2021.10.06

地域密着型サービスとは?|地域密着型サービスのメリットを紹介

最終更新日:2022.06.23
増田 高茂
社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者

地域密着型サービスとは?

高齢者
地域密着型サービスとは、住み慣れた地域で利用する介護保険サービスのことです。介護保険サービスには、「居宅サービス」と「施設介護サービス」があります。自宅でサービスを受けるときは「居宅サービス」と呼び、施設で介護を受けるときは「施設介護サービス」です。地域密着型サービスは、居宅サービスと施設介護サービスを含む、住み慣れた地域限定のサービスです。サービスの提供の監督は、市町村が行います。さらに市町村に指定された事業所が、各サービスを担当します。地域密着型サービスを受けられるのは、その地域に住所がある方です。原則65歳以上の方で、要介護認定を受けている方が対象となります。介護認定により受けられるサービスが異なります。

地域密着型サービスのメリット

手
地域密着型サービスのメリットは、地域の実況に合わせたサービスが受けられることです。また、地域密着型サービスは、地域ごとにサービス内容や費用が異なります。国が定める基準から変更が可能で、地域によってはサービスの充実や費用が抑えられているメリットがあります。一般的な介護サービスと比べると、小規模の施設が多いことでしょう。小規模の施設は、スタッフが変わらないメリットがあります。いつも顔なじみのスタッフに介護をしてもらえば、介護を受ける人も安心でしょう。

地域密着型サービスの種類

介護
地域密着型サービスは、自宅で受けるものと施設で介護を受けるものに分けられます。一人暮らしの高齢者のお宅に通う方法や、家族が同居でも家族の安心や休息を得るためのサービス内容があります。また、施設で受ける介護サービスは、小規模型のものから大規模の施設でのサービスなどです。自宅から通う方法や、入所して介護サービスを受けるものがあります。

小規模多機能型居宅介護

小規模多機能型居宅介護は、自宅で過ごす人のための介護サービスです。サービス内容は、通所・泊まり・訪問と3つに分けられています。それぞれ同じ施設を利用しながら、介護が必要になっても自宅で過ごせるよう支援するサービスです。他の場所に移りたくない、施設に入居したくない人に向いているでしょう。自宅で過ごすことを希望されても、日々の状況により必要な介護サービスは異なってきます。認知症の症状が一時的に悪化したときや、家族の休息が必要なときは、短期入所で対応が可能です。

看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)

看護小規模多機能型居宅介護は、小規模多機能型居宅介護に看護がついたサービスです。同じ施設を利用しながら、通所・泊まり・訪問の3つのサービスが受けられます。施設には看護師が配備されているため、医療行為が必要な方に向いています。なお、要支援の方はサービス対象外です。想定される医療行為は、胃ろう・痰の吸入の管理や、褥瘡によるケアです。持病がある方で、自宅で血糖値測定が必要なケースも、看護師による対応が可能でしょう。

夜間対応型訪問介護

夜間対応型訪問介護は、夜間の身体介護に対応するサービスです。一人暮らしの方や、家族と同居する家庭でも、介護サービスを利用することができます。毎日の生活で夜間に介護が必要な人向けです。例えば、夜間におむつ交換が必要な方、寝返り介助が必要な方などです。家族が介護する場合でも、家族の負担軽減に利用できます。老々介護で体力面の心配があるときも向いているでしょう。

定期巡回・随時対応型介護看護

定期巡回・随時対応型介護看護は、日中・夜間を通じて、訪問介護と訪問看護が一体的に連携し、定期巡回と随時訪問するサービスです。種類は、「定期巡回」と「随時対応」の2つがあります。定期巡回は、毎日の生活で18時~翌朝8時まで見守りや介護が必要な人向けです。一人暮らしの方の安否確認や、夜間のおむつ交換、寝返り介助などが利用できます。または、家族の負担軽減のため活用することも可能です。随時対応は、日々の生活で見守りや介護は必要ないが、不測の事態に対応できない人向けです。転倒してしまい一人で起き上がれない、または急な体調不良で介護が必要なときに活用します。

認知症対応型通所介護

認知症対応型通所介護は、認知症の方に限定した通所サービスです。一般の施設だと幅広い利用者に対応しているため、認知症の人が馴染めない場合があります。専門の施設なら、スタッフが認知症への対応に慣れているメリットがあります。通所介護で受けるサービスは、食事の介助や入浴サービスなどです。レクリエーションや機能訓練を通してのコミュニケーションや、認知症予防にも対応しています。「通所」は日帰りサービスのため、自宅から施設に通う必要があります。施設は、利用定員が12名以下の小規模で、アットホームな施設です。

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)

認知症対応型共同生活介護は、グループホームと呼ばれる施設で生活します。5~9人の認知症の人が共同で生活しながら、介護が受けられるサービスです。対象となるのは、要支援2以上の要介護認定を受けた方です。それぞれが食事や掃除などの家事を分担しながら生活しており、24時間体制で介護職による介助や機能訓練などが受けられます。グループホームは、それぞれの能力を活かしながら、アットホームな雰囲気で暮らすサービスです。

地域密着型特定施設入居者生活介護

地域密着型特定施設入居者生活介護は、施設に入所するサービスです。市町村から指定を受けた定員30人未満の有料老人ホームや軽費老人ホームが対象となります。入所できるのは、介護認定を受けた方です。施設でのサービスは、食事や入浴の介助や、排せつの対応、機能訓練などがあります。地域密着型のサービスで、家庭的な雰囲気が特徴です。

地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護

地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護は、小規模の施設へ入所します。入所する施設は、定員30人未満の特別養護老人ホームです。サービス内容は、軽費老人ホームや有料老人ホームと同様です。食事や入浴の介助、排せつの対応、機能訓練などを受けることができます。介護を受ける人ができるだけ自立した生活を送るための施設です。同じく地域密着型のため、家庭的な雰囲気があります。地域の人たちとの触れ合いを深めながら、自分らしく生活するための施設です。

地域密着型サービスの対象者

高齢者
地域密着型サービスの対象者は、要介護認定を受けており、サービスを受ける市町村に住所のある方です。介護度が重くなっても住み慣れた地域で生活できることを目的にしているため、地域に住む人のみが対象となっています。ただし、市町村の同意を受けて他の市町村が指定している場合は、その限りではありません。この場合は、他の市町村に住所のある方でも、サービスが利用できます。

老後も住み慣れた地域で暮らそう

地域密着型サービス

地域密着型サービスは、高齢者が出来る限り、住み慣れた地域で過ごすことができるように、市町村指定の事業者が地域住民に提供するのサービスです。認知症になっている方や、中程度の介護が必要になっても、住み慣れた地域で過ごすことができます。一人暮らしの高齢者はもちろん、家族が介護をしている場合も対象です。自宅で介護している家族の介護負担を軽減したいときは、地域密着型サービスの助けを得て、家族みんなが暮らしやすい生活にしてみてください。

増田 高茂
社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者

多くの介護事業所の管理者を歴任。小規模多機能・夜間対応型訪問介護などの立ち上げに携わり、特定施設やサ高住の施設長も務めた。社会保険労務士試験にも合格し、介護保険をはじめ社会保険全般に専門知識を有する。現在は、介護保険のコンプライアンス部門の責任者として、活躍中。