2021.06.30

高齢者の不調を発見する|熱中症の症状と対応について

最終更新日:2021.06.30

近年、熱中症にかかる高齢者が増えています。熱中症は場合によっては死に至ることもある病気のため、早めに兆候に気付き、早めに対応することが望ましいでしょう。熱中症の症状と対応について解説しますので、ぜひ参考にしてください。

熱中症の症状について

気温が高いときに長時間屋外にいたり、高温の室内に長時間いたりするとき、体温が急激に上がり、熱中症になることがあります。また、特に気温や室温が高くなくても、身体が暑さに慣れていない時には少しの暑さで熱中症になることもあるでしょう。熱中症になると、体温上昇以外にもさまざまな症状が生じます。

軽度の熱中症の場合

熱中症は重症度によって3段階に分かれています。軽度の熱中症では、めまいや失神が起こることがあるでしょう。特に炎天下で運動をしていた場合には、運動をやめた直後にめまいやたちくらみが起こり、顔色が蒼白になって呼吸が早くなることがあります。発汗によりナトリウムが大量に体外に放出された場合には、筋肉が硬直して部分的にこむら返りが起こることもあるでしょう。軽度の熱中症では、意識障害はなく、体温も正常の範囲内のことが一般的です。発汗はやや多めになりますので、脱水症状を起こさないように水分とミネラルを適度に補給しましょう。

中度の熱中症の場合

重症度が中度に進むと、頭痛は吐き気、下痢、虚脱感、失神などの症状が複数同時に起こるようになります。判断力や集中力が低下したり、身体に力が入らなくなったりすることもあるでしょう。意識障害はありませんが、体温が39℃近くまで上昇し、皮膚表面が冷たくなっていきます。中度の熱中症を放置すると、さらに深刻な状態である重度に進むこともあるでしょう。

重度の熱中症の場合

重度の熱中症になると、意識を失ったりけいれんが生じたり、過呼吸になったりすることがあります。また、呂律が回らないことや異常な行動をとること、まっすぐに歩くことができなくなることもあるでしょう。これらの重度の熱中症症状に加え、中度で見られる下痢や嘔吐、虚脱感、集中力の低下などの症状が見られることもあります。皮膚表面は熱くなり、体温がさらに上昇することもあるでしょう。

高齢者は熱中症を起こしやすい

高齢者は暑さを感じにくいことが多く、体温や室温が上昇し、熱中症になりかけているあるいはすでに熱中症になっていることに気付きにくいです。そのため、重症化しやすい傾向にあります。また、高齢者は汗をかきにくく喉も乾きにくいことが多いため、体内の熱を放出しづらく、体外からの水分やミネラル分を補給しにくい状態にあると言えるでしょう。高齢者の中には心臓や腎臓の機能が低下している方も少なくありません。熱中症によって発熱や嘔吐などの症状が生じると、弱っている臓器に負担をかけ、さらに症状が深刻化することもあります。介護を担当する方や家族の方が注意して、室温を快適に保ったり、定期的に体温を測定して平熱より高くなっていないか確認したりするようにしましょう。

熱中症の疑いがあるときは

体温が上がっている、立ちくらみがするなどの熱中症の疑いがある症状が見られるときは、どのような対応をすることができるのでしょうか。周囲の呼びかけに反応がある場合と、反応がない場合に分けて見ていきましょう。

呼びかけに反応がある場合

呼びかけに反応がある場合は、すぐに涼しい場所に移動させましょう。ふらつきがある場合は、背負うなどして迅速にエアコンが効いている部屋に連れていきます。屋外にいる場合は、風がよく通る日陰に移動しましょう。上昇した体温を下げ、体内の熱を放出するために、衣類のボタンを開けたり1枚脱がせたりすることもできます。冷水で固く絞ったタオルを鼠径部や脇の下、首筋に当てることも体温を下げる効果を期待できるでしょう。失われた水分を補給する必要がありますが、脱水症状が起こっている場合は、水分を体内に取り入れることで発汗量が増えて、さらに脱水症状が深刻になることがあります。水やお茶などではなく、塩分やミネラルも補える経口補水液を摂取するようにしましょう。ただし、吐き気が強いときや嘔吐をしたときは、無理に口から水分やミネラルを補給することは控えます。さらに嘔吐を誘発することもありますので、医療機関を受診し、点滴などで水分を体内に摂取するようにしましょう。また、体温を下げるための処置をしたにも関わらず症状が改善しない場合も、すぐに医療機関を受診する必要があります。

呼びかけに反応がない場合

呼びかけても反応がない場合は、意識障害が起こっていると考えられます。熱中症の重症度も重度だと判断できますので、すぐに救急車を呼び、医療機関を受診するようにしましょう。

熱中症の予防と対策について

熱中症を予防するためにも、極力暑い場所は避けるようにしましょう。気温が高いときは外出せず、家の中でエアコンをかけて涼しく過ごすようにします。また、日中はカーテンやブラインドを下ろして直射日光が当たらないようにし、室温が高くならないように工夫しましょう。どうしても外出しなくてはいけないときは、車で移動するか、日陰を歩くようにすることで暑さを回避することができます。通気性の良い涼しい帽子をかぶったり、持ち運びできる扇風機で涼しい風を顔や首筋に当てたりすることもできるでしょう。体温が上昇しないように服装を工夫することも大切です。通気性の良い素材の衣類を着用し、手首や首回りは詰まっていないデザインを選びます。こまめに水分を補給することも熱中症予防には不可欠なポイントです。特に高齢者は暑さを感じにくいため、喉が渇いてから水分を補給するのでは熱中症になってしまう可能性があります。喉が渇かなくても数分に一度は飲み物を口にする習慣を身につけましょう。汗によって体内のミネラルが失われるため、水ではなくミネラル分が入ったスポーツ飲料や麦茶を飲むことが好ましいです。緑茶や紅茶、コーヒーなどのカフェイン入りの飲料は利尿作用があるため、水分を失う恐れがあるので熱中症予防には向きません。体力アップで、熱中症の予防を目指すこともできます。涼しい時間帯を選び、ウォーキングやヨガ、ラジオ体操などの軽い運動をしてみてはいかがでしょうか。毎日続けることで、汗をかきやすく体温調節しやすい身体を作っておきましょう。

東海林 さおり
看護師
看護師資格修得後、病棟勤務・透析クリニック・精神科で『患者さん一人ひとりに寄り添う看護』の実践を心掛けてきた。また看護師長の経験を活かし現在はナーススーパーバイザーとして看護師からの相談や調整などの看護管理に取り組んでいる。