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ショートステイとは
介護施設やサービスにはさまざまな種類があります。ショートステイも介護サービスの一つであり、うまく活用できれば介護を必要とされる方、介護者の方双方にさまざまなメリットをもたらします。本記事では、ショートステイの概要や利用条件、サービス内容、費用、メリット・デメリットなどについてまとめました。サービスの利用を検討している方、ショートステイについて詳しく知りたい方はぜひ目を通してください。
ショートステイの利用目的
ショートステイは、介護サービスの一種です。名称からイメージできるように、短期間だけ利用できるサービスです。一時的に、介護を必要とされる方を施設に入居させられるサービスで、さまざまな生活援助や機能訓練などが受けられます。近年広がりを見せたサービスだと思っている方がいるかもしれませんが、実際にはそうでもありません。ショートステイが誕生したのは1976年のことで、長い歴史があります。事業形態は大きく3つあり、併設型事業所と空床利用型事業所、単独型事業所にわけられます。利用目的は人によって異なりますが、冠婚葬祭や出張で家族の介護ができない、といったときに利用する方が多いようです。また、介護疲れの方が息抜きとして利用するケースも少なくありません。
ショートステイの利用条件
ショートステイは、誰もがいつでも利用できるサービスではありません。利用にあたっては、いくつか条件が定められているため注意が必要です。介護保険が適用されているケースでは、要支援1と2、要介護1~5までの方が対象です。基本的に、これらに該当しない方はサービスを利用できません。また、30日以上連続して利用できないことも覚えておきましょう。ショートステイは、あくまで一時的かつ短期間だけ利用できるサービスなのです。また、介護保険給付内での利用においては、要介護度によって利用可能な日数が変化することも覚えておきましょう。原則最長で30日まで、介護認定期間の半数までと定められていますが、例外もあります。やむを得ない事情がある時には、例外として利用が認められるケースがあるのです。どのようなときに認められるかはケースバイケースであるため、お世話になっているケアマネージャーの方や役所、事業所へ相談してみましょう。
ショートステイのサービス内容
ショートステイでどのようなサービスが受けられるのかは、もっとも気になるところでしょう。基本的には、生活支援や機能訓練などのサービスが受けられます。生活支援とは、日常生活に必要な行為に関するサポートです。食事の用意をしてもらう、食べさせてもらう、排泄や入浴などの介助をしてもらうといったことが該当します。機能訓練とは、身体機能の維持や向上を図るための訓練です。自立支援の観点から訓練を実施し、専用の運動機器やプログラムを用いてトレーニングを受けます。機器訓練の目的は、体力や足の筋肉をつける、転倒せず歩けることを目指す、間接が硬くなることを防ぐなどが挙げられます。実際どのような機能訓練が受けられるのかは、ショートステイ施設によってやや異なります。気になる方は、事前に確認しておくと安心できるでしょう。
ショートステイの費用
ショートステイの利用料金は、利用する施設の種類によって変わります。医学的管理が必要となる、短期入所要介護のほうが、短期入所生活介護よりも高い料金を設定しているケースが一般的です。また、居室が個室なのか、多床室なのか、ユニット型の個室なのかによっても、費用が変わるため注意しましょう。たとえば、併設型の短期入所生活介護、従来型個室における要支援1の方の費用は、1日あたり446円程度、要支援2で555円程度です。要支援と要介護度、利用する施設、居室の形態などによりトータルでの費用が大きく変化するため、事前にしっかりと確認しましょう。
ショートステイのメリット・デメリット
利用者は、サービスの一環として機能訓練が受けられます。リハビリやレクリエーションなどが実施され、理学療法士のような専門家のアドバイスを受けながらトレーニングを受けられます。そのため、身体機能の維持や向上を図れることがメリットです。介護を必要とされる方が、日常生活の中で自発的にリハビリや運動を行うのは難しいでしょう。もしかすると、運動中にケガをしてしまうおそれもあります。ショートステイでの機能訓練なら、きちんとスタッフが見守っている中でトレーニングを受けられるため安心です。また、介護を担っている家族が息抜きできるのもメリットといえるでしょう。連日の介護でストレスや疲労が溜まってしまうのは珍しくありません。ほんのわずかな期間でも、介護を忘れることができれば、介護者のストレスや疲労を軽減できます。出張や旅行、冠婚葬祭など、家族が安心して出かけられるのもメリットです。自分たちが見ていなくても、専門スタッフの方がきちんと見守ってくれるため、安心して出かけられるのです。デメリットとしては、予約をとれないことがあるということです。ショートステイの人気は高く、先々まで予定が埋まっている、といったことも珍しくありません。そのため、利用したいときに利用できない、といったことがあります。併設型施設の場合では、ベッドの数に限りがあるためなおさら予約は取りにくいでしょう。あらかじめサービスの利用日時が決まっているのなら、前もって予約できるかどうか確認しておくことをおすすめします。また、要支援者や要介護者が、ショートステイの利用を嫌がる可能性もあります。家族と離れることに不安を感じたり、新たな環境に不安を抱いたりといったケースが少なくないからです。さらに、連続での利用は30日までの制限があるのも、デメリットといえるでしょう。長期利用もできなくはありませんが、その場合31日目以降の費用は全額自己負担です。
ショートステイについて
ショートステイなら、介護者のストレスや疲労を軽減でき、出張や冠婚葬祭などが入ったときにも安心です。最近介護に疲れてきた、介護をしている家族の体力が衰えてきた、といったケースでは、ショートステイの利用を検討してみてはいかがでしょうか。たしかに、ショートステイにはデメリットもあります。しかし、デメリットのことを考えても、それを上回るメリットがあるのも事実です。本記事でお伝えしたメリットやデメリットをしっかりと把握し、そのうえでサービスを利用するかどうか判断してください。
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多くの介護事業所の管理者を歴任。小規模多機能・夜間対応型訪問介護などの立ち上げに携わり、特定施設やサ高住の施設長も務めた。社会保険労務士試験にも合格し、介護保険をはじめ社会保険全般に専門知識を有する。現在は、介護保険のコンプライアンス部門の責任者として、活躍中。