2021.09.24

脳卒中とは?症状や前兆、予防について説明|高齢者の病気 頭部①

最終更新日:2021.09.24

令和元年の人口動態統計によれば、脳卒中(脳血管疾患)は日本人の死因の第4位で、1年間に10万人以上もの方が脳卒中を原因として亡くなっています。脳卒中に備えるためにも、症状や前兆、予防方法について知っておきましょう。

脳卒中とはどんな病気か

女性

脳卒中とは脳血管に異常が起こる病気で、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血の総称です。いずれも高血圧を原因とすることが多く、場合によっては意識を失って倒れたり身体が麻痺したりすることがあります。

脳梗塞

脳梗塞とは、脳の血管が詰まることです。詰まった先には血液が送られなくなることで、意識障害などの症状が見られることがあります。脳梗塞の原因としてもっとも多いのは高血圧です。高血圧が長期間続くことで動脈硬化が進み、脳の血管が詰まってしまいます。高血圧ぎみの方や糖尿病のある方は脳梗塞になりやすく、肥満や喫煙も危険因子とされているので該当する要素がある方は注意が必要です。また、心房細動と呼ばれる不整脈がある方もハイリスクと考えられるでしょう。心房細動があると心臓内に血栓が生じやすいですが、血栓が血管を流れて脳まで到達すると、脳の血管を詰まらせて脳梗塞を発症することがあります。

脳出血

高血圧の程度が深刻な場合は、脳の血管が詰まるだけでなく出血が起こります。これが脳出血です。出血して固まった血が脳内に溜まり、脳細胞が破壊されます。脳出血の原因としても、もっとも多いのは高血圧です。高血圧の方や糖尿病の方、肥満や喫煙習慣のある方は脳出血になる危険性が高いと考えられるでしょう。

くも膜下出血

脳の血管に動脈瘤が生じ、破裂するとくも膜下出血が起こります。くも膜下出血の原因としても、もっとも多いのが高血圧です。すでに高血圧の方や糖尿病がある方、肥満や喫煙習慣のある方も、くも膜下出血になるリスクが高いといえます。

脳卒中の症状

男性

脳梗塞や脳出血、くも膜下出血になると、手足にしびれが見られたり、麻痺が生じたりといった症状が共通して見られることがあります。次に、疾病ごとの固有の症状について見ていきましょう。

脳梗塞

脳梗塞では、ものが二重に見えたり言葉がうまく出てこなかったりといった症状が見られることがあります。また、片足だけ動きにくくなったり、顔の半分だけが動かなくなったりすることもあるでしょう。脳梗塞を含む脳卒中は、一刻も早く治療をすることがもっとも大切です。症状が見られたときは、救急車を呼び、できるだけ迅速に医療機関を受診するようにしましょう。

脳出血

脳出血により、突然の頭痛や嘔吐などが起こることもあります。また、意識がなくなったり、半身や半顔が動かなくなることもあるでしょう。このような症状が見られたときは、できるだけ早く医療機関を受診してください。

くも膜下出血

くも膜下出血も、突然の頭痛や嘔吐などの症状が見られることがあります。意識を失って倒れたり、身体の半分、顔の半分が麻痺することもあるでしょう。近年では血栓を溶かす治療薬もありますが、利用できるタイミングが症状が出てから短期間のみに限られていることがあるので、発症したときはすぐに医療機関を受診することが大切です。

脳卒中の前兆の見極め

救急車

脳卒中の症状が見られたときは、できるだけすぐに医療機関を受診することが大切です。脳卒中では突然症状が現れる傾向にありますが、本格的な症状が起こる前に前兆が見られることもあります。できるだけ早く医療機関を受診するためにも、脳卒中の前兆について知っておきましょう。

見極めのポイント

麻痺やしびれ、言葉がスムーズに出ないなどの脳卒中の症状が現れても、すぐに消えてしまうことがあります。しかし、症状が消えても脳卒中の病気自体が治っているわけではありません。このように一時的な症状を一過性脳虚血発作と呼び、意識障害などの大きな発作の前触れと考えられています。以下の前兆が見られたときは、様子見をせず、すぐに医療機関を受診するようにしましょう。

身体面

本格的な症状が起こる前に、手足に力が入らない、めまいがする、物がぼんやりと見える、あるいは片方の目が見えなくなる、言葉が急に理解できなくなる、思っていることがうまく話せなくなるなどの前兆が見られることがあります。感覚が麻痺しているときや記憶力の低下が感じられるときは、重症化する恐れもあるでしょう。

精神面

ストレスによって引き起こされる病気は多いですが、脳卒中もストレスにより起こることがあります。強いストレス状態が続いているときは、脳卒中のリスクになり得るということを意識し、普段以上に食事や運動などに配慮した健康的な生活を送るようにしましょう。また、脳卒中後に抑うつ状態になるケースは少なくありません。反対に言えば、抑うつ状態が見られているときは脳卒中が起こった後の可能性があるため、すぐに医療機関を受診し、脳の検査を受けるようにしましょう。

社会的・環境的側面

体内の水分が不足すると血液の粘度が高くなって脳梗塞が起こりやすくなります。夏は体内の水分が汗となって蒸発するため、こまめに水分を補給して脳梗塞発症のリスクを下げましょう。また、気温が大幅に低下したときはくも膜下出血が起こりやすいと言われています。冷え込む早朝にカフェインを摂取することや運動することがくも膜下出血を誘発することもあるため、寒暖差が大きな時期は、身体に負担をかけないように行動してください。脳卒中によって性格が変わり、してはいけないことを我慢できずイライラしたり、ちょっとしたことで腹を立てたりするようになることがあります。対人関係にも影響が及び、孤立する恐れもあるでしょう。「最近、性格が変わった」と言われることがある場合や、人付き合いがうまくいかなくなってきた場合は、もしかしたら脳卒中が原因なのかもしれません。早めに医療機関を受診するようにしてください。

脳卒中の予防

お弁当

脳卒中の最大の原因である高血圧を予防することで、脳卒中予防につながります。脳卒中の前兆が見られる前に、減塩を含めた食生活の見直しと禁煙を実施し、高血圧にならないように注意していきましょう。脳卒中の前兆が見られたときは、早めに医療機関を受診し、身体の状況を把握した上で食事療法・薬物療法が適切に維持されるように環境整備が必要です。無理のない範囲で運動習慣を身につけ、健康的に生活していきましょう。

脳卒中の治療

介護

脳卒中を発症した場合も、初期に治療をすれば後遺症なく完治することがあります。また、リハビリを続けることで、麻痺やしびれなどを克服できるケースもあるでしょう。しかし、完治のためには早期発見と早期治療が重要なポイントです。普段から健康的な食事や生活習慣を維持し、前兆が見られたときはすぐに医療機関を受診するよう心がけてください。脳梗塞の場合は、症状が出てから4時間半以内なら薬剤を用いた血栓溶解療法によって治療できることがあります。脳出血では出血の状態にもよりますが、血腫を取り除くなどの外科的な手術を行う場合もあるでしょう。

早期発見、早期治療が大切

男性

脳卒中の症状が起こると、時間との戦いが始まります。できるだけすぐに医療機関を受診し、適切な治療を受けなくてはいけません。しかし、普段の生活習慣に注意することや、前兆に早く気付くことなどで、ある程度の予防をすることが可能です。紹介した事柄を参考にして、脳卒中の予防に努めていきましょう。

東海林 さおり
看護師
看護師資格修得後、病棟勤務・透析クリニック・精神科で『患者さん一人ひとりに寄り添う看護』の実践を心掛けてきた。また看護師長の経験を活かし現在はナーススーパーバイザーとして看護師からの相談や調整などの看護管理に取り組んでいる。