ショートステイとは、在宅介護ができなくなったときに一時的に利用可能な入所サービスです。「仕事の都合で介護ができない」「日々の介護に疲れを感じている」という方におすすめのサービスとなります。こちらの記事では、ショートステイを利用する際の条件や料金、サービス内容についてくわしく解説していきます。
目次
ショートステイ(短期入所生活介護)とは
在宅介護を続けていると、家族の体調不良や冠婚葬祭、仕事の都合などで一時的に宿泊サービスが必要になる場合があります。そのようなときに利用できるのが、短期的に施設入所できる介護サービス「ショートステイ」です。介護保険制度で利用できるショートステイでは、食事や入浴、排せつ介助といった介護サービスを受けられます。そのため、介護の都合がつかないときだけでなく、介護者のレスパイト(休息、息ぬき)にも利用できる施設です。また「退院後に入所する施設が決まらない」「特別養護老人ホームの入居待ちをしている」といった場合に利用されることもあります。
医療型ショートステイ(短期入所療養介護)との違い
医療型ショートステイは、医学的管理のもと介護や機能訓練を受けられるサービスです。インスリンの自己注射や胃ろう、痰吸引など、医療的ケアが必要な要介護者を対象とした施設になります。理学療法士や作業療法士、言語聴覚士のようなリハビリスタッフも配置されており、集中的なリハビリが必要な場合に利用できることも特徴です。
介護保険制度を利用できるショートステイ
ショートステイには、介護保険制度を利用できます。介護保険制度を利用できるサービスが「短期入所生活介護」と前述した「短期入所療養介護」です。これらのサービスは、特別養護老人ホームや介護老人保健施設、介護療養型医療施設などで利用することができます。また、「有料老人ホーム」のショートステイサービスにも特定のものは利用できます。契約する施設によって条件は異なるため、サービス内容や期間はニーズに合わせて選ぶことになります。
対象者は要介護度1以上
ショートステイの利用対象者は、65歳以上で要介護度認定1以上を受けた方です。要支援1または2の方は、「介護予防短期入所生活介護」サービスを利用できます。要介護度認定を受けるためには認定申請が必要となるため、利用を検討する際は地区の担当窓口(地域支援包括支援センター等)に相談してみましょう。
こんな方におすすめ
ショートステイは、在宅生活をおくる要介護者におすすめの介護サービスです。同居する家族による介護が難しくなった場合にも、環境の整った施設で安心した生活を送ることができます。医療型ショートステイであれば、認知症の方や医療的ケアが必要な方でも適切なサービスを利用できるので安心です。また、日頃の介護で精神的・肉体的な疲れを感じている介護者にとっても、大きなメリットのあるサービスであるといえるでしょう。
こんな時に利用する
ショートステイは、要介護者の在宅生活支援と家族の介護負担軽減を目的としたサービスです。そのため、介護者、要介護者それぞれのケースに合わせて利用することができます。
介護者のケース
● 急な出張で家を空けなくてはいけなくなった
● 冠婚葬祭で介護者がいない
● 介護者が体調を崩してしまった
● 介護者が旅行に出かけるため家を空ける
● 介護疲れでリフレッシュできる時間がほしい
要介護者のケース
● 退院の予定だが次に入る施設が決まらない
● 特別養護老人ホームの順番待ちをしている
● 長期的に入所する前に施設に慣れたい
● ホームヘルパーが来ない日の家事負担を減らしたい
利用料の区分
ショートステイの利用料は、居室の種類や介護度によって区分されます。料金は地域によっても異なりますが、多床室を利用した場合の1日あたりの利用料の目安は以下のとおりです(1割負担)。
要支援1 | 446円 |
要支援2 | 555円 |
要介護1 | 596円 |
要介護2 | 665円 |
要介護3 | 737円 |
要介護4 | 806円 |
要介護5 | 874円 |
また、医学的管理が必要な「短期入所療養介護」の場合は、事業所の種類によっても区分が分けられるほか料金が高くなる傾向にあります。送迎サービスや療養食を利用する場合にはサービス料が別途加算されるため、利用前には料金についてよく確認するようにしましょう。
実際の利用料の目安
ショートステイの実際の利用料には、介護保険が適用される基本料のほか、施設が指定する食費や滞在費が必要になります。ここでは、要介護度3の方が短期入所生活介護を利用した場合を例に、利用料を計算してみましょう。
(例)要介護度3 1泊2日利用(従来型個室)
利用料金 | 737円 |
食費 | 1,400円 |
滞在費 | 2,000円 |
合計 | 4,137円 |
このほか、施設が用意したおむつや歯ブラシなどを利用した場合には、日用品代が必要です。ショートステイは長期入所に比べ高額ではないものの、さらに費用を抑えたい方は施設の食費や滞在費をチェックしてみるとよいでしょう。ショートステイは在宅生活を送る要介護者だけでなく、その家族である介護者も支援する介護サービスです。近年は働きながら介護をする方も多く、ショートステイのニーズは高まっています。「突然介護ができなくなった」というケースに対応するためにも、日頃からケアマネジャーに利用できる施設を相談しておきましょう。
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多くの介護事業所の管理者を歴任。小規模多機能・夜間対応型訪問介護などの立ち上げに携わり、特定施設やサ高住の施設長も務めた。社会保険労務士試験にも合格し、介護保険をはじめ社会保険全般に専門知識を有する。現在は、介護保険のコンプライアンス部門の責任者として、活躍中。