2021.09.24

有料老人ホームとは|初めての方へ分かりやすく解説

最終更新日:2022.07.25
増田 高茂
社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者

有料老人ホームってどんなところ?

老後

老後の暮らしを考えた時に、選択肢の一つに上がる有料老人ホーム。有料老人ホームでは食事や洗濯などのサービスを受けながら、介護や健康管理を受けて快適に過ごすことができます。有料老人ホームの基本的な内容を紹介します。

有料老人ホームとは

有料老人ホームは民間が運営する、高齢者が心身の健康を保って生活できるように配慮された住まいです。高齢になると食事の用意や家事の負担が大きくなります。また介護が必要なケースもあるでしょう。有料老人ホームで想定されている入居者はそれぞれの施設によって違うため、介護が要らない自立の人を受けいれている施設から、要介護認定を受けている人を受け入れる施設、もしくは両方を受け入れている施設があります。有料老人ホームを選ぶときには、心身の状態や必要な介護を整理して自分に合った有料老人ホームを選びましょう。

有料老人ホームの3つのタイプ

有料老人ホームは介護付き有料老人ホームと住宅型有料老人ホーム、そして健康型有料老人ホームに大きく分けられます。有料老人ホームの種類によって受けられるサービスや費用が違います。介護付き有料老人ホームは要介護の人も入居できる施設で、医療と介護の体制が整った施設です。住宅型有料老人ホームは自立度が高い人を対象にしていて、要介護の人が入居する場合は訪問介護や通所介護のような介護サポートを別に利用することになります。健康型有料老人ホームは、介護を必要としない人向けに特化した有料老人ホームです。生活に支障はないが、1人暮らしだと不安という高齢者が対象で、介護が必要な人は入居できません。

ホームで介護が受けられる「介護付き有料老人ホーム」

介護

終の棲家になりうる介護付き有料老人ホームは、さまざまな住まいへのニーズに対応してくれます。介護付き有料老人ホームについて紹介します。

介護付き有料老人ホームとは

介護付き有料老人ホームは都道府県の認可を受けた施設で、介護保険制度上では「特定施設(特定施設入居者生活介護)」というサービスに分類されます。介護付き有料老人ホームの運営は多くが民間で、基準を満たしていれば居室や設備は自由なので、建物やサービスの内容は千差万別です。24時間体制で介護が受けられ、自分の予算や必要なサービスに選べる点が大きなメリットです。介護サービスが充実している介護専用型と、自立でも入居できる混合型があり、さらに介護の提供方法によっても区分されます。

一般型のメリットデメリット

一般型の有料老人ホームでは施設のスタッフが介護を担当しています。介護度によっても違いますが、介護費用は介護度による定額制なので費用負担が安定している点もメリットでしょう。ただし、介護度による定額制なので、介護サービスをあまり使わなかったとしても定額の費用を支払うことになります。せっかく介護費用を支払っているのに、ほとんど介護サービスを利用しないケースもあるでしょう。

外部サービス利用型のメリットデメリット

外部サービス利用型は平成18年の介護保険法改正で新しく設けられた仕組みで、ケアプランの作成や生活相談、安否確認はスタッフがおこないますが、実際の介護は委託された介護サービス事業者がおこないます。外部サービス型は、介護サービスを利用した時間帯や回数に応じた費用が発生するため費用が不安定で、利用するサービスが多いと負担が大きくなってしまいます。入居者が自分の状況に合わせて希望に沿ったサービスが受けられることがメリットです。契約する際は委託先の介護サービス事業者がどこなのか、緊急時の対応はどうなっているかも確認しておきましょう。

介護は地域のサービスを利用する「住宅型有料老人ホーム」

介護

住宅型有料老人ホームも、介護サービスを受けることが出来る高齢者のための住まいです。住宅型有料老人ホームの基本的な知識を紹介します。

住宅型有料老人ホームとは

住宅型有料老人ホームは、介護が必要な時に外部の介護サービスを利用して介護が受けられる住まいです。介護付き有料老人ホームとの違いは、特定施設入居者生活介護の指定を受けているかどうかです。特定施設入居者生活介護の指定を受けた介護付き有料老人ホームは、入居すれば介護サービスが提供されますが、住宅型有料老人ホームは入居してさらに介護サービス事業者を契約して介護サービスを受けます。介護付き有料老人ホームと同等のサービスを提供する住宅型有料老人ホームもありますが、重度の介護状態では対応できないことがあります。

住宅型有料老人ホームのメリットデメリット

介護サービスが必要な時に訪問介護や通所介護を利用して、自分の状態にあった介護を受けることができます。介護付きよりも利用料が割安なことが多く、介護状態に合わせてサービスを選べることがメリットです。ただし、住宅型有料老人ホームは重度の介護状態には対応しておらず、要介護が高いと介護サービス費用が割高になるデメリットがあります。

自立した高齢者が対象の「健康型有料老人ホーム」

夫婦

健康型有料老人ホームは、自立していても受け入れてくれる高齢者向け施設として人気があります。健康型有料老人ホームの基礎知識を紹介します。

健康型有料老人ホームとは

健康型有料老人ホームは家事サポートや食事などのサービスがついた、民間事業者による高齢者向けの施設です。身の回りのことは自分でできる自立した高齢者を対象にしていて、要介護になった場合は契約を解除して退去します。

健康型有料老人ホームのメリットデメリット

健康型有料老人ホームはほとんどの家事をスタッフに依頼できて、老後の生活を楽しむためのジムやシアタールームといった設備が充実していることがメリットです。また外部サービスを活用することで健康管理したり、軽度の要介護状態に対応したりすることもできます。デメリットとしては介護状態が進むと住み続けられない点があります。また介護サービスのための費用が割高になってしまうこと可能性もあります。近隣に提携している医療機関があるかどうか、介護度が上がった時に受け入れてくれる施設があるかどうかも確認しておきましょう。

増田 高茂
社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者

多くの介護事業所の管理者を歴任。小規模多機能・夜間対応型訪問介護などの立ち上げに携わり、特定施設やサ高住の施設長も務めた。社会保険労務士試験にも合格し、介護保険をはじめ社会保険全般に専門知識を有する。現在は、介護保険のコンプライアンス部門の責任者として、活躍中。