2021.08.12

デイケアとは?サービス内容と費用を紹介

最終更新日:2022.07.05
増田 高茂
社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者

リハビリに特化した介護保険サービス「デイケア」。自宅から事業所までの送迎も行うデイケアは、在宅生活を送る要介護者の自立を支援する役割を担っています。こちらの記事では、デイケアの対象者やサービス内容、利用料などについて分かりやすく解説していきます。

デイケア(通所リハビリテーション)とは

看護師

デイケア(通所リハビリテーション)とは、リハビリが必要な要介護者が、自宅から通いながら利用する介護保険サービスです。医師や看護師、リハビリの専門スタッフが配置されており、身体機能回復のためのリハビリ訓練を受けることができます。似たようなサービス内容として「デイサービス」を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、デイサービスは食事や入浴といった介護サービスを中心とした施設です。一方、デイケアはあくまでも「リハビリをうけること」が第一目的であり、病院、診療所、介護老人保健施設などに併設されています。

対象者は要介護1以上

デイケアの利用対象者は、要介護度1~5の認定を受けた方となります。要介護度認定とは、介護保険サービスの必要度をしめすものです。要介護度認定の対象は、65歳以上または64歳以下で特定疾病を抱えている方となります。

要支援の方は介護予防通所リハビリテーション

日所生活がほぼ自立している要支援1~2と判定された方は、「介護予防通所リハビリテーション」の対象となります。介護予防通所リハビリテーションでは、日常生活上の支援に加え、運動機能向上や栄養指導、口腔機能向上に関するサービスを組み合わせて利用できます。

サービスの内容

リハビリ

デイケアのサービス内容は、リハビリテーションが主目的ですが、入浴や食事といった介護サービスも利用できます。利用時間は6~8時間の「一日型」のほか、施設によってはリハビリのみの短時間利用も可能です。医師や看護師が配置されているため、胃ろうや痰吸引といった医療的ケアが可能なことも特徴です。

リハビリテーション

デイケアでは、理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)といった専門職がリハビリにあたります。リハビリ内容は医師が指示する「リハビリテーション計画書」に基づいたものです。また、デイケアでのリハビリは専門職によるものだけではありません。医療的ケアが必要な方や、退院後で身体機能が低下した方にとっては、自宅からデイケアへ通うという行為そのものがリハビリにあたると考えられます。介護スタッフが提供する食事やトイレ、入浴時の更衣といった「生活リハビリ」は、自立した日常生活を支援するものとなるでしょう。施設によっては、脳トレーニングやコミュニケーション活性化を目的にさまざまなレクリエーションも行われています。

利用料の区分

介護

デイケアの利用料は、要介護度や利用時間によって区分されます。通常規模の事業所(6~7時間未満)の利用料の目安は以下のとおりです(1割負担)。

要介護1 710円
要介護2 844円
要介護3 974円
要介護4 1,129円
要介護5 1,281円

利用負担は原則1割ですが、所得によっては2割または3割負担となることもあります。また、「個別訓練機能加算」「入浴介助加算」「栄養改善加算」のように、利用するサービスによって個別に費用が加算される場合もあります。

食事やおむつ代は自己負担

施設で提供される昼食やおやつには、介護保険は適応されません。そのため、上記費用とは別に自己負担する必要があります。そのほか、施設が用意したおむつや歯ブラシなども自己負担の対象となります。

実際の利用料の目安

実際の自己負担額は利用するサービス内容によって決定します。要介護1の方が、デイケアを1日利用した際の負担額を例に見てみましょう。

(例)要介護1(1割負担)入浴・昼食・おやつあり

利用料 710円
入浴介助加算 40円
昼食 600円
おやつ 50円
合計 1,400円

※昼食、おやつ代はデイケアによって異なる

このように、デイケアの1回あたりの金額はおよそ1,000~2,000円となります。細かな費用は事業所ごとに異なるため、利用前にケアマネジャーや担当窓口によく確認しておきましょう。

こんな方におすすめ

介護

前述したように、デイケアはリハビリテーションを目的とした介護サービスです。そのため、病院から退院したばかりで日常生活に不安がある方、身体機能が回復していない方が活用できるサービスになります。また、介護サービスも充実しているため、在宅生活を送る要介護者にもおすすめ。入浴や食事、排泄介助といった介護サービスを利用しながら、在宅介護者の負担を軽減することもできます。「車いすでも入浴できるか」「飲み込みやすい食事形態に対応できるか」といった施設の条件をもとに、どの施設を利用するか検討していきましょう。嚥下障害や健康不安、寝たきりで医療的ケアが必要など、要介護者の身体状況はさまざまに異なります。それぞれの不安や悩みを改善するため、専門職がリハビリにあたるのがデイケアです。利用を検討する際は、ご本人の身体状況に合わせ、かかりつけ医やケアマネジャーとよく相談しながら施設を探してみてくださいね。

増田 高茂
社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者

多くの介護事業所の管理者を歴任。小規模多機能・夜間対応型訪問介護などの立ち上げに携わり、特定施設やサ高住の施設長も務めた。社会保険労務士試験にも合格し、介護保険をはじめ社会保険全般に専門知識を有する。現在は、介護保険のコンプライアンス部門の責任者として、活躍中。