2023.09.17

介護医療院とは?特徴や費用、メリット・デメリットを解説

最終更新日:2023.12.06

介護保険制度に基づくサービスは、大きく「居宅サービス」「施設サービス」「地域密着型サービス」の3類型に分かれています。それぞれ目的や対象者に違いがあるなかで、「施設サービス」の一種に「介護医療院」という入所施設があります。名称に“介護”と“医療”を冠する介護施設は、これだけ(現存している廃止予定の施設を除く)です。いったいどんな施設なのでしょうか?今回は、介護医療院を徹底解説していきます。この記事を最後まで読めば、介護医療院の特徴や費用・他の施設との違いが分かります。ぜひ最後までご覧ください。

介護医療院とは

介護医療院とは介護医療院とは、2018年4月に創設された比較的新しい介護保険施設です。その特徴は要介護者の「長期療養」を担う療養病床と「生活の場」を担う介護施設両方の機能を持った施設であるという点です。元々、介護保険制度には「介護療養型医療施設」という同様のサービスがありました。しかし国の政策で2017年末に廃止され、その代わりに生まれたのが「介護医療院」です。 2023年8月現在、「介護療養型医療施設」は「介護医療院」への移行期間としてまだ一部で存続しています。しかし2024年3月末には完全廃止され、「介護医療院」に全面移行することになっています。

介護医療院はⅠ型とⅡ型に分けられる

介護医療院は、高齢者を入所させて「長期療養」と「日常生活」を支える施設です。その中でも対象とする利用者によってⅠ型とⅡ型に分けられています。Ⅰ型は主に療養に重きを置いた施設であり、Ⅱ型は主にリハビリによって在宅復帰を目指すことに重きを置いた施設という違いがあります。

<介護医療院Ⅰ型と介護医療院Ⅱ型の違い>

 

Ⅰ型(強化型A/強化型B)

Ⅱ型

主な目的

長期療養・日常生活上の支援

利用者の状態像

長期にわたり療養が必要で、重篤な身体疾患や、身体合併症を有する認知症高齢者

左記の状態像以外で比較的容体が安定している者

施設基準

介護療養型医療施設(介護療養病床)相当

介護老人保健施設相当

さらに介護医療院Ⅰ型は「強化型A」「強化型B」の2種類に細分化されており、「強化型A」の方が医療ケアや看取りケアを必要とする方の受け入れ割合が多くなっています。なお、上記以外に居住部分のみが医療機関に併設された「併設型介護医療院」もあります。

介護医療院の入居条件

介護医療院に入所するためには、以下4つの条件をすべて満たす必要があります。

  • ・要介護1以上の認定を受けていること
  • ・日常的に医療ケアが必要で、在宅介護が困難なこと
  • ・緊急連絡先・身元保証人がいること
  • ・支払い能力があること

要件① 要介護1以上の認定を受けていること

介護医療院は要介護1以上の認定を受けていることが絶対条件です。基本的には65歳の高齢者が対象になりますが、40~64歳の方でも公的医療保険に加入していて厚生労働省が定める16の特定疾病によって要介護状態となっている方(第二号被保険者)であれば入居できる可能性があります。 認定を受けていない場合は、住民票のある市区町村に要介護認定の申請をして認定を受ける必要があります。

要件② 日常的に医療ケアが必要で、在宅介護が困難なこと

他の介護保険施設も同様ですが、入居するためには在宅介護が困難な心身状態になると客観的に認められなければなりません。介護医療院は長期療養を重視した施設なので、特別な医療行為が不要な方は対象外と言われる場合もあります。要介護度も含め、より重度の方が優先される傾向にあることを覚えておきましょう。

要件③ 緊急連絡先・身元保証人がいること

入所にあたっては緊急連絡先や身元保証人を立てることを求められます。これは本人が意思決定できない状態となったときに代わりに近親者から判断していただく必要があるからです。基本的には配偶者・子ども・きょうだいなどの親族が担うことになるでしょう。入所後に死亡した場合も、その後の対応は身元保証人が対応することになります。

要件④ 支払い能力があること

当然ながら、入所に関する費用を支払えるだけの経済能力も必要になります。生活保護受給者でも入所できますが、給付される生活保護費で全額を賄えない場合は差額を親族が補填することになるでしょう。 このように、介護医療院に入所するためには一定の条件が必要です。ルール上は要介護1から申し込むことが可能ですが、重度の方や継続的で長期にわたる医療ケアを必要とされる方が優先されることを覚えておきましょう。 なお、入所にかかる費用については記事の後半でご紹介していますので、あわせてご覧ください。

介護医療院と医療療養型病院との違い

介護医療院は長期療養と生活支援を目的とした介護保険施設であるとご紹介しましたが、実は医療保険にも「療養型病院」という同様の入院施設があります。療養型病院は長期間入院している患者が多く、看取りケアや継続的な医療ケアにも対応していることから、区別が非常に難しくなっています。 介護医療院と療養型病院の違いを、以下の表にまとめました。

<介護医療院と療養型病院の違い>

 

介護医療院

療養型病院

保険適用

介護保険

医療保険

区別

介護保険施設

医療施設

主な目的

長期療養と日常生活上の支援

慢性期治療

対象者 原則65歳以上の介護保険被保険者
(要介護1以上)
慢性期の患者
(年齢制限なし)

 

このように、介護医療院は介護保険制度上の施設のため要介護認定を受けている人が対象で、「住居」としての機能を持つ生活施設です。一方、療養型病院はあくまで「病院」の一種です。要介護認定を受けていない方でも利用可能で入院中に必要に応じた介護も行われますが、あくまで慢性期治療に付随する身体介護に限られます。また、介護医療院は介護施設として「生活の場」の機能を持ちますが、療養型病院はあくまで「医療施設」です。「日常生活の場」である介護医療院と違ってレクリエーションや買い物・掃除・洗濯などの生活の質を高める生活支援までは求められていない点を押さえておきましょう。

他の施設との違い

介護療養型医療施設(療養病床)との違い

介護療養型医療施設(療養病床)は、介護医療院の前身と呼べる施設です。長期療養が主な目的の介護保険サービスの一種ですが、2017年末をもって廃止が決定。新たに長期療養の機能に加えて生活施設としての機能を持った介護医療院が誕生しました。廃止決定時点で運営していた一部の介護療養型医療施設は現在も存続していますが、2024年3月には移行期間が終了し、介護医療院へ完全移行となります。

特別養護老人ホームとの違い

特別養護老人ホームは、原則要介護3以上の方が入居できる終身対応の介護施設です。「生活の場」としての意味合いが強く、対応可能な医療的ケアも限られています。一方で、介護医療院は要介護1以上の方が対象の「長期療養」と「生活の場」2つの機能を併せ持つ施設という点が違います。介護医療院は医療ケアにも強い施設です。医療依存度が高く特別養護老人ホームでは受け入れを断られるような場合でも、介護医療院であれば受け入れてもらえる可能性があるでしょう。

介護老人保健施設との違い

介護老人保健施設は、要介護1以上の方が入居できるリハビリを重視した医療系の介護施設です。在宅復帰を目的にしたリハビリが入所の主な目的です。入居期間が限られており、在宅復帰が可能と判断されれば退去を求められる場合があります。一方、介護医療院にはⅠ型とⅡ型があり、Ⅱ型は介護老人保健施設に相当するサービス内容とされています。ただし介護老人保健施設と異なる点は、看取りにも対応しているという点です。実態として介護老人施設でも看取りを行うケースはあるのですが、看取りが前提ではありません。介護医療院は、特に長期的なリハビリを見越した施設であると言えるでしょう。

介護付き有料老人ホームとの違い

介護付き有料老人ホームは、「特定施設入居者生活介護」という介護保険サービスの指定を受けた有料老人ホームのことを言います。介護スタッフが常駐する集合住宅と表現すればイメージが付きやすいのではないでしょうか。施設によっては自立でも入居を受け入れている場合もありますが、基本的には何らかの要介護認定を受けている方が対象です。経営者の運営法死人によってアットホームで特別養護老人ホームに近い感じの施設から、富裕層向けの超高級施設と施設ごとに様々な違いがあります。介護医療院との違いは、対応できる医療ケアに限界があることと、看取りケアには対応していない場合があることです。また、まとまった入居一時金が必要で食費や居住費の減免も対象外なので、支払い能力に不安がある場合は入居が難しいでしょう。

介護医療院のサービス内容

介護医療院は、介護施設としての機能と医療施設としての機能の双方を併せ持っています。例えれば特別養護老人ホームに療養型病院の機能がプラスされたようなサービスを提供しています。そのため介護・医療どちらのニーズにも対応し、専門的で充実したサービスを受けることができるでしょう。

介護サービス

介護医療院では、介護職員による入浴・排泄・食事などに関する身体介護を受けることができます。また、生活支援に関するサービスとして掃除・洗濯・レクリエーションなど生活の質の向上に関わる支援も提供します。それ以外にも、健康管理や機能訓練・栄養管理なども行います。 介護職員・看護職員・機能訓練指導員・栄養士などの各専門職がそれぞれの得意分野を活かして連携し、日常生活全体を支えます。

医療サービス

介護医療院は医師や看護師が配置されているため、様々な医療行為を受けることができます。薬の処方や診察・基本的な検査にも対応しています。施設によって詳細は異なる場合がありますが、痰吸引や経管栄養・床ずれの処置・膀胱留置カテーテル・人工肛門(ストマ)・在宅酸素療法などの日常的な医療ケアも実施可能です。 「入院加療が必要な状態ではないが、通常の介護施設では継続的な医療ケアを理由に受け入れてもらえない」というニーズに対応する施設となっています。

介護医療院の人員基準

介護医療院はⅠ型とⅡ型でサービス内容や目的が異なるため、人員配置にも違いがあります。それぞれの人員配置や違いを下表にまとめました。

 

Ⅰ型介護医療院

Ⅱ型介護医療院

医師

入所者48人ごとに1人以上 入所者100人ごとに1人以上

薬剤師

入所者150人ごとに1人以上 入所者300人ごとに1人以上

看護師

入所者6人ごとに1人以上

介護職員

入所者5人ごとに1人以上 入所者6人ごとに1人以上

リハビリ職員

実情に応じた適当数

栄養士

定員100人以上の場合は1人以上

ケアマネジャー(介護支援専門員)

入居者100人ごとに1人以上

この表から分かるように、介護医療院には医師・薬剤師・看護師といった医療系の専門職に加えて介護職員やリハビリ担当の職員も配置されていることが特徴です。また、Ⅰ型は介護療養型医療施設相当・Ⅱ型は介護老人保健施設相当という違いがあるため、重度の方が多いⅠ型施設の方が配置基準が厳しくなっています。

介護医療院の設備基準

介護医療院の設備基準は、以下の通りです。

設備

設備基準

療養室

イ)     療養室の定員は、4人以下
ロ)     入所者1人当たりの床面積は、8m2 以上
ハ)     地階に設けてはならない
ニ)     出入口は、1つ以上は避難上有効な空地、廊下又は広間に直接面して設ける
ホ)     入所者のプライバシーの確保に配慮した療養床を備えること
ヘ)     入所者の身の回り品を保管することができる設備を備えること
ト)     ナースコールを設けること

診察室

イ)     医師が診察を行う施設
ロ)     喀痰、血液、尿、糞便等について通常行われる臨床検査を行うことができる施設(臨床検査施設)※調剤を行う施設
ハ)     臨床検査施設は、人体から排出され、又は採取された検体の検査(検体検査)の業務を委託する場合にあっては、当該検体検査に係る設備を設けないことができる

処置室

イ)     入所者に対する処置が適切に行われる広さを有する施設
ロ)     診察の用に供するエックス線装置(定格出力の管電圧(波高値とする。)が十キロボルト以上であり、かつ、その有するエネルギーが一メガ電子ボルト未満のものに限る。)
ハ)     イに規定する施設にあっては、前号イに規定する施設と兼用することができる

機能訓練室

内法による測定で40m2 以上の面積を有し、必要な器械及び器具を備えること。

ただし、併設型小規模介護医療院にあっては、機能訓練を行うために十分な広さを有し、 必要な器械及び器具を備えること

談話室

入所者同士や入所者とその家族が談話を楽しめる広さとすること

食堂

内法による測定で、入居者1人当たり1m2以上の面積を有すること

浴室

イ)     身体の不自由な者が入浴するのに適したものとすること
ロ)     一般浴槽のほか、入浴に介助を必要とする者の入浴に適した特別浴槽を設けること

レクリエーションルーム

レクリエーションを行うために十分な広さを有し、必要な設備を備えること

洗面所

身体の不自由な者が利用するのに適したものとすること

便所

身体の不自由な者が利用するのに適したものとすること

介護医療院は介護・医療双方の機能を持つため、通常の介護施設と比較しても設備基準で求められている範囲が広くなっています。日常生活に必要な設備に加えて、医療行為に必要な設備を整えることが求められています。

介護医療院を利用するメリット・デメリット

介護医療院のメリット

介護医療院を利用するメリットは、以下の通りです。

  • ・要介護1から入所できる
  • ・重度の介護が必要な方でも入所できる
  • ・医療ケアに対応している

介護医療院は、特別養護老人ホームと同様に生活の場としての機能を持つ施設です。特別養護老人ホームは原則要介護3以上でないと入居できませんが、介護医療院の場合は医療ケアが必要な方であれば要介護1から入所できます。また、重度になっても十分対応できる点が魅力です。さらに、手厚い医療ケアを受けることができるので、他の施設から医療ケアを理由に断られるような方でも入居できる可能性があります。看取りケアにも対応しているため、最期まで安心して生活することができるでしょう。

介護医療院のデメリット

介護医療院のデメリットは、以下の通りです。

  • ・費用が比較的高い
  • ・個室がない場合がある
  • ・施設数が少なく、入居難易度が高い

介護医療院は介護サービスだけでなく医療行為を実施するため、介護サービス費に医療ケアに関する費用が含まれています。そのため、他の介護保険施設と比較すると高めです。また、個室の設定がある施設が多くないため、プライバシーが気になる方もいるでしょう。 介護医療院で最もデメリットな点は、施設数が少なく選択肢が限られるということです。全県下で数か所しかない都道府県も少なくないので、入居自体が難しいのが実態です。

介護医療院の費用

介護医療院の費用は、Ⅰ型とⅡ型で異なります。また、Ⅰ型とⅡ型の中でもサービス内容によって枝分かれしています。ここでは、それぞれの中で最も単価が高い施設形態について1日当たりのサービス費用をまとめました。 介護医療院Ⅰ型 料金表 単位:円/日

要介護度 従来型個室 多床室 ユニット型
要介護1 714 825> 842
要介護2 824 934> 951
要介護3 1,060 1,171 1,188
要介護4 1,161 1,271 1,288
要介護5 1,251 1,362 1,379

※1単位=10円かつ自己負担割合1割の場合

※サービス費Ⅰ(強化型A相当)の場合

※上記以外に、施設に応じて各種加算の算定あり

介護医療院Ⅱ型 料金表 単位:円/日

要介護度 従来型個室 多床室 ユニット型
要介護1 669 779 841
要介護2 764 875 942
要介護3 972 1,082 1,162
要介護4 1,059 1,170 1,255
要介護5 1,138 1,249 1,340

※1単位=10円かつ自己負担割合1割の場合 ※サービス費Ⅰ(転換老健相当)の場合 ※上記以外に、施設に応じて各種加算の算定あり 実際には、上記基本サービス費に加えて施設ごとに異なる付帯サービスや人員体制に関する加算、介護保険対象外となる食費・居住費・その他日常生活費などの料金が上乗せされます。具体的に入居を検討している方は、担当のケアマネジャーや施設に問い合わせるなどして確認しましょう。

介護医療院について理解し、家族に合った施設を選ぼう

介護医療院は、介護と医療ケアの両方に支援が必要な方を対象にした入所系の介護保険施設です。単に介護が必要な人は対象外で、長期療養が必要な方でも要介護Ⅰ以上の認定がないと申し込むことができません。料金は比較的高めで、施設数が少ないため入居難易度も高いです。しかし介護・医療どちらにもニーズがあって在宅生活が困難になった方にとって、非常に心強い味方となるでしょう。入居を検討する際は担当のケアマネジャーとの相談や施設見学を行って情報収集し、他の施設との違いをよく比較した上で申し込むようにしてください。 なお、施設入所について知り合いに相談するのは気が引けるという場合は、Q&A方式で質問できる「介護の広場(https://kaiteki-kaigo.jp/hiroba/)」がおすすめです。介護のお悩みを投稿するだけで、介護経験者や専門職から回答を得ることができます。ぜひ一度アクセスしてみてくださいね。 今回も最後までご覧いただき、ありがとうございました。 介護医療院を利用できるのは、要介護1~5に認定された方です。介護認定を受けていない場合は、市区町村の担当窓口で認定の申請手続きをする必要があります。要介護認定の対象は65歳以上ですが、40~64歳の方でも公的医療保険に加入し、厚生労働省が介護保険法で定めている16の特定疾病により要介護状態となっている場合は申請可能です。 

介護の広場
池田正樹
介護福祉士、介護支援専門員、社会福祉士、福祉用具専門相談員、福祉住環境コーディネーター2級 等

大学卒業後、通所介護・訪問介護・福祉用具貸与・居宅介護支援・グループホーム(認知症対応型共同生活介護)・有料老人ホーム・障がい者施設などを運営するNPO法人にて様々な種別の事業所に所属。高齢者支援だけでなく、障害者総合支援法に基づく業務の経験や知識も併せ持っている。事業所の新規立ち上げや初任者研修・実務者研修の設立・運営にも携わる。その後は地域でも有数の社会福祉法人に転職し、特別養護老人ホーム・ショートステイの事業所に所属した。現在は在宅高齢者を支援するケアマネジャーとして約50件を受け持つ。3児の父で、自身の祖父と父を介護した経験もあり、サービス利用者側・提供者側双方の視点を持ち、読者に寄り添う記事の執筆をモットーとしている。