2021.12.24

睡眠不足による症状、日常生活のリスクとは

最終更新日:2022.04.27
東海林 さおり
看護師

睡眠不足による、様々なリスクとは

睡眠不足による症状や日常生活のリスク

仕事に家事、介護など慌ただしい毎日を送っていると、知らないうちに睡眠不足になっている場合があります。もし何らかの不調があり気分がすぐれないと感じていれば、早めの改善をおすすめします。ここでは睡眠不足の人に現れやすい症状と睡眠不足が原因で引き起こしやすいといわれる日常生活のリスクを紹介しましょう。

睡眠負債になり、マイクロスリープを引き起こす

睡眠負債とは自分で意識しないほどわずかずつ積み重なった睡眠不足をいいます。負債は借金のことで、睡眠負債はいわゆる睡眠の借金です。国民の2割、中でも30~40代のうち3人に1人は睡眠負債がたまっているといわれます。睡眠負債を抱えるとマイクロスリープが起きやすく、何らかの作業中の場合は大抵ミスをしています。マイクロスリープとは日中に起こる2~7秒程の睡眠で、ふとしたときに起き注意が途切れた状態です。自分では寝ていた意識がないため、例えばその状態のときにしたパソコン作業の内容を改めて確認すると、入力ミスや文章のねじれなどがおきがちです。2017年3月に長野県で9人が死亡したヘリコプター事故は、機長がマイクロスリープに陥っていた可能性があると判断された例もあります。

運転中、飲酒運転と同程度の危険を起こす

飲酒運転はしないようにと思っていても、睡眠不足を同様に気にする人は少ないかもしれません。しかし睡眠不足で運転し事故を引き起こすリスクが高まります。それは自分では注意しているつもりでも認知・判断・操作能力の低下をが生じるためです。起床してから17時間経つと、ビール500mlを飲んだあとと同じくらいの酩酊状態にあるともいわれます。17時間起き続けると酩酊状態にも近いほど眠くなる理由は、24時間サイクルの体内時計が既に休息時間に入ろうとし疲れや眠気が出てくるためです。交通事故原因のひとつ、居眠り運転は疲労や睡眠不足の蓄積で起きやすく、運転中はたった数秒のうたた寝でも大事故を引き起こしかねません。

睡眠不足によって引き起こされる疾患

睡眠不足が続き睡眠負債がたまり続けると、その影響で体調不良が起きる場合があります。例えば体に熱がこもる、めまい、吐き気、肌荒れなどです。ひどいときには仕事中に倒れる、下痢や便秘をくり返すこともあります。さらに状態が悪化すると睡眠不足が原因で引き起こす可能性のある病気を紹介します。健康に重大な影響を及ぼす疾病も少なくないため、できるだけ早くに睡眠不足を解消しましょう。

心臓病

日本人の死因第2位といわれる心臓病は心疾患ともいい、心臓の構造や機能の異常から起きる病気の総称です。心臓病には心不全・冠動脈疾患・心臓弁膜症などがあります。平成16年の厚生労働白書によると、睡眠不足にあたる1日4~6時間睡眠が続くと、心臓と脳が原因の病気や死亡のリスクが高まると発表されました。冠動脈の動脈硬化が原因といわれる虚血性心疾患ですが、動脈硬化を引き起こす要因にストレスがあります。きちんと眠らずストレスにさらされた状態では脈拍があがって動悸が起き、動脈硬化も促進し、その結果心臓へ負担をかけると考えられています。

脳卒中

脳卒中とは脳の血管が破れる、または脳の血管が詰まって、ある日突然起きる病気です。日本人の死亡原因第3位の病気で、脳卒中は冬に次いで夏に起きやすいといわれます。ストレスは脳卒中を引き起こす原因のひとつですが、睡眠不足はストレスにあたります。平日の睡眠不足を解消しようと休日に長時間眠ることも脳へ負担がかかり、日頃から十分な睡眠をとる心がけが必要です。

糖尿病

ホルモンの一種、インスリンの働きが不足し高血糖が慢性的に続く病気が糖尿病です。血糖値の上昇を抑えるインスリンがうまく機能しないため血糖の上昇が止まらず、高血糖のままになります。自覚症状のないまま重い合併症が進展しやすく、網膜症や腎症、神経障害のほかに動脈硬化が進行し、心臓病や高血圧のリスクも高める可能性があります。慢性的な睡眠不足は、空腹時血糖値が上がり基礎インスリンが下がるといわれ、糖尿病発症のリスクがあります。

高血圧

心臓から送り出す血液が、血管の中で血管の壁を押す力を血圧といい、血圧が一定以上高くなると高血圧の状態です。健康で異常のない若い人の血圧は120/80mmHgで、高血圧の目安は収縮期血圧が140mmHg以上か拡張期血圧が90mmHg以上です。健康な人は日中に120/80mmHgの血圧で起床から夕方まですごし、夜になると次第に下がって眠りに入ります。しかし睡眠時間が短く起きた状態が続くと交感神経優位の状態が続き、血圧も高くなりがちです。慢性的な睡眠不足が続くと高血圧にもなりやすいです。

認知症

認知症とは、脳の病気や障害などにより認知機能が低下して、日常生活に支障が出る状態です。認知症の中で最も多いアルツハイマー型認知症は、脳血管の変性により脳の一部が委縮する過程で起きるといわれます。睡眠不足が認知症リスクを高める理由に、脳の老廃物の蓄積があります。十分な睡眠が取れていれば寝ている間に脳の老廃物が排泄され、正常な機能を維持します。しかし睡眠不足の状態では老廃物がたまりやすく、老廃物は脳の神経細胞を破壊するため認知症のリスクを高めるといわれます。

肥満

体重だけでなく体脂肪も多すぎる状態を肥満といい、生活習慣病発症のリスクがあります。肥満度判定にはBMI値を使い、男女の標準は22.0で25以上の指数の人は肥満であると判定します。BMI値の計算方法は体重(kg)を身長(m)の二乗で割って導き出しますが、既に肥満にあたる人は体重減少させ痩せる工夫をしましょう。睡眠不足になると食欲を抑えるホルモンが減り、食欲を高めるホルモンが増えるといわれます。睡眠時間が不規則になると食事時間も不規則になりがちで、体も動かしにくなるためエネルギー消費量の低下につながります。すると余剰エネルギーは蓄積され太る生活になるため、睡眠不足が続くと肥満が起きやすいです。

睡眠時間を確保しよう

睡眠不足による症状や日常生活のリスク

睡眠不足が続くとマイクロスリープを引き起こし、日常生活に支障をきたす恐れがあります。交通事故の危険、心臓病や脳卒中など深刻な病気を引き起こさないためにも、毎日適度な睡眠を取る生活を心がけましょう。睡眠不足をまとめて寝て取り戻す生活を送っている場合も、毎日の睡眠時間を一定にし体への負担を小さくすることをおすすめします。

東海林 さおり
看護師
看護師資格修得後、病棟勤務・透析クリニック・精神科で『患者さん一人ひとりに寄り添う看護』の実践を心掛けてきた。また看護師長の経験を活かし現在はナーススーパーバイザーとして看護師からの相談や調整などの看護管理に取り組んでいる。