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人生シミュレーションの必要性
人生においては、いくつかのポイントがあります。入学、卒業、就職、結婚、出生など、人それぞれ異なりますが、何らかのポイントを迎える前に、計画を立て、備えることによって、トラブルに対処することができます。このポイントには、あまり受け入れたくない「死」というテーマがあります。終活の際には、このテーマとうまく付き合い、段階ごとに備えをすることで、突然のトラブルを防ぐことができます。実際に、終活の段階ではどのようなトラブルがあるかを見つつ、どのような対処法が考えられるかを一緒に考えていきましょう。
体力が衰える
体力が衰えると、食べ物が詰まったり、お風呂でおぼれたり、転倒して骨折をする事故のおそれがあります。これら3つの事故は、実は交通事故よりも多いという集計結果もあるほどに、よく起こるのです。ですから決して甘く見ることなく、このような事故を防ぐために、普段よりも食べ物を細かく調理したり、脱衣所をよく暖めて、かつ、浴槽からはゆっくり立ち上がりましょう。また、転倒防止のため手すりを付けたり、床にあるものを少なくしましょう。
病気にかかりやすくなる
体力が衰えると、病気にかかりやすくなります。これを防ぐためには、日ごろから規則正しい生活を送ることが重要です。朝起きたら太陽の光を浴びて、適度な運動をして、食事もしっかりとることを習慣づけることが肝要です。また、入院に備えた費用についても考えておくべきです。例えば、不動産をお持ちの方は、自宅を担保に入れたり、あるいは最近では「リースバック」といって、不動産を売却しつつもその家に住み続ける方法もあります。これらは、健康なうちによく調べておくとよいでしょう。
体が不自由になる
体力の衰えが進むと、体が若い頃よりも自由に動かないこともあります。場合によっては介護が必要になることも考えておくとよいでしょう。介護施設でのトラブルは、入居前だと申込金について、入居時だと施設側からの突然の退去申し入れ、入居後だと利用料の値上げや職員が24時間常駐と聞いていたのに違っていたなどがあります。それぞれの対処法は、例えば重要事項説明書をよく読むとか、説明会で綿密に質問するなどです。重要事項説明書などの契約書に書いてあることがよくわからないという場合には、それを持参して法律専門家に相談することも、賢い予防方法といえるでしょう。
寝たきりになる
寝たきりになると、自分の思いをほかの人へ伝えることが難しくなります。そのような場合に備え、あらかじめ気になる点は伝えておくとよいでしょう。例えば、自分が寝たきりになった場合の財産の管理はどうするか、入院費は誰が負担するかなど、話しにくいことであっても、伝えるべきであると思うことは伝えておくべきです。
判断能力が低下する
成年後見制度の利用を検討してみましょう。この制度は、判断能力が低下したことによって、例えば悪質業者から物品を購入してしまったときなどに、後見人に選任された人が取り消すことができる制度です。これは、家庭裁判所に申し立てる必要があります。判断能力が低下することで、実は悪質業者からの勧誘が増える場合が多々あります。これは、彼らの独自の情報網を駆使して、「あそこのお宅は狙い目だよ」という情報の共有がなされるからです。判断能力が低下したと感じたときは、家庭裁判所への申立てを検討しましょう。また、判断能力が低下する前に、信頼できる誰かに支援をしてほしい場合には、公正証書によって、任意後見契約を結ぶことができます。これは、療養看護や財産の管理を委託する契約であり、成年後見制度のように取消権はありませんが、一定の支援を期待することができます。
傷病により不治、末期状態になる
末期状態になると、終活の成果が表れはじめます。これまでに、勇気をもって計画を立て、備えをしていたときには、ほかの人に迷惑をかけることが少ないでしょう。末期状態では、特に延命治療や介護疲れについてトラブルになります。事前に、医師や大切な人を交えて話しておくことが極めて重要です。介護疲れについていうと、日本では、安楽死は事実上認められていませんし、「あなたの手によって、先に逝かせてくれ」というように、直接自分に手を掛けて眠らせてくれと頼むようなことはできません。現代の日本では、これは認められていないからです。介護疲れによって冷静な判断を一時的に欠いてしまい、本当に手掛けてしまうという悲惨な事件が起こることもあります。手掛けてしまった方は逮捕されることもあり、そうなった場合には精神的負担はかなりかかってしまいます。そうならないように、なるべく末期になる前に、周りの人を交えてよく話し合うのが大事です。これは周りの人からではなかなか話を切り出しにくいですから、自分の最期の形を自ら率先して伝えてあげるのも優しさです。
死を迎える
死を迎えた後、誰が葬儀を執り行い、そしてお墓を守るのかといった点も重要です。実は財産のほかに、祭祀の方法についても遺言を残すことができます。現代では、室内墓所などもあり、お墓といえば外にあり、夏に掃除をするものであると断言することはできなくなっているでしょう。それでもやはり、祖先から伝えられたお墓を大切にしたいという方は、財産のほかに,そのお墓をしっかりと継承してくれる方に遺言を残しましょう。そのとき、継承してくれる人とよく話し合い、場合によっては遺言でちょっと多めの財産を与えることも検討しましょう。
死後の相続
相続が「争族」になるとはよく言ったものですが、これは、遺言がない場合によく起きるトラブルであり、対処としてはやはり、遺言を残しておくに限ります。旅立った後は、もうご自身の意思を表すことはできません。しかし、遺言は、あなたが旅立った後に、あなたの意思を表す最後の手段です。そのことをよく理解し、専門家に相談するなどして、適切な遺言を残しましょう。
事前にトラブルを対処しよう
以上までに、終活において考えるべき、また、直面するかもしれないことを挙げました。幸いなことに、「人生100年時代」と言われる現代では、計画を立て、備える時間が豊富にあります。これらは、終活をしているご本人様だけに限らず、周りの人の協力も得ないとできないこともあります。よく調べ、場合によっては周りの人と相談して、円満な最期を迎えられるように努めるとよいでしょう。旅立った後も、「あの人はしっかりしてたね。」と言ってもらうのも、悪くないかもしれません。
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多くの介護事業所の管理者を歴任。小規模多機能・夜間対応型訪問介護などの立ち上げに携わり、特定施設やサ高住の施設長も務めた。社会保険労務士試験にも合格し、介護保険をはじめ社会保険全般に専門知識を有する。現在は、介護保険のコンプライアンス部門の責任者として、活躍中。