2022.01.17

介護医療院とは|費用や受けられるサービスについて説明

最終更新日:2023.01.17
増田 高茂
社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者

「介護医療院」は、介護保険が適用される介護保険施設のひとつです。介護サービスを提供することはもちろん、医療的ケアが充実していることが大きなポイントとなります。介護医療院は、介護のニーズが多様化する現代社会で、新たに生まれました。こちらの記事では、介護医療院の具体的な内容や費用、メリットなどについて分かりやすく解説していきます。

介護医療院とは

医師

介護医療院とは、医療と介護のニーズを一体化した介護施設です。介護保険が適用される介護保険施設として、新たに平成30年に創設されました。

従来の介護保険施設は「介護老人福祉施設」、「介護老人保健施設」、「介護療養型医療施設
」の3種類。介護老人福祉施設は特別養護老人ホームとも呼ばれ、原則要介護3以上で自宅での生活が難しい高齢者を対象とした「終の棲家」でもあります。また、介護老人保健施設は在宅復帰を目的とした施設で、主にリハビリを提供することで心身機能の向上を図っています。もう一つの介護保険施設である介護療養型医療施設は、母体が病院や診療所であり、入居者に必要な医療的ケアを提供する施設です。
どの施設でも介護サービスは利用できるものの、これまでの介護保険施設は「介護」か「医療」どちらかを重視したものでした。

これらに対し、介護医療院は、日常的な医療的ケアだけでなく、終末期の医療や介護にも総合的に対応できる施設です。超高齢化が進む現代社会において、最期まで自分らしく過ごせる「終の棲家」としての役割が期待されています。

入居条件

介護医療院を利用できるのは、要介護1~5に認定された方です。介護認定を受けていない場合は、市区町村の担当窓口で認定の申請手続きをする必要があります。要介護認定の対象は65歳以上ですが、40~64歳の方でも公的医療保険に加入し、厚生労働省が介護保険法で定めている16の特定疾病により要介護状態となっている場合は申請可能です。

介護医療院は新設されて間もない施設のため、「どの施設が介護医療院なのか分からない」「どこにあるのか分からない」いう方も多いでしょう。そのような場合には、担当のケアマネジャーや地域包括支援センター、お住いの自治体の介護保険担当窓口に問い合わせてみましょう。

サービスの内容

介護医療院は、医療を必要とする要介護者のための長期療養型施設です。そのため、施設には医師や看護師が常駐しています。終末期医療(ターミナルケア)を含む総合的な医療サービスに対応できるので、最期を迎える方や家族にとって心強い施設であると言えるでしょう。

さらに、介護医療院には要介護者の長期的な生活の場という側面もあります。「住み慣れた土地で自分らしく過ごす」という地域包括的な視点のもと、自立支援のための介護サービスを提供する施設です。

介護内容は、食事や排せつ介助、入浴介助などさまざまです。必要に応じて身体機能向上のための機能訓練も実施します。施設によっては、地域の方と交流したり、季節に応じた行事を催したりすることもあるでしょう。

このように、介護医療院は「医療サービス」と「介護サービス」双方が充実していることが大きな特徴となっています。

介護医療院の費用について

介護医療院の費用について説明している女性

介護医療院の月額費用の内訳は、「介護サービス費」・家賃にあたる「居住費」・「食費」・日用品など を購入する「生活費」に分かれます。入居前の一時金は必要ありません。医療費については、施設内で実施される医療ケアに関しては「介護サービス費」に含まれていますが、他の医療機関を受診した際は別途必要になるので覚えておきましょう。

実際の金額は要介護度や自己負担割合・施設形態・お住まいの地域 によって異なります。一日あたりの介護サービス費と居住費の目安は以下のとおりです。

介護サービス費
  従来型個室 多床室 ユニット型
要介護1 714円/日 825円/日 842円/日
要介護2 824円/日 934円/日 951円/日
要介護3 1,060円/日 1,171円/日 1,188円/日
要介護4 1,161円/日 1,271円/日 1,288円/日
要介護5 1,251円/日 1,362円/日 1,379円/日

※1単位=10円、自己負担割合1割の場合
※Ⅰ型介護医療院(Ⅰ)、ユニット型Ⅰ型介護医療院(Ⅰ)の場合
※別途、施設の人員体制や提供するサービス内容によって「サービス加算」が算定されます。
※参照:令和3年4月版介護報酬算定構造 P介護25(https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000728262.pdf)

  居住費 食費
従来型個室 1,668円/日 1,392円/日
多床室 377円/日
ユニット型個室 2,006円/日
ユニット型個室的多床室 1,668円/日

※料金は1日当たり
※参照:厚生労働省社会保障審議会 第194回 資料10 P4
(https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000698298.pdf)

例えば、要介護度3の方が多床室を利用した場合、1ヶ月当たりの月額費用は以下のようになると考えられます。

(例)要介護度3(食費1,392円/日・1ヶ月=30日)
介護サービス費 35,130円
居住費 11,310円
食費 41,760円
生活費 5,500円
合計 93,700円

※1単位=10円、自己負担割合1割の場合
※Ⅰ型介護医療院(Ⅰ)、ユニット型Ⅰ型介護医療院(Ⅰ)の場合
※別途、施設の人員体制や提供するサービス内容によって「サービス加算」が算定されます。

介護費用の負担が大きいと感じる場合には、軽減制度である「特定入所者介護サービス費(負担限度額認定制度)」や「高額介護サービス費」を利用できる場合があります。これらは所得に応じ、食費や居住費を減免したり、給付を受けたりする制度です。費用面で不安を感じるときは、担当ケアマネジャーや市区町村の介護保険担当窓口に相談し、利用できる制度がないか確認してみましょう。

介護医療院のメリット・デメリット

まるばつの札を持っている介護士

介護医療院の大きなメリットは、医師や看護師が配置され医療的ケアが充実していることです。施設によっては医師が24時間常駐し、緊急時にも対応可能となっています。

インスリン注射や点滴、経管栄養や痰吸引といった日常的な医療的ケアは、介護士では対応できません。医療面に不安を抱える要介護者にとって、介護医療院は安心して入所できる施設です。

また、介護医療院は生活の場としてのサービスが充実しています。特別養護老人ホームのように、身体介護以外に生活支援や地域との交流活動をも重視しているのです。これにより、例え重度の要介護状態や看取り状態になっても、住み慣れた地域での暮らしを続けることが可能になります。

一方、デメリットとしては、多床室が多くプラシバシーを守りにくいという点が挙げられます。今後は利用者や家族のプライバシーを尊重し、個々のニーズに合わせたサービスがさらに求められていくでしょう。

介護医療院が向いている方

介護医療院に入居している女性と働いている介護士

介護医療院は、医療的ケアが必要な方に向いている施設です。従来の介護保険施設の場合、介護士では対応できない医療的ケアが必要な方は、断られてしまうケースがあります。そのような場合でも、入院するのではなく介護施設での生活を維持しながら暮らすことができます。

長期療養や終末期医療にも対応しており、最期まで安心して生活できることもポイントです。「どのように、どこで最期を迎えるのか」といった看取りの選択肢の幅が広がります。

また、比較的介護度の高い方が多いため、「寝たきりの家族の在宅介護が難しい」という方にとっても心強い施設です。家族の介護負担を軽減し、医療と介護の連携によって高齢者を支える施設として、そのニーズはより高まっていくでしょう。

まずは相談してみよう

介護医療院に入居している男性と働いている介護士

高齢化が進む現代社会において、介護の受け皿拡充は大きな問題です。以前は「家族がするもの」と思われていた介護は、今では「地域で支えていくもの」へと変化を見せています。

医療と介護を一体型にした介護医療院は、多様化するニーズへの対応が期待される施設です。滞在費や食費を減免する制度も活用できるため、費用面で不安がある方でも充分選択肢に入ります。利用を希望する場合は、担当のケアマネジャーや最寄りの地域包括支援センター・市区町村の介護保険担当窓口に相談し、よく検討していくことをおすすめします。

また、直接相談に行くことは「気が引ける」「恥ずかしい」とお考えの方には、日常的な介護の困りごとをQ&A方式で質問できる「介護の広場」がおすすめです。介護のお悩みを投稿するだけで、介護経験のあるかたや専門職から回答を得ることができます。ぜひ一度アクセスしてみてください。

増田 高茂
社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者

多くの介護事業所の管理者を歴任。小規模多機能・夜間対応型訪問介護などの立ち上げに携わり、特定施設やサ高住の施設長も務めた。社会保険労務士試験にも合格し、介護保険をはじめ社会保険全般に専門知識を有する。現在は、介護保険のコンプライアンス部門の責任者として、活躍中。