2022.01.21

終活のススメ|老後のトラブルにどう備えるか

最終更新日:2022.01.21
増田 高茂
社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者

老後のトラブルとは

終活_老後のトラブルに備える

生きていく上で大小の差はありますが、トラブルに見舞われる場合があります。高齢になると高齢者の特徴が原因で生じやすいトラブルがあり、前もって対策しておくと心配は少なくなります。例えば体力や判断力の低下・医療や介護の受け方・葬儀やお墓について・自分の財産のことなどについてです。穏やかな老後を過ごすために考えておきたい、老後にありがちなトラブルと対策を紹介します。

現在の家に住み続けられるか

現役時代に購入した家が老後も問題なく暮らせるつくりとは限りません。最近では子供の自立や定年退職をきっかけに、高齢になっても住みやすい家への住み替えを選ぶ人が増えています。高齢になると体力が次第に衰えて階段の昇り降りも大変になり、段差が大きいと2階との行き来ができなくなるかもしれません。住み替えをせず階段には手すりやスロープをつける、場合によって簡易エレベーターをつけるなどの対応が必要です。体力低下に合わせて本格的なバリアフリーの導入もひとつの方法で、車いすを使う場合はリフォームをするケースが多いです。

判断力は衰えていないか

高齢になると判断力が次第に低下し、入ってきた情報を元に正しい判断を下せない場合があります。判断力だけでなく、理解・判断・論理をまとめた認知能力が衰えるため自分の置かれた状況を把握できなくなります。年齢を重ねるほど新しい問題を解決する力が弱まり、瞬時の正しい判断が難しくなるため、詐欺などの被害にあいやすくその場で重大な判断はしないことを心がけましょう。認知能力が大きく下がると、普段行き来していたスーパーから自宅までの道を忘れて迷う場合もあります。認知機能の低下は自分ではわかりにくく、家族など身近な人の方が先に気づきやすいです。もし慣れた手順を何度も忘れる場合は、早めに専門医に相談し認知機能のチェックを受けましょう。

どのような医療、介護を受けたいか

病気やケガで入院、介護を受ける可能性も高まりますが、受けたい治療や介護内容により費用は異なります。老後の貯蓄と理想の治療・介護内容を照らし合わせ、無理のない範囲で決めましょう。医療費・介護費用が高額で払えない場合、治療や介護を受け続けることは難しくなります。高額療養費制度など公的制度を理解し、一人で抱え込まず家族と相談してどうするかを話し合っておきましょう。費用負担の心配があれば、医療ソーシャルワーカーに相談する方法もあります。もしかかりつけ医がいないときは、まず通院しやすい立地のクリニックで定期検診を受けましょう。かかりつけ医がいると介護が必要になった場合、主治医として意見書を書いてもらえます。できれば介護系の施設と連携のある病院をかかりつけ医に選ぶと、介護を受ける際もスムーズです。

葬儀の内容やお墓をどうするか

葬儀の内容やお墓は本人だけでなく家族にも関わる内容のため、家族と話し合い納得できる方向を決めましょう。しかし人によって葬儀やお墓に対する考え方が違うため、親子間だけでなく夫婦間でも意向がなかなかまとまらない可能性があります。葬儀の形式は多様化しつつあり費用もさまざまのため、会館見学に出かけて相談すると最新の情報が入手できます。家族のお墓がなければ埋葬方法の相談も必要で、会館によっては埋葬方法について相談に乗っている場合があります。新しい情報を元に考えをまとめて相談し、最終的な意向を決めましょう。核家族で生活するケースが多く、菩提寺となるお寺を持たない家も増えています。会館では菩提寺のない家の葬儀ももちろん行っており、宗派がわかればそれに沿ったお寺の紹介も期待できます。

自分の財産をどうするか

相続は大切な家族がもめる原因のひとつで、トラブルが起きないよう事前に財産を処分方法を決める人もいます。財産はプラス資産だけでなく借金などマイナス資産もあり、どちらもある場合専門家でなければ相続か放棄か迷うかもしれません。まずは今ある財産を金額にするとどのくらいか、マイナスがあればプラス資産で打消しは可能かプロに計算してもらいましょう。財産が不動産ばかりの場合、相続は金額評価で行われるためお金で相続税を納めなくてはなりません。例えば土地を受け取ったはいいが、相続税を納める余裕がない人もいます。すると土地を売って納める・土地を担保に借金して納める・納税を待ってもらい延滞税と共に納める・物納するの方法を取らなくてはなりません。納税で困らせないためには、先に土地を売却して現金化し納税に困らない財産を用意する方法もあります。相続でもめないためには、遺言書を作成し具体的に分与方法を示しましょう。法定相続分の比率も遺言書により変更可能なため、遺言書は強い効力を持ちます。民法の規定を守った作成が必要なため、専門家の指導のもとでの作成が確かです。

老化度チェック

終活_老後のトラブルに備える

心身がどの程度老化しているか、セルフチェックして把握しましょう。運動能力と体の機能がどれだけ理想的な働きをするか、次の目安を確認し確かめてください。運動能力のチェックでは、立った状態で片手を上に伸ばし半分に切ったティッシュを落とし反対の手で取ります。つかめなければ体が老化し始めています。今度は背筋を伸ばしたまま片足立ちになり、膝を抱えて何秒キープできるかはかります。左右の脚で行い、どちらも30秒維持できなければ体が衰えてきています。老化は体の柔軟性も低下させるため、体が硬さも目安のひとつです。柔軟性チェックは、両腕を上にあげて背中の方へ肘を曲げ、頭の後ろで右手で左肘を持ち右の方へ引きます。左右両方行い、どちらも内側へ引けない場合は体が硬く老化が進んでいます。日頃の生活をふり返って、以下の内容が頻繁にあるようでしたら老化が進んでいますので日々の過ごし方に気をつけましょう。チェックポイントは、同じ話を知らないうちにくり返す・知り合いの名前が思い出せない・どこにしまったか忘れる・今何をしようとしたか忘れる・わけもなく落ち込む・説明書を読むことが面倒・身だしなみに気を遣わない・外出が面倒に思えるなどです。

家族と話し合いをしておこう

終活_老後のトラブルに備える

加齢と共に起こる老化現象は誰にでもあることです。老化にともなう心身の変化でトラブルを招く可能性があるため、本人の状態をチェックしながら早めに家族で対策をとりましょう。トラブルがあったときに考えるのでは対処の遅れにつながるため、老化を感じたとき早めに話し合いをする機会を持つことをおすすめします。

増田 高茂
社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者
多くの介護事業所の管理者を歴任。小規模多機能・夜間対応型訪問介護などの立ち上げに携わり、特定施設やサ高住の施設長も務めた。社会保険労務士試験にも合格し、介護保険をはじめ社会保険全般に専門知識を有する。現在は、介護保険のコンプライアンス部門の責任者として、活躍中。