2021.12.31

睡眠の質を上げよう|睡眠リズムを整える朝・夜の食事

最終更新日:2022.07.25
東海林 さおり
看護師

睡眠リズムを整える朝食

睡眠の質を上げよう|睡眠リズムを整える朝・夜の食事

体内時計の働きにより睡眠は一定のリズムを保っており、リズムを崩さない生活が質の高い睡眠につながります。質の高い睡眠は健康な心身の維持には不可欠で、日頃から睡眠のリズムを整えるポイントを押さえましょう。体内時計が忙しさなどからずれることもありますが、元に戻すチャンスは朝です。ここでは睡眠の質を高め、睡眠リズムのキープに役立つ食事の習慣を紹介します。

決まった時間に朝食を食べる

例え寝る時間が遅くなってもいつもと同じ時間に起き、決まった時間に朝食を食べましょう。朝食を食べると体が動き始めて目が覚めるだけでなく、一定の時間に朝食をとると体内時計のリズムが整います。朝食を決まった時間に食べない場合、脳や体が目覚めにくく一日のリズムが狂い睡眠に影響を及ぼします。エネルギー不足で思うように活動ができないことも、運動不足から睡眠の質を低下させます。規則正しい生活を送るための習慣として、朝食は決まった時間にきちんと食べましょう。

日光浴をしながら朝食を食べる

朝すっきりと目覚めると体内時計が整い、睡眠リズムの維持につながります。目覚めるためにはセロトニンの分泌を促すことがポイントで、日光浴がおすすめです。朝、起きたらカーテンを開けて太陽の光を室内に取り込みます。窓やレース素材のような薄手のカーテン越しに太陽の光を浴びながら朝食を食べると、セロトニンの分泌が促進されるのに加え、朝食の栄養で体も動き出すため活動が始まります。まだ太陽の昇らない時間帯に起きて朝食をとる人は、太陽の光に近い強い明るさの照明をつけると目覚めやすいでしょう。セロトニンとは神経伝達物質のひとつで、精神の安定・安心・平常心・頭の回転速度を高める・直観力を上げるなどの働きに必要です。ストレスに対する力があるといわれ、不足すると慢性的なストレスや疲労、イライラ感、やる気の低下、協調性がなくなるなどの不調が現れます。

朝1杯味噌汁を飲む

朝食が和食の人は朝味噌汁を飲む習慣があるかもしれません。睡眠の質を高めるには味噌汁は優秀なメニューで、朝食は洋食の人にもおすすめです。味噌汁をつくるときに不可欠な調味料、味噌は大豆からつくられます。大豆には必須アミノ酸のひとつトリプトファンが含まれており、睡眠の質アップに役立ちます。トリプトファンは昼間の活動中にセロトニンに変化し、夜には睡眠を促すメラトニンに変化するため良質な睡眠のサポートが期待できます。そのため味噌汁を朝のメニューに加えると日中はセロトニンが体内に存在し、ストレスの緩和にも役立つメリットがあります。味噌汁の具材にはトリプトファンを多く含む食材を使って、さらに摂取量を高めましょう。おすすめの具材は豆腐・納豆・油揚げなど大豆製品や、ごま、卵があります。栄養バランスをとるために、その他の睡眠の質を高める栄養素を含む食材も取り入れましょう。ストレス緩和に役立つビタミンB1を含む海藻類や腸内環境を改善する食物繊維の豊富な野菜がおすすめです。

睡眠リズムを整える夜の夕食

睡眠の質を上げよう|睡眠リズムを整える朝・夜の食事

睡眠リズムを整えて質を高めるには、夜の習慣にも気をつけましょう。生活習慣は1日を通して改善し、毎日ぐっすり眠れると良いメリットを得られます。ここでは夜の過ごし方で気をつけたい、夕食のとり方やメニューを解説します。

夕食は少量&寝る3時間前までに

食べ物が胃に入り消化されるまで3時間程度かかるため、寝る3時間前までには夕食を済ませましょう。お腹いっぱい食べると消化に時間がかかるため、なるべく控えめにします。消化に時間のかかる食べ物も控えた方が良く、胃の中に食べ物のない状態で眠りにつくと深い睡眠を期待できます。睡眠が深く質が高いと体内時計が正しく整い、翌朝一定の時間に起きやすくなります。一定時刻に毎朝起きられると体の調子が良く、睡眠の質維持にも役立ちます。夕食は消化の良いメニューがおすすめで、ポイントは脂っこい料理を避ける・繊維質の少ない野菜を使う・温かい汁物を添えることです。例えば鶏むね肉を使ったメニューはからあげよりもさっぱり煮を、小鉢はきんぴらごぼうより野菜の煮物、汁物は豆腐や油揚げ、わかめの入った味噌汁などがあります。仕事や家族の用事などで夕食が遅くなりすぐ寝る場合は、量を減らし消化の良いメニューにしましょう。

糖質を減らした食事を摂る

糖質の多い食事は交感神経を優位に立たせ興奮した状態になります。夕食にとった場合、眠るには副交感神経が優位に経つ必要があるものの、それがうまくいかず睡眠の質に影響しがちです。ふだんの食事から必要以上に糖質をとらない心がけがおすすめですが、特に夕食は糖質控えめにしましょう。糖質は消化に時間がかかるうえ、使わなければ脂肪となり体に蓄積します。夕食で糖質の多いメニューを選ぶと睡眠の質を下げるだけでなく、太りやすいため気をつけましょう。糖質は主食に多く含まれ、米・小麦粉・いも類・かぼちゃ・れんこん・果物などは夕食で控えめにしましょう。糖質を減らしつつその他の食材でバランスよく栄養をとります。糖質の少ない食材は肉類・魚介類・卵・油脂・豆・きのこ・海藻などがあり、さまざまな食材を使って栄養バランスを整えます。食物繊維は糖の吸収を抑えますが消化に時間がかかるため、夕食でとりすぎないことです。

夕食を抜かずに食べる

夕食を食べてすぐ寝てはいけないのなら、食べずに寝ればよいと考える人もいます。しかし夕食を抜くとオレキシンの働きが活発になり、食欲が増すほか目が覚めて眠れなくなるといわれます。オレキシンとは、視床下部でつくられる神経ペプチドで食欲やエネルギー産生に関わりがあります。目覚めた状態を保ち安定化させる脳内物質で、眠りにつくときはオレキシンの働きが抑えられます。食べ物を食べて満足すると眠くなることはオレキシンが抑制されたためです。夕食をきちんと食べて質の高い睡眠にするには、糖質を控えめに、脂っこいメニューなどは消化に悪いため避けましょう。少量でも栄養バランスの良いメニューを心がけ、糖質のみで済まさないことです。

体内時計をリセットしよう

睡眠の質を上げよう|睡眠リズムを整える朝・夜の食事

一定の睡眠リズムが保てると体内時計が整い、睡眠の質が高まって翌日すっきりと目覚めます。起きてすぐ日光を浴び、朝食ではトリプトファンを含む味噌汁をメニューに取り入れて食べましょう。朝だけでなく夜の習慣も睡眠の質に関係があるため、夕食は量控えめで糖質も控えめにし、消化のしやすい食材を使って必ず食べましょう。

東海林 さおり
看護師

看護師資格修得後、病棟勤務・透析クリニック・精神科で『患者さん一人ひとりに寄り添う看護』の実践を心掛けてきた。また看護師長の経験を活かし現在はナーススーパーバイザーとして看護師からの相談や調整などの看護管理に取り組んでいる。