2021.07.05

有料老人ホーム選びの流れ|入居と入居後のポイント

最終更新日:2022.07.25
増田 高茂
社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者

入居前後の準備について

住民票
有料老人ホームとは、要支援・要介護認定を受けている人や、自立した生活ができても高齢で体の自由が利かなくなってきたことに不安を感じる人まで、様々な支援を受けながら生活する施設です。有料老人ホームへの入居にあたり、事前に準備や様々な手続きをしなければなりません。入居直前や直後になって慌てないためにも、どのような準備や手続きが必要なのか把握しておきましょう。
まずは有料老人ホームの入居にあたり、事前や入居後に必要な手続きと準備をご紹介します。

入居前後に必要な手続き・準備の例

有料老人ホームへの入居前後で主に必要となる準備や手続きは次の4つです。

・住所変更
基本的に住居が変わると住民票や各機関で住所変更が必要です。住民票は変更しなくても有料老人ホームは利用できますが、自治体からの重要な郵便物が施設に届かない、転居先の自治体の税金の方が安く損をするなどのデメリットもあるので、変更しておいた方が良いでしょう。

・年金や介護保険の住所変更
住所変更を行うとなると、年金や介護保険でも住所変更届の提出が必要です。年金を受給している方であれば、年金事務所や年金相談センターに「年金受給権者受取機関変更届」を出せば、複数の年金を受け取っている場合でも1つの届出で住所変更できます。また、介護保険は住民票のある自治体が提供するので、転出・転居する際は転出前の住所が記載された介護保険被保険者証を持って、各自治体で変更が必要です。

・引越しの手配
有料老人ホームへの見学や体験入居、入居契約が済んで入居日が決まれば、それに合わせて引越しの準備と手配が必要です。施設では家具や家電、日用品などを持ち込めるところが多いので、何を持っていけるのか事前に確認しましょう。大きな家具など運ぶ手段がない場合は、引っ越し業者を利用してみてください。

・郵便物の転送
有料老人ホームへ入居後は郵便物の転送届も申請しておきましょう。住所変更していても、手違いで以前住んでいた住居に郵便物が届いてしまう場合があるので、万が一の時のために手続きしておいた方が良いです。

入居後の家族の役割

面会
入居者のことは有料老人ホームのスタッフに世話を任せておけば安心ですが、家族に介護の責任や役割がなくなったわけではありません。施設に預けても家族の縁が切れるわけではないので、定期的に面会へ訪れて入居者の様子を確認しましょう。面会は誰かが行ける時に行くという風にすると、結局誰も行かないこともあり得ます。家族や親戚とよく話し合い、誰がいつ行くのか、ある程度ルールを作った方が良いです。また、有料老人ホームから緊急の連絡が来る場合もあります。その際、誰が連絡に出て対応するのか、施設との窓口となる身元引受人も決めておきましょう。入居者の金銭や貴重品の管理ができない場合、家族が適切に管理しなければなりません。他にも入居者が施設で使うペーパーやおむつの消耗品も家族が用意しなければならない場合があるので、その準備や届ける人なども事前に決めて対応していきましょう。

家族の面会

面会

面会する際は、入居者が不自由なく生活できているか本人や施設の様子をよく確認しましょう。入居したばかりの時は、慣れない環境に入居者は大きなストレスや不安を抱えやすいのですが、家族が面会に来てくれると安心する方も多いです。また、家族は面会の時しか施設での暮らしを見ることができません。もし本人が施設での暮らしに苦痛を感じていたり、適切な介護を受けられていなかったりすれば、退居や他の有料老人ホームへの移動も考える必要があります。入居者はもちろん、その家族も安心して有料老人ホームを利用するためにも、定期的な面会で様子を窺ってください。

面会時のマナー

家族が入居者の元へ面会に行く場合、施設のルールは必ず守ってください。例えば、ほとんどの施設では面会できる時間を設けています。時間が決まっていれば、その時間に合わせて面会に訪れるようにしましょう。面会後に外出する場合は、指定された時間までに入居者を施設に送り届けなければなりません。他にも立ち入り禁止の場所に立ち入らない、他の入居者や家族の迷惑にならないなど人としてのマナーも守りましょう。面会マナーを守ることや感謝・敬意を示すことで、有料老人ホームで働くスタッフや看護師との関係を保つことにもつながります。スタッフや看護師と良い関係が築ければ、面会の際に温かく迎え入れてもらえて、入居者も安心して施設暮らしができるでしょう。

入居後のトラブル

三角形

入居後、家族は入居者が何事もなく生活していると思いがちですが、トラブルが起きてしまうケースもあります。例えば、契約では訪問診療が週2回なのに1回しかない、入浴回数が少ないといった契約違反によるトラブルです。なかなか判明しにくいので、契約前に契約内容は細かくチェックし、分らない部分は質問しておきましょう。そして、その上で契約違反だと分かり、指摘しても改善されないようであれば担当行政や弁護士に相談してみてください。他にも注意したいトラブルは、介護中の転倒や誤嚥などの事故です。施設のスタッフは万全な体制で介護をしているとは言え、ベテランスタッフでも事故を起こす可能性が十分にあります。事故自体あってはなりませんが、その直後の対応が最も重要でしょう。不適切な対応により命を落としてしまう場合もあるので、万が一事故が起きた時の対応についてはよく聞いておいてください。また、不適切な介護が行われていないか、こまめに面会で確認していくことも予防につながります。

施設に不満やクレームがあったら

介護士

介護業界全体で人手不足と言われているので、施設によっては人員が足りず、入居者やその家族に配慮が欠けてしまう有料老人ホームもあります。しかし、そうした不満を放置し続ければ、やがて大きなトラブルになってしまいます。何か不満やクレームがあれば、まずは家族や入居者の希望をまとめ、施設側とよく話し合って解決を目指しましょう。クレームを入れにくい、運営会社に調査や指導が必要な時は市区町村の苦情窓口や介護保険課、国民健康保険団体連合会に相談してみるのも良い手段です。

増田 高茂
社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者

多くの介護事業所の管理者を歴任。小規模多機能・夜間対応型訪問介護などの立ち上げに携わり、特定施設やサ高住の施設長も務めた。社会保険労務士試験にも合格し、介護保険をはじめ社会保険全般に専門知識を有する。現在は、介護保険のコンプライアンス部門の責任者として、活躍中。