トイレに行くことや立ち座りが大変になってきた方は、介護保険を活用してトイレでの動作を補助してくれる福祉用具・介護用品を導入してみてはいかがでしょうか。トイレに不便を感じると尿意や便意を我慢するようになり、健康を損なったり、漏らしてしまったりするもあります。快適な毎日を送るためにも、トイレを補助する介護福祉用品を検討してみてください。
目次
トイレ用手すり
要介護認定を受けている方は、住宅改修用手すりの購入費や工事費に介護保険が適用されることがあります。トイレ用の手すりは、工事で取り付けるものと工事不要で設置するものの2つのタイプがあります。それぞれの特徴について見ていきましょう。
トイレ用手すり①住宅改修で手すりを取りつける
トイレの壁に立ち上がりや座る際に使用できる手すりを取り付けることができます。ただし、便器が壁から遠い場合は手すりを取り付けても使用しづらいため、次に紹介する「設置型」を選ぶほうが良いでしょう。住宅改修の手すりは、壁にしっかりと取り付けるので、体重をかけても不安感がないというメリットがあります。また、設置型とは異なり床に置くわけではないため、掃除がしやすく見た目もすっきりとする点もメリットです。要介護認定を受けている方は、住宅改修用手すりの購入費や工事費に介護保険が適用されることがあります。適用された場合は実際にかかった費用の1~3割(※)が自己負担額となるため、費用を抑えることも可能です。
※購入費や工事費のうち20万円を超える部分以関しては自己負担となります。また、トイレ用手すり以外にも介護保険を利用している場合は負担額が変わるので、ケアマネジャーにご相談ください。
トイレ用手すり②設置型
便器が壁から遠い場合や、工事をすることが難しい場合は、トイレに手すりを設置することができます。便座を囲むように取り付けるものや、片方のわきに置いて手をかけるもの(脚立状)もあり、トイレの形状や使い勝手に合わせて選びましょう。要介護認定を受けている場合は、設置型のトイレ用手すりのレンタル費用に介護保険が適用されることがあります。例えば月々5,000円の費用でレンタルできるトイレ用手すりならば、500~1,500円の自己負担額での利用が可能です。
便座
ご自宅のトイレが和式の場合や、洋式でも座面が低い場合には、トイレに行きにくいと感じる方も多いでしょう。トイレに行きやすくなるための便座を紹介します。なお、要介護認定を受けている場合は、便座の購入費に介護保険が適用されることがあるので、ケアマネジャーと相談してみましょう。年間10万円までの購入費に関しては、1~3割の自己負担額となります。
便座の種類①和式便器の上に設置するタイプ
和式便器の上に重ねるように設置することで、洋式トイレとして使用できる便座があります。しゃがむ際にひざや腰に痛みを感じる方も、洋式トイレなら使いやすいのではないでしょうか。設置するだけなので工事不要で利用できる点もメリットです。
アロン化成 サニタリーエースHG据置式 アイボリー 534-123
便座の種類②便座を高くするタイプ
座面が低くて立ち上がるのが大変なときは、便座の上に重ねるタイプの便座の利用が可能です。数センチ高さが上がるだけで、トイレの利用しやすさが大きく改善されることがあります。
TOTOエムテック 補高便座 50mm レギュラー EWC440R
便座の種類③立ち上がりを補助するタイプ
電動で便座が昇降したり、ばね式で便座が持ち上がったりすることで、立ち上がりをサポートしてくれる便座もあります。座面を高くするだけでは不便を感じる場合は、立ち上がりサポートタイプの便座を選ぶことができるでしょう。
TOTOエムテック トイレリフト EWC151
便座の種類④ポータブルタイプ
トイレまで行くことが難しい場合や、トイレまで尿意を我慢できないことが増えてきた場合は、居室にポータブルタイプの便座を置くことができるでしょう。自動水栓システム付きのものや、家具調のものもあり、使い勝手や好みに合わせて選べます。
アロン化成 家具調トイレ セレクトR 自動ラップ ノーマル ソフト便座
トイレリフト
トイレリフトとは、便座が電動で昇降し、立ち上がりをサポートしてくれる介護福祉用品です。ひざや腰に痛みを感じにくいように、便座が斜めに移動するタイプのものや便座が昇降するタイプのもの、手すり付きのものなどのさまざまなものがあります。介護福祉用品店などで実物を見て、実際に座って使い勝手を確かめてから選ぶようにしましょう。
まとめ
トイレに不便を感じると、生活が息苦しいものになることがあります。あまり尿意を感じないようにしようと水分を抑える方もいるでしょう。生活を楽しむためにも、トイレに行きやすくなる介護用品や福祉用品を導入してみてはいかがでしょうか。要介護認定を受けている場合は、介護保険が適用されて少ない負担で利用できることもあります。また、要介護認定を受けていない方も、介護福祉用品を取り入れることでトイレに不安を感じずに生活できるようになるかもしれません。QOL(生活の質)を維持するためにも、必要な道具を取り入れていきましょう。
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福祉用具貸与事業所に勤務し、住み慣れたご自宅での在宅生活で、お客様が安全・快適に過ごしていただけることをミッションとして福祉用具・住宅改修業務を通して携わる。また地域包括支援センターと連動して地域の老人会や自治会に向けて、住環境整備の大切さを啓発する勉強会を開催するなど、地域に根付いた活動に力を入れている。