2022.01.14

生活リハビリ講座「体の仕組みについて」

最終更新日:2022.01.14
加藤 隆三
理学療法士 地域リハビリテーション推進員"理学療法

体の仕組みについて

体の仕組みについて

私たち人間のからだのしくみについてご紹介したいと思います。テーマは「脊椎」いわゆる「背骨」についてです。背骨はいくつもの骨が積み重なってできております。背骨の骨には、首の骨(頸椎)が7個、背中の骨(胸椎)が12個、腰の骨(腰椎)が5個、お尻の骨(仙骨)が1個と、昔しっぽだった骨が退化した骨(尾骨)が1個あります。まっすぐ立った時、背骨は前から見るとまっすぐに見えますが、横から見ると首と腰の部分の骨は前に凸に弯曲し、胸の部分の骨は後ろに凸に弯曲しており、ゆるやかなS字状のカーブをしています。

なぜS字状のカーブなのか

なぜS字状のカーブなのか

S字状のカーブを描いているは、人間の進化の過程が関係しています。人間は四足歩行から、2本の腕を自由に使うために二足歩行へと進化をしてきました。この進化の過程で背骨のS字状カーブが作られるようになったのです。その背骨の変遷を、人間の一生の中の発達の過程で見ていくことができます。

人間の一生の中の発達の過程

①生まれたばかりの赤ちゃんの背骨は、一様に後ろに凸に弯曲しています。②生後3か月~半年、首がすわり、お座りができるようになることに、首の部分が前に凸に弯曲してきます。③1歳~1歳半頃、立って歩き始めると、腰の部分が前に凸に弯曲して、S字状のカーブができます。

背骨がS字状に曲がってきたおかげで、5㎏程もある重たい頭を支えることができ、また、地面からの振動や衝撃を吸収することができるようになったのです。人間の脳がこれほど大きく発達できたのも、このS字状のカーブのおかげなのですね。ですから、なんらかの原因でS字状のカーブが崩れると、分散がうまくいかずに骨や筋肉に負担がかかるようになり、肩凝りや腰痛などの原因になってしまうのです。

股関節の重要性について

股関節の柔軟性が少ないと股関節と隣り合っている膝や腰に負担が集中し、痛みや変形を助長してしまいます。また筋力が少なくても他の関節に負担が集中してしまったり、立ち上がりや歩行が不安定になります。お尻の筋肉が落ちてしまうと、座っている・立っている姿勢の崩れに繋がります。特に日中、椅子や床に座っている時間が長い方は、股関節を曲がった状態で姿勢が固まりやすく、股関節の柔軟性が低下してしまいます。だからと言って、股関節を伸ばすためにベッド等で横になることも股関節の筋力低下に繋がってしまいます。今回はご自宅でもできる股関節の運動を2つご紹介したいと思います。

ブリッジ

ブリッジ

①仰向けに寝て、両膝を立てます
②お尻をゆっくり上げ下げします

横向きで寝て、足上げ運動

横向きで寝て、足上げ運動

①横向きで膝を伸ばして寝ます
②足を広げるように上に上げ下げします

健康を保つための水分摂取

水分摂取

蒸し暑い時期に気を付けたい「水分摂取」について、取り上げたいと思います。皆さんは体の何割が水分で出来ているかご存知ですか?個人差はありますが、体の約7~8割が水分で出来ています。では体の水分が減ると、どのような問題が起こりやすいのでしょうか?

熱中症

熱中症は長時間、暑い環境にいることで起きやすくなります。熱中症のサインとしては、始めは①めまいや立ちくらみ②こむら返りの症状が出ます。重度化すると③体がだるくなる④意識障害などの症状が出ます。もし熱中症になってしまった場合は、大きい血管(首・足の付け根・脇など)を冷やす必要があります。

脳梗塞・心筋梗塞

水分が減ることで、血液がドロドロになり、血管内にこびりつきやすくなります。そうすると、血管内が細くなったり、こびりついた塊が飛んで脳や心臓の血管に詰まることで、脳梗塞や心筋梗塞を生じます。このように水分摂取は健康を保つこと、命を守るために非常に重要です。水分摂取やその他のポイントをまとめますので、ぜひ参考にしてみてください。

①こまめに1日1~1.5ℓの水分を摂取する。
 →起床時・食事前・入浴後・外に出た前後などで分けるとよいです。
②水分だけでなくナトリウム(塩分)も適度にとる。
 →お茶などで水分を取るだけでは、体に水分が浸透しません。適度に塩分を取りましょう。お味噌汁やスポーツドリンクを飲むことをおすすめします。
③部屋を涼しく保つ
 →昼間だけでなく、夜も熱中症や脱水は起こります。無理に節電せず、部屋を涼しく保ちましょう。
※特にお年寄りの場合、体の水分量が少ない、温度感覚がやや鈍くなり、暑さを感じにくい場合があるので、十分注意してください。

加藤 隆三
理学療法士 地域リハビリテーション推進員"理学療法

資格取得後は整形外科におけるリハビリテーション部の立ち上げに従事。その他、中学や高校の野球チームでトレーナーとして携わる。現在は介護サービスにおいて、お客様の生きがいや生活の質を高めることをコンセプトとした生活リハビリの業務に従事している。その他、地域リハビリテーションに力を入れており、静岡市を中心に介護予防教室を30回以上開催し、自立支援型ケア会議に参加している。その他、福祉用具専門相談員に対して、福祉用具の選定方法などの講演を行う。