2021.09.16

親の介護をする方へ、親の困った行動と対処方法

最終更新日:2021.09.16

介護は決して他人事ではありません。今まで元気だった親が急にケガや病気で介護を必要とし、介護状態が長期化することもあるのです。親の介護をするとき、親の行動によって悩まされることがあるかもしれません。どのような行動で困らされるのか、また、具体的な対処方法について紹介します。

高齢になった親の困った行動

高齢女性

高齢のため、あるいは元々の性格のため、場合によっては病気のために、親が様々な困った行動を起こすことがあります。どのような行為に悩まされることがあるのか、また、直面したときは子供としてどのように対応できるのかについて見ていきましょう。

お風呂に入りたがらない

高齢になり、若い時ほどには体が軽やかに動かなくなると、お風呂に入ることを面倒に思うようになることがあります。服を脱ぐのが大変だ、洗って乾かしての作業が面倒だと感じ、入浴を拒否する親もいるでしょう。このようなときに「汚いよ」「面倒がらないで」とストレートに非難しても、親の気持ちを傷つけてしまうだけです。「どうしてお風呂に行きたくないの?」と尋ね、親の答えに対して「大丈夫、手伝うから」「安心して任せてね」とポジティブな声掛けをすることで、入浴しようという気持ちに誘導していきましょう。

介護施設に行きたがらない

デイサービスなどの介護施設に行くことを拒否する親も少なくありません。出かけることが面倒であったり、施設内の人間関係がうまくいっていなかったり、初めての施設に行くときは不安で「行きたくない」と抵抗したりする方もいます。また、他人に介護を受けるということに対して抵抗感があるために、「行くと迷惑をかけるから」といって拒否する方も少なくありません。まずはなぜ行きたくないのか親に尋ね、施設が合わないときは別の施設を検討したり、曜日や担当者を変更したり、サービス利用時間を短縮したりすることができるでしょう。それでも問題が解決しないときは、ケアマネジャーとも相談して、どのような介護サービスが合っているのか、どうしたら利用しやすくなるのか話し合いの機会を設けてください。

外出することを嫌がる

年齢を重ねると、外に出ることが億劫になる方もいます。また、認知症などの病気のために抑うつ状態になり、人と接することや外出することを避けるようになる方も少なくありません。特に用事がなく、本人も外出を嫌がる場合には、無理に外出を強いることは避けるようにしましょう。いつも以上に時間をかけて一緒に過ごし、家の中で身体を動かせるようにサポートします。また、外出したときは「今日は楽しかったね」「花がきれいだったね」と、外出することが楽しいと思えるような声掛けをするようにしましょう。

身だしなみに無頓着

認知症により、身だしなみに無頓着になることがあります。特に前頭側頭型認知症に罹患した場合は、初期の時点から身だしなみに無頓着になり、自分だけでなく他人への関心も薄れてしまうといった症状が見られることがあるでしょう。身だしなみに構わないときでも、「不潔に見えるよ」や「汚らしい」といった否定的な声掛けは高齢者を気落ちさせてしまうだけです。「赤が似合うね」「おしゃれすると格好いいよ」とポジティブな声掛けをして、親が自分の身を構いたくなるようにしていきましょう。

置き忘れやしまい忘れをする

高齢になると記憶力が低下し、置き忘れやしまい忘れをすることが増えます。また、認知症によって置き忘れ・しまい忘れをするケースもあるでしょう。親が「印鑑、どこに置いたかしら」と言ったときに、頭ごなしに「きちんとしまっておかないから」と叱るのはNGです。ものを忘れてしまうのは高齢者だけではないので、叱るのではなく、一緒になって探す、見つけてから「この引き出しに入れたってことを私も覚えておくね」と助け舟を出すようにしましょう。また、忘れてしまったことに対して憔悴している場合には、「大丈夫。きっと見つかるから。お茶でも飲もう」と言って、会話を楽しみながら、なくした場所のヒントを見つけていくこともできます。

スマホやパソコン操作ができない

高齢者(親)がガラケーをスマホに変えたり、パソコンを購入したりしたにもかかわらず、操作を全くしようとしない場合、使い方が分からない、何度か尋ねたけれど覚えられないなどの理由が考えられます。無理に難しい操作を教えるのではなく、最低限の操作、電話を受ける・かける、メッセージアプリで文章を打つ等に限って教えるようにしましょう。「どうして分からないの?」「さっきも言ったでしょ」といったイライラさせる声掛けはNGです。スマホやパソコンを楽しんで使えるように、「すごいね!」「スマホを使いこなしているなんで、誇らしいよ」といった言葉をかけるようにしましょう。

ヘルパーさんなど人の手を借りたがらない

今まで自立していた人ならばなおのこと、ヘルパーさんなどの人手を借りることを嫌がる傾向にあります。「手伝ってほしくないのに、どうして頼まなくてはいけないのか」「自分でできる」とヘルパーさんの手助けを拒否する場合には、どのような介護なら受け入れられるのか親本人に尋ねてみましょう。知らない人が家に来ることに対して抵抗がある場合は、デイサービスなどの通所型の介護サービスを利用できるかもしれません。嫌がる親に無理に手出しをするのではなく、まずは本人の気持ちを確かめ、手伝ってもらうと楽なこともあるということを理解できるようにサポートしていきましょう。

年をとれば誰でも老いていく

介護

年を取れば誰でも老いていきます。老いた親の姿は、将来の自分の姿であるという事を踏まえて、困った行動を起こしたとしても決して頭ごなしに叱ったり親の行動を否定したりすることはしないようにしてください。親が困った行動をするのには、何か理由が潜んでいることもあります。子供も子供の生活があるため、つい急いで結果を求めてしまいがちですが、「こうしましょう」と自分の考えを押し付けるのではなく、「どうしたらいい?」と親の気持ちを尊重する態度を示し、一緒に考えていくようにしましょう。

増田 高茂
社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者
多くの介護事業所の管理者を歴任。小規模多機能・夜間対応型訪問介護などの立ち上げに携わり、特定施設やサ高住の施設長も務めた。社会保険労務士試験にも合格し、介護保険をはじめ社会保険全般に専門知識を有する。現在は、介護保険のコンプライアンス部門の責任者として、活躍中。