2022.04.18

うつ病の運動療法とは?うつ病改善に効果的な食べ物について紹介

最終更新日:2022.04.18
東海林 さおり
看護師

うつ病への運動効果とは

うつ病への運動効果

うつ病は「趣味や興味の喪失」や「意欲の喪失」が現れる精神疾患の一つですが、心の症状ほかにも身体的な症状も生じる病気です。休養や環境の調整を行いつつ、薬による治療を行っていくのが一般的ですが、無理のない範囲で運動をすることによって環境を改善していく近道にもなります。運動は、うつ病により低下した体力を回復するとともに、休養中に崩しやすい生活リズムを整える効果が期待されるためです。

うつ病予防に運動は効果があるのか

運動によるうつ病予防の効果

アメリカのある調査では、活発に運動を行うことによりうつ病の発症リスクが15%~25%ほど低くなるという結果も出ており、運動によって生活リズムを整えることや、自発的な運動を行うことにより楽しみを見出すことは、うつ病の予防に効果があるとされています。うつ病は生活環境や人間関係によるストレス、身体的な原因などの様々な要因が重なって生じるとされており、原因は一つではないとさていますが、予防・改善のためにも運動を生活に取り入れていきましょう。

うつ病の運動療法とは

うつ病の運動療法

運動は大きく分けて「有酸素運動」と「無酸素運動」に別けられます。うつ病の運動療法には「有酸素運動」と呼ばれる、ジョギングやウォーキング、水泳やヨガなどの酸素を使った運動が有用とされています。有酸素運動は、時間や運動量など各個人に合わせた内容の運動を実施しやすく、副交感神経を刺激されるといった利点があります。また、自分の体の筋肉を意識しながら、緊張と弛緩を繰り返す漸進的筋弛緩法といった運動も効果があると言われています。

ウォーキング

有酸素運動でうつ病の予防・改善に大きく期待できるのがウォーキングです。アメリカのブレスローという医学者は健康習慣と抑うつ状態の関係を調べ、定期的な活動や十分な睡眠が重要だと提示しました。うつ病による体力低下を防ぎ、生活リズムを整えるには、週に3回程度、45分から1時間のウォーキングが望ましいですが、もちろん毎日行うことができればよりうつ病の症状改善につながるのではないでしょうか。また、ウォーキングは天候や時間にも左右されしまうため、ルームランナーなど家の中で有酸素運動を行う環境を整えるのも良いでしょう。ウォーキングの他にも、外出する理由にもなる水泳や、気軽にできるヨガといった運動もおすすめです。

漸進的筋弛緩法

漸進的筋弛緩法は、アメリカの医師エドモンド・ジェイコブソンによって開発されたリラクゼーション法であり、意識的に筋肉を緊張させ、その後一気に脱力することによって、緊張状態とリラックス状態の両方を知ることができるというものです。自分が緊張している事を自覚できれば、自分の気持ちをコントロールすることに繋がり、精神的な負担を減らすことによってうつ病からの回復・予防を目指す手段にもなります。漸進的筋弛緩法の方法は簡単で、体の各部分に力を込めて緊張させつつ、その感覚を保ったまま力を抜く、といったものです。この時、緊張している状態とリラックスしている状態の両方を感覚的につかむこと、力を込めている最中は息を吸いながら力を込めて、リラックスする際は吐く、といった呼吸への意識も重要です。リラックスできる環境で行う、自分の体と対話する運動といえます。

うつ病への食事効果とは

うつ病への食事効果

うつ病は様々な要因が重なって起こる精神疾患の一つですが、大きな要因の一つとして栄養不足が考えられます。「栄養型うつ」と呼ばれ、バランスの良い食事を摂ることによってうつ病の原因となるストレスに強い体作りにも繋がり、身体的な体力の低下も防ぐことが期待できます。

うつ病に良い食べ物とは

うつ病に良い食べ物

うつ病に関わる主な栄養素は、鉄分、ビタミンB群、ビタミンD、亜鉛、脂肪酸、ミネラルと多様にわたります。聞いたことがあるような栄養素もあるかと思いますが、そのすべてを日常の食生活で意識的に摂るのは難しいですよね。足りない部分はサプリメントなどの栄養補助食品を利用するのも手ですが、それぞれの栄養素がどういった働きをしているのかをご紹介していきます。

鉄分が多く含まれる食べ物

赤血球に含まれるたんぱく質であるヘモグロビンを運んでくれる鉄分は、不足すると全身が酸素不足になり、疲れやすさやめまいを引き起こす原因となります。不足すると「鉄欠乏うつ」と呼ばれる症状を引き起こし、髪の毛が抜けやすいことや冷え性になる原因にもなります。鉄分は大きく分けて体内に吸収されやすいヘム鉄と体内に吸収されにくい非ヘム鉄に別けられます。ヘム鉄が多く含まれる食べ物には、煮干しや豚レバー、しじみやあさりなどといった動物性食品が挙げられます。非ヘム鉄はそのままでは体内に吸収されにくい特徴を持っていますが、たんぱく質やビタミンCと一緒に摂ることによって吸収効果が高まります。小松菜や、枝豆、サラダ菜など植物性食品が挙げられ、オレンジやキウイなどの果物を食事の際に一緒に食べる事をお勧めします。

ビタミンB群とたんぱく質が多く含まれる食べ物

美容に良いと言われているビタミンB群は、エネルギー代謝をよくする働きを持っており、体内の潤滑油のような存在です。B1、B2、B6など、それぞれ役割を持った8種類のビタミンがあります。たんぱく質は皮膚や髪の毛、筋肉などを形成する手助けをしてくれる重要な栄養素です。不足すると「ビタミンB群うつ」や「たんぱく質うつ」と呼ばれる症状を引き起こし、集中力や記憶力が低下したり、口内炎や口角炎ができやすくなったります。また、疲れやすくなる原因にもなります。

ビタミンB群を採りやすい食品の一例では、ビタミンB1であれば、豚肉や穀類など、ビタミンB2ならレバーやハツなど、ビタミンB6ではにんにくや肉類、魚類が挙げられます。中でもレバーは栄養の宝庫と呼ばれており、ビタミンB2、B12、ナイアシン、葉酸などを効率的に摂ることができます。どうしても普段の食事の中で取り入れにくいと感じる場合は、サプリメントなどを利用するのも1つの手ですね。

ビタミンDが多く含まれる食べ物

ビタミンDはカルシウムとリンの吸収を助ける役割を持っています。カルシウムが骨や歯を丈夫にしてくれるというのは、皆さんもご存じ通りかと思いますが、そのほかにも心や神経のバランスを整えてくれるセロトニンという脳内物質を調整してくれるということも、最近の研究で明らかになりました。ビタミンDが不足すると「ビタミンD欠乏うつ」を引き起こす原因になり、風邪やインフルエンザといった体調不良の原因となったり、カルシウムの低下を招き、骨軟化症を引き起こしたりする可能性もあります。ビタミンDは魚類に多く含まれており、特にしらす干しやいくら、うなぎやさんまに多く含まれています。日光を浴びることによって皮膚でも生成されるので、体内のリズムを整えるためにも食生活・日光浴を意識しましょう。

亜鉛が多く含まれる食べ物

亜鉛は免疫力の向上や味覚を正常に保つ役割を持っています。不足すると「亜鉛欠乏うつ」を引き起こしやすくなり、髪の毛が抜けやすくなったり、乾燥肌や肌荒れ、風邪をひきやすい原因となったりしてしまいます。加工食品を多く食べる人は、加工食品に含まれるポリリン酸が亜鉛の吸収を妨ぎ、お酒をよく飲む人もアルコールの分解に亜鉛が使われてしまうので十分に摂取に気を付けなければいけません。亜鉛が多く含まれる食品の一例として、牡蠣や油揚げ、カシューナッツが挙げられます。亜鉛はたんぱく質を多く含んでいる食品と共にとると効率よく摂取できるという特徴を持っています。たんぱく質と一緒にとり体づくりを意識してみてはいかがでしょうか。

マグネシウムが多く含まれる食べ物

私たちの体に必要不可欠なミネラルで、主に骨や歯を作るのに役立つ栄養素です。カルシウムと拮抗して血管を拡張させて血圧を下げたりする機能も備えています。ミネラルは体内で合成できないため、食品やサプリメントなどで摂取する必要があります。マグネシウムが不足すると「マグネシウム欠乏うつ」を引き起こす原因となります。マグネシウムは神経伝達にも大きく関わっており、まぶたがぴくぴくしたり、足がつりやすかったりといった症状を抱えている人は、不足している可能性があります。そんな重要なミネラル、マグネシウムを多く含んでいる食材には、ひじき、ほうれん草、玄米ごはん、アーモンドといった食材が挙げられます。日本人の食に馴染んだ食材も多く、知らず知らずのうちに必要とされていた食品だという事が分かりますね。

生活習慣を正してうつ病を治そう

HABITS

健康な体を保つためには運動や食生活といった生活習慣が大切です。特に運動は、調子が悪くなってきて休養期間に入ってしまうと、おろそかになってしまいがちと思われますが、日光浴のためにも外に出て運動をする習慣作りを心掛けたいですね。もちろん、体を作ってくれる食事も大切です。加工食品に頼り切らず、様々な食品を取り入れた食事を心がけましょう。うつ病はよく聞く精神疾患の一つですが、体の調子を整えることも大切です。十分な休養をとりつつ、意識していきましょう。

東海林 さおり
看護師
看護師資格修得後、病棟勤務・透析クリニック・精神科で『患者さん一人ひとりに寄り添う看護』の実践を心掛けてきた。また看護師長の経験を活かし現在はナーススーパーバイザーとして看護師からの相談や調整などの看護管理に取り組んでいる。