2021.11.30

医療費を節約するポイントは?|親が突然倒れてしまったとき必要なこと

最終更新日:2021.11.30
増田 高茂
社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者

高齢の親がいる家庭では、万が一の際の医療費が気になることでしょう。とくに、親が突然倒れてしまったときは、医療費だけでなく介護費用もかかる恐れがあります。高額な医療費で生活を圧迫しないために、節約方法を覚えてみましょう。この記事では、医療費を節約する方法として、医療費控除の特徴を紹介します。また、調剤薬局での料金の節約方法も、合わせて参考にしてみてください。

確定申告と医療費控除

確定申告‗医療費控除
医療費控除とは、年間医療費が一定割合を超えた場合、所得税が安くなる仕組みです。一般的に制度を利用できる目安は、年間10万円以上の医療費がかかっている場合です。年間10万円超の医療費は、家族全員分をまとめることができます。例えば、家族に持病があり毎月病院に通っているケースや、誰かが入院した際などが当てはまりやすいでしょう。医療費控除を使えば税金が安くなるため、医療費節約の面でおすすめです。ただし、医療費控除を適用させるには、確定申告が必要です。翌年の3月15日までに確定申告をすると、課税対象から一定割合が控除できます。ただし、会社員で還付申請するときは、3月15日を過ぎても申請が可能です。確定申告する人は家族の誰でも構いませんが、課税所得が多い人でやると、節税効果が高いでしょう。申告の際に、医療費の領収書や医療費通知書を用意してください。医療費控除には下記のような条件があるため、事前に確認が必要です。
● 生計をともにする家族の医療費
● 1月1日~12月31日までの医療費
● 治療費や薬局で購入した薬など
● 医療費控除の上限は200万円まで

医療費控除の対象となる介護サービス

医療費控除‗介護サービス
介護サービスを利用しているときは、医療費控除で税金を安くしましょう。医療費控除の対象となる介護サービスを紹介します。対象は、医療系サービス・施設入所費用・オムツ代があります。

医療系サービス

医療系サービスに含むのは、以下のサービスです。
● 通所リハビリ
● 訪問リハビリ
● 訪問看護
● 定期巡回
これらは、在宅で介護しているケースが当てはまるでしょう。リハビリや訪問看護は、医療サービスの一種のため、医療費控除の対象です。また、リハビリや訪問看護とデイサービスを併用すると、デイサービスの利用料も医療費控除対象になります。他にも、訪問介護・訪問入浴介護・デイサービス・ショートスティ併用した場合に、これらも対象になるためお得です。

施設入所費用

施設入所費用は、以下のようなサービスです。
● 介護療養型医療施設
● 介護老人保健施設
● 介護医療院

対象となるのは、介護サービス費・食費・居住費です。お小遣いや散髪代などは、医療費控除に含めることはできません。また、特別養護老人ホーム・指定地域密着型介護老人福祉施設の場合は、2分の1が医療費控除対象です。

オムツ代

6か月以上寝たきりで、医師からオムツ使用証明書の発行がある場合、医療費控除対象になります。オムツ証明書は、各オムツメーカーのホームページでダウンロード可能です。予めプリントアウトした用紙を病院に持参すると、発行がスムーズでしょう。また、オムツ証明書に記載している期間が対象となるため、証明書発行前のオムツ代も医療費控除の対象になります。対象は、医師が治療にオムツが必要だと判断し、使用を開始した日からです。

病院を受診するときの注意点

病院
医療費控除の利用が予測できるなら、病院受診の際にも注意しておきましょう。事前に注意点を知っておくと、必要なものを準備しやすくなります。

交通費も医療費控除の対象

治療のため病院に通う際にかかった交通費は、医療費控除の対象です。対象となるのは、次のような交通費があります。
● 公共交通機関の交通費
● やむを得ない際のタクシー代
● 治療が必須となる新幹線や飛行機代
● 必然性のある付き添いの交通費

公共交通機関は領収書の発行がありません。いつ、誰が、いくら利用したメモを残しておくと、医療費控除として使えます。タクシーは、深夜で交通機関が動いていないとき、または重症や高齢でやむを得ずタクシーの移動が必要な場合です。新幹線や飛行機代は、難病など離れた場所への治療が必要なときです。付き添いの交通費は、高齢で1人では通院できない場合が当てはまります。

領収書がなくてもOK

病院を受診した際には、貰った領収書を大切に保管しておきましょう。ただし、健康保険組合が発行する医療費通知を添付すれば、領収書が不要です。確定申告の際に医療費通知を添付すれば、領収書の保管もいりません。

紹介手数料も医療費控除の対象

病院が発行する紹介状も、医療費控除の対象です。例えば、救急外来で応急処置を受けて、他の病院に転院が決まり、紹介状発行があるケースです。

調剤薬局の料金について

調剤薬局の料金
調剤薬局の料金は、薬局により異なるため、安くなるところを選びましょう。薬価が同じ薬の処方であっても、薬局により支払う料金の総額が変わります。料金が変わる理由は、調剤技術料や薬学管理料などの料金が異なるからです。薬の値段が違うのではなく、薬とは別にかかる料金で差が出ています。薬局選びで確認したいのは、以下の4つです。
● 調剤技術料
● 薬学管理料
● 薬剤料
● 特定保健利用材料料

薬剤料は薬そのものの料金です。料金は国で決まっているため、どの薬局でも同じです。比較したいのは薬剤料以外で、点数が小さいまたは0点であれば、料金が安くなります。とくに調剤技術料は、大手グループの薬局だと、店舗運営のコストダウンにより安くしているところがあります。

家族の医療費も確認してみよう

医療費控除
医療費の節約を考えているなら、医療費控除が対象なのか確認しましょう。毎年、確定申告時期になったら医療費確認の習慣をつけると、申告忘れを防ぐことができます。医療費控除の対象は、世帯全員分の医療費です。家族が多い、または1人でも病院に通っているなら、医療費が年間10万円超えている場合があります。医療費控除が使えれば、税金が安くなりお得です。また、調剤薬局の料金も比較して、医療費の節約にもチャレンジしてみてください。

増田 高茂
社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者

多くの介護事業所の管理者を歴任。小規模多機能・夜間対応型訪問介護などの立ち上げに携わり、特定施設やサ高住の施設長も務めた。社会保険労務士試験にも合格し、介護保険をはじめ社会保険全般に専門知識を有する。現在は、介護保険のコンプライアンス部門の責任者として、活躍中。