります。進行を抑制しこれまでの生活を維持するためにも、できる限り本人の意思を尊重することが大切です。

認知症の方向けの施設がある

居宅での介護が難しいと感じたときに利用を検討したいのが、グループホームです。グループホームは、認知症の高齢者を対象とした介護福祉施設。「ユニット」と呼ばれる少人数の共同生活を基本としており、認知症の方でもゆったりとしたペースで穏やかに生活できます。調理や掃除といった家事を職員と一緒に行うことで、症状の進行を遅らせることができるのもポイント。認知症ケアの専門知識を持つ職員が常駐しており、認知症高齢者に適した支援が受けられます。入居対象となるのは施設と同じ市区町村に住民票を持つ高齢者のため、慣れ親しんだ土地で暮らせることも大きなメリットです。認知症の中期は、心理症状と行動症状が同時に現れ、介護者にとっても負担の大きな時期です。しかし、問題行動を責めたり怒ったりすると、症状はさらに悪化する恐れがあります。認知症の介護負担は家族だけで抱え込まず、介護保険サービスを利用しながら患者本人が自分らしく過ごせるように支援していきましょう。

 

増田 高茂
社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者
多くの介護事業所の管理者を歴任。小規模多機能・夜間対応型訪問介護などの立ち上げに携わり、特定施設やサ高住の施設長も務めた。社会保険労務士試験にも合格し、介護保険をはじめ社会保険全般に専門知識を有する。現在は、介護保険のコンプライアンス部門の責任者として、活躍中。