2021.08.25

介護医療院とは|費用や受けられるサービスについて説明

最終更新日:2021.08.25

「介護医療院」は、介護保険が適用される介護保険施設のひとつです。介護サービスを提供することはもちろん、医療的ケアが充実していることが大きなポイントとなります。介護医療院は、介護のニーズが多様化する現代社会で、新たに生まれました。こちらの記事では、介護医療院の具体的な内容や費用、利用できるサービスなどについて分かりやすく解説していきます。

介護医療院とは

医師

「介護医療院」は、医療と介護、両方のニーズを一体化した介護施設です。介護保険が適用される介護保険施設として、平成30年に新たに誕生しました。従来の介護保険施設は「介護老人福祉施設」、「介護老人保健施設」、「介護療養型医療施設」の3種類です。介護老人福祉施設は特別養護老人ホームとも呼ばれ、介護を必要とする高齢者が長期間入居することのできる施設です。また、介護老人保健施設はリハビリを主に提供する施設です。退院後に入居する利用者が多く、在宅復帰のための身体機能向上を目的としています。介護療養型医療施設は、母体が病院や診療所であり、入居者に必要な医療的ケアを提供する施設です。どの施設でも介護サービスは利用できるものの、これまでの介護保険施設は「介護」か「医療」どちらかを重視したものでした。そのようななかで生まれた介護医療院は、日常的な医療的ケアだけでなく、看取りやターミナルケアにも対応できる施設です。超高齢化が進む現代社会において、最期まで自分らしく過ごせる「終の棲家」としての役割が期待されています。

入居条件

介護医療院を利用できるのは、要介護1~5に認定された方です。介護認定を受けていない場合には、市区町村の担当窓口で認定の申請手続きをする必要があります。要介護認定の対象は65歳以上ですが、64歳以下であっても特定疾病を抱えている場合には申請可能です。また、介護医療院は新設されて間もない施設のため、近隣にあるか分からないという方も多いかもしれません。そのような場合には、担当ケアマネジャーや地域の担当窓口に問い合わせてみましょう。介護医療院の有無を含め、自分にどのような施設が適しているのかを相談することができます。

サービスの内容

介護医療院は、医療を必要とする要介護者のための長期療養型施設です。そのため、施設には医師や看護師が配置されてしています。ターミナルケアを含む総合的な医療サービスに対応できるため、終末期を迎える方や家族にとって心強い施設であると言えるでしょう。さらに、介護医療院は要介護者の長期的な生活の場でもあります。「住み慣れた土地で自分らしく過ごす」という地域包括的な視点のもと、自立支援ための介護サービスを提供する施設です。介護内容は、食事や排せつ介助、入浴介助までさまざま。基本的なものだけでなく、必要に応じて身体機能向上のための機能訓練も実施します。施設によっては、地域の方と交流したり、季節に応じた行事を催したりすることもあるでしょう。このように、介護医療院は「医療サービス」と「介護サービス」双方が充実していることが大きな特徴となっています。

費用について

介護_費用

介護医療院の月額費用の内訳は、家賃にあたる「居住費」、「介護サービス費」、「食費」、日用品などを購入する「生活費」に分かれます。入居前の一時金は必要ありません。実際の金額は施設の形態によっても異なりますが、一日あたりの介護サービス費と居住費の目安は以下のとおりです。

介護サービス費(1割負担・単位/円)
  従来型個室 多床室 ユニット型
要介護1 698 825 842
要介護2 807 934 951
要介護3 1,041 1,171 1,188
要介護4 1,141 1,271 1,288
要介護5 1,230 1,362 1,379

 

居住費(単位/円)
従来型個室 1,640
多床室 320
ユニット型個室 1,970
ユニット型個室的多床室 1,640

例えば、要介護度3(1割負担)の方が多床室を利用した場合、1か月当たりの月額費用は以下のようになると考えられます。

(例)要介護度3(食費1,380/日・単位/円)
居住費 9,600
食費 41,400
介護サービス費 34,530
生活費 5,250
合計 90,780

介護費用の負担が大きいという場合には、軽減制度である「特定入所者介護サービス費」や「高額介護サービス費」を利用できる場合もあります。所得に応じ、食費や居住費を減免したり、給付を受けたりすることが可能です。費用に不安を覚る際は、担当ケアマネジャーや市区町村の窓口に相談し、利用できる制度がないかよく確認してみましょう。

メリット・デメリット

メリット_デメリット

介護医療院の大きなメリットは、医師や看護師が配置され医療的ケアが充実していることです。施設によっては医師が24時間常駐し、緊急時にも対応可能となっています。インスリン注射や点滴といった日常的な医療的ケアは、介護職では対応できません。医療面に不安を変える要介護者にとって、介護医療院はメリットのある施設だと考えられます。さらに、介護医療院は要介護者の生活の場としてのサービスが充実しています。そのため、身体介護以外にも、生活支援や地域との交流活動を重視していることがポイントです。医療と介護、地域の連携により、住み慣れた土地で生活が続けられます。一方、デメリットとして挙げられるのは、多床室が多くプラシバシーを守りにくいという点です。今後は利用者や家族のプライバシーを尊重し、個々のニーズに合わせたサービスがさらに求められていくでしょう。

介護医療院が向いている方

介護

介護医療院は、医療的ケアが必要な要介護者に向いている施設です。介護職では対応できない医療的ケアが必要な方は、従来の介護保険施設では断られてしまうケースもあるかもしれません。そのような方にも、入院するのではなく、介護施設で必要なサービスを利用できます。長期療養のための医療が充実しており、最期まで安心して生活できることもポイントです。「どのように、どこで最期を迎えるのか」といった看取りの選択肢の幅が広がります。また、比較的介護度の高い方が多いため、「寝たきりの家族の在宅介護が難しい」という方にとっても心強い施設です。家族の介護負担を軽減し、医療と介護の連携によって高齢者を支える施設として、そのニーズはより高まっていくと言えるでしょう。

まずは相談してみよう

介護

高齢化が進む現代社会において、介護の受け皿拡充は大きな課題です。以前は「家族がするもの」と思われていた介護は、今では「地域で支えていくもの」へと変化を見せています。医療と介護を一体型にした介護医療院は、そのように多様化するニーズへの対応が期待される施設です。介護する側、される側にとってメリットがあると考えられます。利用を希望する際は、ケアマネジャーや地域の担当窓口を通し、費用やサービス内容をよく検討していきましょう。

増田 高茂
社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者
多くの介護事業所の管理者を歴任。小規模多機能・夜間対応型訪問介護などの立ち上げに携わり、特定施設やサ高住の施設長も務めた。社会保険労務士試験にも合格し、介護保険をはじめ社会保険全般に専門知識を有する。現在は、介護保険のコンプライアンス部門の責任者として、活躍中。