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有料老人ホーム選びの流れ
有料老人ホームを選ぶときにまずおこなう必要があるのが、利用者と家族が有料老人ホームの基礎知識を身につけることです。初めに基礎知識を身につけてから、見学して施設の比較と選定、契約に進みましょう。
有料老人ホームへの基礎知識を身に着ける
有料老人ホームを探すためには、やみくもに情報を集めるのではなく初めに有料老人ホームの基礎知識を身につけるようにしてください。高齢者の住まいには有料老人ホームのほか、サービス付き高齢者向け住宅や特別養護老人ホームなどもあります。介護保険施設を使うかどうかなども検討してください。入居する人の状態によっても最適な選択肢が違います。入居者の要介護度によって、それぞれの施設への入居対象になるかどうかも変わるので、必ず確認しておくようにしてください。
入居者と家族の状況を整理する
有料老人ホームを選ぶときには、一度希望する条件を整理してください。そもそも本人が入居を希望しているかどうか、要介護度はどの程度でどのくらい介助できるかを整理します。有料老人ホームの立地条件や医療リハビリ体制も、希望があるときにはまとめておきましょう。また家族の状況も重要です。家族それぞれがどの程度の介護サポートができるかどうか話しておきましょう。また金銭面での援助も検討してください。有料老人ホームを選ぶ前に、貯金や年金と家族のサポートによってどの程度の予算があるか計算しておきましょう。
情報を集める
有料老人ホームの情報はさまざまな媒体から集めることができます。スピード重視で多くの情報を集めるのであればインターネットが便利です。また専門の雑誌や書籍を使って情報を集めても良いでしょう。ある程度有料老人ホームが絞り込めたら資料を請求してください。有料老人ホームの資料はパンフレットを取り寄せることで、それぞれの特徴を比較しやすくなります。資料からは居室設備や共有スペース、サービス内容などが記載されているので、希望している条件に会っているかを比較してください。
施設見学をする
資料やパンフレットで気に入った有料老人ホームであっても、実際に出向くとイメージが違うことがあります。入居前のイメージとのギャップを防ぐためにも、必ず事前に見学予約しましょう。施設見学はできるだけ人が多い時間を選ぶようにします。昼食時やレクリエーションの時間は人も多くて、入居している人の雰囲気もつかみやすいでしょう。自分の自立度と、入居者の自立度が違うとなじめなくなってしまうことがあります。見学時には普段どのような行事やレクリエーションがあるのか相談してみても良いでしょう。施設見学することで、資料からはわからないスタッフやホームの雰囲気もわかるようになります。
体験入居する
有料老人ホームを契約する前に、可能であれば複数日体験入居しておくとイメージがつかみやすくなります。長い月日を生活するとなると、日々の食事や設備は重要です。献立表を見て、メニューの傾向や管理栄養士の有無を確認してください。療養食が必要な場合などは個別対応が可能か、メニューに選択肢があるかどうかも重要なポイントです。老人ホームは介護施設であり、生活の場です。施設によっては温泉やジム、娯楽施設もあるので、日々の暮らしを充実させるためにも見ておくようにしましょう。
契約
契約するときには重要事項説明書を確認することになります。重要事項説明書には老人ホームの会社情報や建物の概要、職員体制やサービス内容、費用など多くの情報が記載されています。情報量が多いため大変ではありますが、入居者と家族全員が目を通して内容を理解しておきましょう。重要事項説明書には医療ケアやリハビリなど求めるサービスが受けられるかどうかも記載されているので、求める条件に合致しているか確認しておきましょう。
有料老人ホームの探し方
有料老人ホームの情報はインターネットのほか、雑誌などの紙媒体でも調べることができます。しかし、情報が多いとどの媒体を調べればいいのかと悩んでしまうかもしれません。どのように探せばいいのでしょうか。
介護サービス情報公開システムを利用する
有料老人ホームを探すときに初めにチェックしていただきたいのが、介護サービス情報公開システムです。介護サービス情報公開システムは、厚生労働省による全国約21万か所の「介護サービス事業所」の情報が検索・閲覧できるサイトです。全国地図から希望する都道府県をクリックして施設を探すことができます。市町村の地域包括支援センター、生活支援等サービス、認知症に関する相談窓口の情報も公表されています。介護サービスや生活関連情報について調べたいときにも利用してみましょう。
施設探しのできるサイトを利用する
公的機関以外にも民間の施設探しができるサイトがあります。施設探しができるサイトでは、全国の情報を網羅しているので、多くの情報を集めることができます。また無料相談を受け付けていることもあります。施設探しができるサイトを利用する場合は、どれだけの数の老人ホームが登録されているか、特定の施設のみに偏っていないかをチェックしてください。
紹介センターを利用する
老人ホームは紹介センターで紹介してもらうこともできます。市町村が運営している地域包括支援センターは、老人ホームや介護施設についての情報を教えてくれるほか、医療や福祉サービスについての支援もしてくれます。さらに民間の紹介センターもあります。民間の紹介センターは多くの情報がある一方で、紹介料で成り立っているため宣伝に惑わされるリスクも考えなければいけません。可能であれば複数の媒体の情報を集めるようにしましょう。
知人やケアマネージャーに相談する
すでに有料老人ホームを利用している知人がいる場合は、選び方についてなどアドバイスを受けても良いでしょう。また要介護、要支援認定を受けていて介護保険サービスを使っているのであれば、担当のケアマネジャーに相談してみてください。ケアマネジャーは地域の介護施設についても多くの情報を持っています。また入居者の状況や健康状態や性格なども把握しているので、相談にのってもらうことができるでしょう。
パンフレットの見方
施設から送られてくるパンフレットはさまざまな情報が詰まっています。明るい写真や魅力的な写真も多くて見入ってしまうかもしれません。しかし、パンフレットはあくまで広告だということは忘れないでください。ある程度は施設がよりよく見られる工夫がされていることを意識して、そのうえで、写真、曖昧な表現、小さく書かれた注意書きの3つのポイントをよく見ることが重要です。
写真
パンフレットの写真は老人ホームを知るための大切な情報源です。しかし、情報源でありながら広告でもあるため、より良く見せる工夫をしています。老人ホームの良いところは強調されていて、写真もキレイなものを使っているので実際には全く写真と同じというようにはいかないでしょう。また写真は新築の状態で撮ってそのまま差し替えていないこともあります。建築時期なども合わせてチェックしてください。
曖昧な表現
パンフレットを見るときに注意しなければいけないのが、あいまいな表現です。特に「こだわりの」、「明るい」、「心地よい」といった言葉は主観が入ります。「食事が美味しい」、「信頼できるスタッフ」という言葉も、具体的な裏付けやデータがない場合は安易に信用しないようにしてください。見学の際には自分の目で確認するようにしましょう。
注意書き
パンフレットを見るときには小さな注意書きまで細かくチェックしてください。「こちらは別途料金がかかります」など、見落としがちな小さな文字こそ大切です。水道光熱費など別途かかる費用について小さく書いてあることもあるので、しっかりと読むようにしてください。
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多くの介護事業所の管理者を歴任。小規模多機能・夜間対応型訪問介護などの立ち上げに携わり、特定施設やサ高住の施設長も務めた。社会保険労務士試験にも合格し、介護保険をはじめ社会保険全般に専門知識を有する。現在は、介護保険のコンプライアンス部門の責任者として、活躍中。