2021.06.21

高齢者の不調を発見する|脱水の症状や原因と対策

最終更新日:2021.06.21

高齢者によく起こる不調のひとつに「脱水」があります。脱水症状とは具体的にはどのような症状なのか、また、なぜ脱水になるのかについて解説します。脱水状態は命の危険もあるので、早く気付くだけでなく、症状を起こさないことも大切です。脱水対策も紹介しますのでぜひ参考にしてください。

高齢者の脱水は命の危険がある

水

人間の身体に水は不可欠です。体温を調節したり老廃物を排泄したりと、水があることで生命活動をスムーズに行えます。しかし、高齢者は脱水症状に陥りやすく、ひとたび脱水を起こすと命の危険にもさらされる可能性があるでしょう。

脱水の症状について

脱水とは、体内の水分と電解質が不足した状態のことです。電解質とは主にカリウムやナトリウムなどの体内でイオンの状態で存在する物質で、汗や尿などに含まれて水分と一緒に体外に流出するため、体内の水分量が減ると電解質の量も減ってしまいます。脱水状態に陥ると初期症状が現れ、初期症状を放置すると脱水症状が進行しさらに深刻な事態になることもあるでしょう。

初期症状

脱水症状に陥ると、めまいや立ちくらみ、こむら返りなどが初期症状として現れます。汗が大量に出て、さらに状態が悪化することもあるでしょう。その他にも、微熱が出たり、手足の筋肉に痛みを感じたりすることがあります。

初期症状を放置した場合

脱水の初期症状が現れたときに少しずつ水分と電解質を補給すれば、身体を休ませることができます。しかし、初期症状に気付かず放置した場合には、脱水状態がさらに進行し、吐き気や嘔吐、頭痛、全身のだるさなどの症状が現れることがあるでしょう。吐き気や嘔吐、頭痛の状態をさらに放置すると、意識がなくなったり全身けいれんを起こしたり、高熱が出たりすることがあります。また、平衡感覚を失い、まっすぐに歩くことができなくなるでしょう。このような深刻な症状が見られたときは、一刻も早く病院で治療を受ける必要があります。

脱水の主な原因について

寝室

高齢者が脱水状態になりやすいのは、いくつかの理由があります。主な原因を10紹介しますので、該当する状態や気になる点がある場合は脱水状態にならないように通常以上に注意する必要があるでしょう。

窓際のベッド

高齢者の方は体力上の問題や病気などの事情によりベッドのうえで過ごす時間が長いことが多いもの。窓際にベッドを設置すると採光も良く明るい状態で過ごすことができますが、冬は乾燥しやすく、夏は高温多湿の悪環境になることが多いです。また、直射日光に当たることで皮膚が乾燥しがちになり、身体の水分・電解質も奪われやすくなるでしょう。

寝たきり状態

寝たきり状態になることも脱水とは無関係ではありません。寝たきりになると運動量が減るため、喉が渇きにくくなり、水分不足・電解質不足になることがあります。また、身体を一人で動かすことが難しいため、少しでもトイレに行く回数を減らそうと水分量を制限する方も少なくありません。水分量を制限すると、体内の水分が減り、脱水状態になってしまうこともあります。

筋肉量の減少

年齢が高くなるほど体内に保有する水分量は減っていきます。例えば新生児は体重の80%は水分が占めていますが、幼児になると70%の水分量、成人すると60%、高齢者は50%と徐々に少なくなるのです。そのため、高齢者は少しの水分を失うだけでも脱水状態になりやすいですが、水分を備蓄することができる筋肉の量が若いときよりも減っていると、さらに水分がなくなり脱水状態になりやすくなります。

発汗

発汗すると体内の水分や電解質が体外に放出されます。高齢者は体内の水分量が少なく、水分を備蓄できる筋肉の量も少ないため、比較的少量の汗をかいても脱水状態になる危険性があるでしょう。とはいえ、汗をかかないように生活していくことは難しく、また、体内の老廃物を排出できないため良いことではありません。しっかりと汗をかき、かいた汗以上の水分を積極的に摂取するように心がけていきましょう。

水分を摂らない

成人は、毎日1Lの水分を飲み物から摂取するのが望ましいとされています。しかし、トイレに行く回数を減らしたい、あまり喉が渇いたように感じないなどの理由により水分摂取量を控えてしまうと、必要な水分を体内に入れることができずに脱水状態になることがあるでしょう。また、失禁を恐れて、水分量を減らしている方もいらっしゃるかもしれません。小さめのコップ(150ml)なら毎日7、8杯、大きめの湯飲み(200ml)なら毎日5、6杯は麦茶やミネラルウォーターなどを飲むように意識し、脱水状態を回避するようにしましょう。

食欲の低下

人間が必要とする水分量は1日に約2.5Lです。そのうちの1Lは飲み物から、300mlは代謝水(栄養分が体内で分解される際に生成される水)から摂取しますが、残りの1.2Lは食事から摂ることが想定されています。しかし、食欲が低下し、食事量が減ると、毎日の食事から十分な量の水分を摂取することができません。場合によっては脱水状態に陥り、症状が深刻な場合には意識障害や高熱などの命の危険につながる症状が現れることもあります。

利尿剤の服用

利尿剤を服用している場合は、尿によって水分が失われやすくなっています。適切な量の利尿剤を服用し、なおかつ医師の指示に従った水分量を摂取しているか今一度確認しておきましょう。

下痢・嘔吐

下痢や嘔吐が続いている時も、脱水状態に陥りやすいです。また、下痢や嘔吐として体外に水分が排出される際には、水分に含まれる電解質が汗よりも高濃度になるため、電解質の量も大きく減少します。カリウムやナトリウム等のミネラルが入った水分を摂取し、脱水状態を回避するようにしましょう。

腎臓病・糖尿病

糖尿病の方は尿量が増えることが多く、意識的に水分を多めに摂取しないと脱水状態になる危険性があります。また、高血圧症状がある方は利尿作用のある降圧剤を服用することもあり、脱水状態になりやすいと言えるでしょう。その他にも、腎臓病に罹患している方は、糖尿病や高血圧を併発していることが多いため、尿量が増えて脱水症状になりやすい状態と考えられます。

嚥下障害

嚥下障害がある方は、食べることが難しいため、自然と食欲が落ちてしまうことが多いです。そのため、食べ物由来の水分摂取量が減り、脱水症状に陥りやすくなります。また、誤嚥を防ぐために意図的に食事量をコントロールしている方も少なくありません。とろみをつけた飲み込みやすい状態にするなどして、食事や飲み物から必要な水分量を摂取するように工夫しましょう。

在宅で出来る脱水対策とは

お茶

脱水状態にならないためにも、普段から水分と電解質を適時摂取することが大切です。高齢の方は喉が渇きにくいことが多いので、「喉が渇いたら水分を摂取する」ではなく、一日に何度もお茶の時間を設けて「時間が来たから水分を摂取する」ように心がけましょう。また、嚥下障害がある方や食事が食べにくいと感じている方には、とろみをつけて喉を通りやすくすることもできます。とろみをつけることで食べ物に含まれる水分量も増やせるため、効率よく水分摂取ができるという点もメリットです。発汗しやすいタイミングの前後に水分を摂取することも脱水対策になります。入浴前と入浴後、就寝前と起床後、運動前と運動後のように時間を決めて、水分と電解質を補給しましょう。水分だけでなく電解質を適時補給するために、電解質が入ったドリンクを普段から飲用することもできます。例えば無塩のトマトジュースに少量(1Lに3g程度)食塩を入れ、砂糖を好みの量加えて一日に何度か飲むこともできるでしょう。普通の水に少量(1Lに3g程度)食塩を入れて、さらに好みで砂糖を加えて飲めば、水分だけでなく電解質も補給できます。

脱水が見られた時の応急処置とは

公園

脱水症状が見られた時は、電解質が適量入った水分をゆっくりと摂取し、体内に水分と電解質を補給するようにします。先程紹介したような水や野菜ジュースに塩と砂糖を混ぜたドリンクを飲むこともできますし、市販の経口補水液を引用することも可能です。万が一の時のためにも、ご家庭に経口補水液をいくらか備蓄しておくことができるでしょう。また、水分と電解質を補給後は、適度な温度と湿度の状態の部屋でゆっくりと休み、体力を消耗しないようにしてください。口から水分を摂取することが難しい場合や、けいれんや意識障害などの重篤な症状が出ている場合は、すぐに医療機関に行き、点滴などにより水分と電解質を補給してもらう必要があります。迅速に救急車を呼び、適切な処置を受けられるようにしましょう。

東海林 さおり
看護師
看護師資格修得後、病棟勤務・透析クリニック・精神科で『患者さん一人ひとりに寄り添う看護』の実践を心掛けてきた。また看護師長の経験を活かし現在はナーススーパーバイザーとして看護師からの相談や調整などの看護管理に取り組んでいる。