2022.04.22

便秘はなぜ起こる?便秘の症状と原因についてわかりやすく解説

最終更新日:2022.07.25
東海林 さおり
看護師

なぜ便秘が起こるのか

腸のイラスト

便秘という言葉は日常的に耳にしており、多くの方は便秘がどのような状態か簡単に理解していると思います。しかし、便秘の定義がどのようなことなのかは、理解されていない方が多いのではないでしょうか。まずは便秘の定義から 解説していきます。便秘の医学的な定義は、「本来体外に排出すべき糞便を充分良かつ快適に排出できない状態」と定義しています。すなわち、便秘というのは症状の名前を示すのではなく、「状態」を示すということです。排便回数や排便量が少ないために、糞便が大腸に滞った状態、または直腸内にある糞便を快適に排出できない状態、このような状態が続くことを便秘症と考えられています。

具体的に便秘症については、 便秘による症状が現れ検査や治療を必要とする場合として 以下のような症状があります
・ 排便回数の減少
・ 硬便によるもの
・ 便排出障害によるもの

便秘症には個人差があり、 排便量が少ないからといって 一概に便秘であるとは限りません。 前述した通り便秘というのは状態のことを指します。人によって体外に排出すべき糞便の量は違いますし、その量で快適かどうかも違います。食事をたくさん摂る方と、小食の方では同じ体格であっても排便量が違います。ここからは具体的に 便秘の仕組みについて解説していきます。

腸の働きと排便のしくみ 

腸の動きと排便の仕組み

私たちが摂った食べ物はどのような流れで排便に至るのかを簡単に説明します。

① 取り込む

私達が口に入れた食べ物は嚥下や消化をしやすいように歯で細かく刻み、唾液と混ざり合わせながら嚥下して食堂を通り、胃に運ばれます。

②胃・十二指腸

胃に入った食べ物は3~4時間ほどかけドロドロのお粥状にして行きます。そこから 少しずつ十二指腸に送られ消化吸収をします。

③ 小腸

消化吸収された食べ物はさまざまな消化液と交わり、分解され、小腸に送られます。ここでさらに時間をかけ栄養素が吸収されます。

④ 大腸

栄養素が吸収されずに残ったものは大腸へと運ばれます。大腸の長さは約1.5m。大腸は消化の最終的な働きを担います。大腸に運ばれたものは、初めはドロドロの状態ですが、 大腸をゆっくり進むことで水分が吸収され便として排出されやすい硬さに調整していきます。大腸が強く収縮を繰り返す蠕動運動という動きで便をスムーズに送り出していきます。

⑤ 直腸

最終的に固められた便は大腸の終わりの方から肛門につながる直腸というところに流れていきます。直腸は大腸に比べて太く作られており排便までの便を溜めておくことができます。便が溜まることでそれが脳に伝わり便意がおこります。

便秘の種類と原因について

体内イラスト

便秘と一言で言っても症状や原因はさまざまです。大きな枠組みで分けると、大腸と大腸周辺の病気による器質性便秘と、各器官の問題で起こる機能性便秘の二つに分けることができます。それぞれ具体的にどのような病状なのか解説していきます。

機能性便秘

ほとんどの方の便秘が、この機能性便秘になります。機能性便秘は腸などの機能には問題がないため、生活習慣や食生活を改善することで便秘の改善が見込めます。ほとんどの方が機能性便秘であることから、通院せずに市販の薬に頼ってしまうことがありますが、あまり推奨されません。薬に一度頼ってしまうと自力で排便する力が衰えてしまうからです。

弛緩性便秘

弛緩性便秘

弛緩性便秘は日本人に多く見られると言われています。特に高齢の女性に多く見られ、 慢性化しやすい便秘です。弛緩性便秘の原因は一概には言えませんが、大腸の筋力が低下していることが大きな原因になることが多いです。健康な方は蠕動運動によって便をスムーズに送り出すことができます。大腸の筋力が低下することによって、 蠕動運動がスムーズに行われず便が出にくくなってしまいます。筋力が原因で起こる弛緩性便秘は、そもそもの筋肉量の少ない女性、筋力が低下している高齢者に多く見られます。弛緩性便秘の症状として以下のようなものが挙げられます。

・ お腹が張る
便秘になるとお腹が張るというのを聞いたことがあるでしょうか。便が腸内に長時間止まることによって悪玉菌が増加しガスが発生します。そのガスによってお腹が張ってしまう ことがあります。

・ 黒い弁、コロコロした便
便が腸内に滞ることによって、便は水分が失われます。水分が失われると硬くコロコロした形状になります。硬い便は排出しづらく、排便しても残便感が感じられるようになります。

・肌荒れ
お腹が張ると同時に腸内で増加した悪玉菌が及ぼす有害ガスは毒素として血液やリンパを通じ、体に運ばれます。毒素が運ばれることによって肌のターンオーバーが正常に働きづらく新陳代謝を低下させます。それによって古い角質がたまり、肌の調子が悪くなります。

けいれん性便秘

けいれん性便秘

痙攣性便秘はストレスなどが原因になり、腸の働きが過敏になることで起こる便秘です。弛緩性便秘と同じく、腸の蠕動運動が正常に行われずに生じる便秘ですが、 痙攣性便秘は 過敏になりすぎるのが原因で起こる便秘です。蠕動運動が正常に行われないという原因に対して、弛緩性便秘と同じように刺激を与えることで解決しようとすると逆効果になることがあるので注意が必要です。このメカニズムは、はっきりと分かっていないようですが、ストレスを受けることで交感神経を刺激して大腸を痙攣させてしまうようです。つまり、ストレス緩和が解決のカギを握るということです。ストレス緩和にはセロトニンと呼ばれる幸福ホルモンを分泌させることが必要になります。漠然とした解決方法にも思えますが、けいれん性便秘の対策にはストレスを溜めないことが大前提になります。ストレスが原因でけいれん性便秘になるというのは過度なストレス状態ですのですぐにでも状況を変える必要があります。ストレス社会で生きる現代人には難しいことかもしれませんが、環境を変えることも一つの手段です。

直腸性便秘

直腸性便秘

直腸性便秘は慢性便秘の一つで、肛門に近い直腸の部分まで便が下りてきているにも関わらず、便意を感じなかったり、便を出せなかったりする状態の便秘です。直腸に溜まってしまうことで、溜まった便から水分が吸収され、便が硬くなりいきんでも便がでにくく苦しい状態になってしまいます。

直腸性便秘になりやすい方の特徴として以下のような項目があります。
・便意を感じてもすぐにトイレに行かずにスルーしてしまう。
・朝、トイレに座る時間を確保しない。
・便意のセンサーが弱っている
・排便時に痛みを感じる
・いきめない
・便が硬くて太く出しづらい

これらに当てはまっている方の中で直腸性便秘になる方の原因として、我慢というのは大きな問題点になります。通常、直腸まで便が下りてくると、便意を感じるセンサーがありそこが反応することで反射的に便意が訪れることになります。そこで、トイレに行くのに恥じらいが合ったり、時間がなかったりすると、ついつい我慢してしまい正常な便意の反射機能が低下してしまいます。

器質性便秘

器質性便秘の場合、腸自体に問題がある可能性が高いです。そのため食生活や生活習慣を変えてもあまり改善することがありません。このような場合すぐにでも専門医に相談するのがよいでしょう。器質性便秘かどうかという判断はどのようにして行ったらいいのでしょうか。
症状としては、
・ 便に血が混ざっている
・ 便の形が細い、平べったい
・便の色が 黒、赤、灰色
このように通常あまり見ることがない便が出た場合は、器質性便秘である可能性があります。

便秘症は若い女性より、70~80代の高齢者に多い 

お腹が痛くて押さえる女性

若い女性が便秘で悩んでいるというイメージが世間的についており、皆さんも主に若い女性が便秘というイメージはお持ちではありませんか。CMや広告などでも、イメージとして若い女性を起用しようしているためでしょうか。実際には別表を見ていただければわかる通り、高齢者がほとんどで、女性が多い傾向にはあるものの、60代を超えた辺りからは性別に関係なく便秘になる方が多いのが現状です。便秘の肝になるのが腸の蠕動運動で、筋力が重要な役割を果たします。加齢によって衰える筋力低下が原因で便秘になることがほとんどで、そのほか食事量の減少や、持病の服薬による副作用なども重ねて原因になってきます。

便秘の原因に合った対処方法を実施しよう

医師に相談する男性

便秘の多くは機能性便秘で自信の生活を整え、健康的な生活を送ることで改善できることが多いです。まずは、腸にとっていい生活をしているのかを見直して、それでも解消しない場合は専門医に相談してみましょう。

東海林 さおり
看護師

看護師資格修得後、病棟勤務・透析クリニック・精神科で『患者さん一人ひとりに寄り添う看護』の実践を心掛けてきた。また看護師長の経験を活かし現在はナーススーパーバイザーとして看護師からの相談や調整などの看護管理に取り組んでいる。