2022.11.16

認知症になるとトイレばかり行く?頻尿の原因や対策を解説

最終更新日:2022.11.16
増田 高茂
社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者

日本は今超高齢化社会となっており、認知症の患者も年々増加しています。認知症の症状は、よく知る記憶障害や見当識障害の他にも色々あり、頻尿も症状の1つとなっています。排泄の問題は、在宅で介護を続けるにあたって負担となる事が多く、人にも相談しづらいため、大きな悩みとなっていることが多くあります。認知症の方がトイレばかり行くのには様々な原因があり、原因に対しての対策をとる必要があります。この記事では、認知症の方が頻繁にトイレに行かれる原因とそれに対しての対策方法をご紹介したいと思います。

高齢者に多い頻尿とは

高齢者に多い頻尿とは?

一般的な排尿の回数は、1日4~6回、夜は0~1回です。そのため、1日8~10回、夜は2回以上となると頻尿となります。高齢者に多い頻尿の種類としては主に5つあります。

過活動膀胱

急に強い尿意が起こるのが特徴で、尿が十分に溜まっていない状態でも非常に強い尿意を催すため、我慢することは困難です。我慢できずに失禁をしてしまうこともあるなど、精神的負担も大きくなります。

前立腺肥大

前立腺という尿道を囲んでいる男性特有の臓器で、肥大することで尿道を圧迫し、尿が出にくくなるのが特徴です。進行すると尿が全くでなくなることもあります。

膀胱炎

膀胱の中で細菌が増殖し、炎症が起こる病気です。女性に多く、トイレを我慢したりすることで引き起こします。頻尿や尿の濁りがみられるのが特徴です。

夜間頻尿

高齢の方は若い方に比べて眠りが浅い傾向があり、眠れないことでトイレが気になり回数が増えます。水分を取り過ぎていることが原因の場合もあります。

認知症

認知症の症状の中に頻尿もあります。特に、膀胱抑制的に働く前頭前野や大脳基低核に起こる異常が原因のことが多くあります。また、物忘れや見当識障害により頻尿となる事も多くあります。

上記原因の中には、症状に合わせて内服をすることで治療が可能なことが多くあります。対策の1つとして、医師への相談も検討しましょう。

認知症でトイレばかり行く原因

認知症でトイレばかり行く原因

認知症になり、トイレばかり行くという行動には原因があります。また、認知症の進行にあわせて症状が出てくるわけではなく、軽度の認知症の方にも見られます。認知症の症状そのものが原因だったり、飲んでいる薬が原因だったりする場合もありますが、その中でも代表的な原因について詳しく説明していきたいと思います。

認知症の薬による影響

一般的には認知症を発症すると、医師より認知症の進行を抑える薬や出ている症状に合わせて、気持ちを落ち着かせる薬、物忘れなどを緩和する薬などが処方されます。薬の中には、尿意を促す作用があるものや、他に利尿剤なども服用している場合があります。頻尿がひどくなると、場合によっては介護者へ大きな負担となり、本人への身体的・精神的な影響も出てくるため、その場合は飲んでいる薬について早めに医師に相談しましょう。

トイレに行ったことを忘れているため

認知症の中核症状の1つとして、記憶障害(物忘れ)がありますが、少し前にトイレに行ったことを忘れてしまったり、トイレに行くまでやトイレでの一連の動作を忘れてしまったりと、当たり前に出来ていたことが出来なくなるということが多くあります。認知症は物忘れとは違い、トイレに行ったという体験そのものを忘れてしまいます。新しい記憶や昔の記憶も、障害を受けることでいつトイレへ行ったのかわからず、不安で何度もトイレへ行ったりするようになります。

見当識障害により、夜間眠れなくなるため

見当識障害とは、いつ(時間)どこ(場所)がわからなくなる状態で、環境の変化などにより多く現れます。昔の記憶の中を生きているような感覚になる事もあり、今住んでいる家ではなく、昔の家に帰ると話したりすることがあったり、夜中に買い物に行くと言い出したり、季節や昼夜の区別もつかなくなることがあります。

昼夜逆転の場合は、夜間頻尿とは言わず、眠れずに目が覚めているのでトイレに行きたくなるという状態です。その場合には、決まった時間に起きるなど生活習慣の改善やマッサージ、体操など体を動かす時間を作るなど、生活のリズムを整えるようにしましょう。

認知症でトイレばかり行く人の対策方法

認知症でトイレばかり行く人の対策方法

認知症になると、中核症状と言われる記憶障害や見当識障害が必ず現れます。そして認知症になってトイレに頻繁に行くようになると、トイレ内を汚してしまったり、ふらついて転倒したり、場所がわからなくて放尿してしまったりと介護をする家族にとって大きな負担となります。

負担が大きくなる周辺症状(BPSD)の中でも、徘徊や頻尿などの排泄トラブルは、本人の身体の状態や環境で出現を抑えることが出来ます。本人だけでなく、家族の負担も軽減できるようにきちんと対策をとることが大切です。具体的にどのような対策をとればいいのか、3つの対策方法について紹介していきます。

ポータブルトイレを利用する

足腰の筋力低下などで歩行がふらつく場合、頻繁にトイレに行くと自宅環境によっては転倒の危険が高くなります。家族が毎回トイレまで連れていき、介助をするのも負担がとても大きくなります。そういった場合には、ベッドサイドにポータブルトイレを設置する方法があります。

トイレまで移動するとなると危険が大きいですが、ベッドサイドのトイレへの移乗であれば、転倒のリスクを減らすことが出来ます。慣れるまでは見守りや介助が必要になるかもしれませんが、自力で排泄が出来るようになれば家族の負担は大きく減り、介助が必要な場合でも移動によるリスクがなくなります。また、自宅のトイレでは限られたスペースで介助をしなくてはいけないのに対し、ポータブルトイレはスペースを確保しながら安全に介助することが出来ます。

注意点としては、滑って転倒しないようにすることです。床や履物に注意し、トイレを設置する場所も専門家に相談しながら、安全に移乗できる場所に設置しましょう。また、臭いやプライバシーにも配慮をしながら、定期的な掃除や水や消臭剤を使用するなど工夫しましょう。

個々に合った紙おむつを着用する

いくら工夫をして介助をしていても、移動や移乗が難しかったり、尿意や便意が感じづらかったりした場合には、負担や安全面を考えると紙おむつの使用を検討する必要があります。紙おむつは大きく分けると「パンツ型」「テープ型」「尿取りパット」があります。それぞれに特徴があり、対象となる方も異なる為、個々に合った紙おむつを着用しましょう。

パンツ型のおむつ

トイレ排泄に介助が必要な方や1人でトイレに行ける方に適したオムツです薄型タイプなどもあり、比較的抵抗なく使用できるタイプとなります。

テープ型のおむつ

寝て過ごす時間の多い方やもしくは介助があれば起こせる方に適したオムツです。

尿取りパット型のおむつ

パンツ型、オムツ型両方に使用可能で、少量の失禁の場合パットのみの交換で済むため、交換も簡単でコスト面でも経済的です。

就寝前はカフェインを含む飲み物を控える

カフェインを含む飲み物で有名なものとして、コーヒーが思い浮かぶと思いますが、緑茶や紅茶、ウーロン茶、コーラ、エナジードリンク、栄養剤など様々な飲み物に含まれています。摂取すると頭がすっきりして、集中力が増すなどの効果がある反面、過剰に摂取すると、寝つきが悪い、眠りが浅くなったり、利尿作用によりトイレの回数が増えたりと悪影響を及ぼします。夕方以降はカフェインの含まれていない飲み物にするか、少量にするなど注意をしましょう。

夜間のトイレには介護用品を活用しよう

認知症の男性を介護する女性

在宅で介護を続ける中で、家族にとって負担が大きいことの1つに「排泄の問題」があります。要介護者の状態で問題になることは異なりますが、大変なことを家族だけで頑張って悩んだりせずに、専門家や介護用品を上手に使い、負担を減らしながら介護をしていただきたいと思います。それは家族の負担が減るだけではなく、介護が必要な本人にとっても安全で快適に過ごすことが出来るようになるからです。トイレで使用できる介護用品も、専門家に相談をして、自分に合った介護用品の活用をしましょう。

増田 高茂
社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者

多くの介護事業所の管理者を歴任。小規模多機能・夜間対応型訪問介護などの立ち上げに携わり、特定施設やサ高住の施設長も務めた。社会保険労務士試験にも合格し、介護保険をはじめ社会保険全般に専門知識を有する。現在は、介護保険のコンプライアンス部門の責任者として、活躍中。