2021.08.19

肺疾患とは?症状や前兆、予防について説明|高齢者の病気 肺疾患

最終更新日:2021.08.20

肺疾患とは肺に生じる病気のことで、気道に生じる病気とまとめて呼吸器疾患と呼ぶこともあります。肺疾患が生じるとどのような症状が現れるのか、肺疾患の前兆や予防についても見ていきましょう。また、肺疾患のひとつである誤嚥性肺炎は、高齢者に見られることが多い疾病です。原因や前兆について紹介しますので、ぜひ予防対策にお役立てください。

肺疾患とはどんな病気か

介護

肺疾患とは、肺に生じる病気です。疾患の種類によっても症状は異なりますが、咳や息切れ、呼吸困難などが一般的な症状と言えるでしょう。場合によっては咳をしたときに血を吐いたり、血液中に含まれる酸素量の低下により顔色が悪くなったりすることもあります。

肺炎

気管支の末端や肺胞にウイルスなどの感染によって炎症が起こることを肺炎と呼びます。風邪をひいて喉の粘膜が傷ついているときや、体力が衰えて免疫機能が低下しているときなどは、肺炎にかかりやすくなるでしょう。肺炎を引き起こす病原体は多いため、肺炎患者も多いです。例えば肺炎球菌やインフルエンザウイルス、マイコプラズマなどが肺炎の病原体となることがあります。

肺気腫

肺胞が破壊され、肺にある空気を排出できなくなる疾患が肺気腫です。正常な状態では肺の中にいくつもの肺胞がそれぞれ酸素と炭酸ガスを交換していますが、肺胞自体あるいは呼吸細気管支が拡張することで肺胞間の壁が破壊されると、酸素と炭酸ガスの交換がスムーズに行えないようになります。肺気腫は喫煙者あるいは受動喫煙者に多く見られる疾患です。また、遺伝性の要因や大気汚染、喘息、老化とも相関があると言われています。

肺疾患の症状

体温計

肺疾患に罹患すると、どのような症状が現れるのでしょうか。肺炎と肺気腫で見られる特徴的な症状を紹介します。

肺炎

肺炎に罹患すると38度を超える高熱が出ることがあります。数日間熱が下がらず、悪寒やだるさ、息切れ、呼吸困難などの症状が見られることもあるでしょう。また、黄色や緑色などの色の濃い痰が出たり、歩きにくくなったり、意識障害が現れることもあります。高齢者が肺炎にかかると、高熱よりは食欲低下や活動量の低下など、肺炎とは分かりにくい症状が見られることも。高齢者に多い誤嚥性肺炎でも発熱や濃い色の痰、呼吸困難などの症状が見られることがありますが、はっきりした症状が見られずに食欲低下や活動量低下などだけが現れることもあります。

肺気腫

肺気腫に罹患すると、肺胞で酸素と炭酸ガスの交換がスムーズにできなくなります。肺胞内に排出すべき炭酸ガスが多く含まれた空気が残り、新たに新鮮な空気を吸い込むことが難しくなり、息切れしやすくなることもあるでしょう。階段を上るときや走ったときだけでなく、普通に歩いているだけでも息切れすることがあります。また、咳や痰が出やすくなるケースが見られることも多いです。

高齢者に多くみられる誤嚥性肺炎について

高齢者

食べ物や唾液が食道ではなく気管に入り込むことを誤嚥(ごえん)と言います。誤嚥性肺炎とは、誤嚥した際に食べ物等についていた細菌などが肺や気管支に入り込み生じる病気です。高齢者や脳梗塞の後遺症がある方などが、誤嚥性肺炎にかかりやすいとされています。また、口腔内に細菌が多い方も、誤嚥した際に細菌が肺に入り込みやすいため、誤嚥性肺炎にかかりやすいと考えられるでしょう。誤嚥性肺炎の症状は、通常の肺炎とほぼ同じです。高熱が続いたり、悪寒やだるさ、息切れ、呼吸困難が見られたりすることがあります。また、濃い色の痰や意識障害が生じることもあるでしょう。

誤嚥性肺炎の前兆の見極めポイント

誤嚥性肺炎は、必ずしも肺炎特有の症状が生じるとは限りません。次のような様子が見られたときは、早めに医療機関を受診するようにしましょう。

身体面

誤嚥性肺炎になると、身体にだるさを覚え、食欲が下がる方も少なくありません。そのため、体重が減少してしまうこともあります。また、夜中にせき込むことが増えた場合も、誤嚥性肺炎を疑うことができるでしょう。

精神面

活気がなくボーっとしていることが増えたり、無気力になったりすることもあります。食事中にもぼんやりとしてしまい、口の中に食べ物を入れたまま飲み込まずにじっとしてしまう、などの様子が観察されることもあるでしょう。

社会的・環境的側面

気力がなくなるので、社会的にも不活発になることがあります。家の中に閉じこもったり、積極的に人と会おうとしなかったりすることもあるでしょう。また、肺炎により息切れしやすくなるため、家に閉じこもるケースもあります。息切れにつながる行為、例えば歩くことや入浴、立ったままの作業などを避けるようになり、体力が落ちてしまう場合もあるでしょう。

誤嚥性肺炎の予防と対応

歯ブラシ

誤嚥性肺炎の予防方法としては、のどや舌の筋肉を鍛えるリハビリと、口腔ケアがあります。例えば普段から早口言葉や意識的に口を大きく開けて話すことで、のどや舌の筋肉を鍛えて、誤嚥しにくくすることができるでしょう。また、誤嚥した際に細菌が肺に入り込まないように、歯磨きやうがいを丁寧にすることで口腔内の細菌を減らしておくこともできます。その他にも、よく噛むことやゆっくりと時間をかけて食べること、テレビなどを観ながら食事をしないことなどでも、誤嚥を防ぐことが可能です。特に誤嚥性肺炎が起こりやすい高齢者は、誤嚥をしないで食事するために食べ方を工夫しましょう。誤嚥しにくい食事を選ぶことも、誤嚥性肺炎の予防につながります。例えば焼き魚や焼きのりなどのぱさぱさした食感のものは誤嚥しやすいです。また、ゴボウやパイナップルなどの繊維質の食べ物、酢の物などの酸っぱい食べ物も、誤嚥しやすいでしょう。飲み込みにくい食事はできるだけ避け、食べやすく飲み込みやすい食事を選ぶようにしてください。

よく噛んで食事をしよう

食事をする高齢者

肺疾患では、息切れや呼吸困難、倦怠感などの症状が見られることがあります。いずれも続くと苦しく、生活全体に気力がなくなってしまう恐れもあるでしょう。とりわけ高齢者に多い誤嚥性肺炎は、無気力や閉じこもりなどを引き起こすことがあり、運動量が減って体力が衰えてしまうことがあります。普段から口やのどの筋肉を鍛え、口腔ケアに力を入れるなど、誤嚥性肺炎の予防にも努めていきましょう。また、誤嚥しにくい食べ物を選ぶことや、よく噛み、ながら食事をしないなどの食べ方に注意することも大切です。

東海林 さおり
看護師
看護師資格修得後、病棟勤務・透析クリニック・精神科で『患者さん一人ひとりに寄り添う看護』の実践を心掛けてきた。また看護師長の経験を活かし現在はナーススーパーバイザーとして看護師からの相談や調整などの看護管理に取り組んでいる。