2021.08.05

後悔しない看取りのために、在宅で看取るための準備や心構え

最終更新日:2021.08.05

病院ではなく自宅で最期を迎えたいと希望する方も少なくありません。その場合は家族が看取ることになりますが、どのような準備や心構えが必要になるのでしょうか。どのようなサポートを受けられるのか、また、具体的な流れや手続きについて紹介します。

在宅での看取りについて

高齢者_読書

看取りとは、最期の瞬間を迎えるまで見守ること、あるいは看病することを意味する言葉です。看取る場所としては、自宅と医療機関、その他の施設などを挙げられます。在宅での看取りとは、患者が慣れ親しんだ自宅において最期まで過ごせるようにサポートすることです。日本では在宅で亡くなる方よりも医療機関で亡くなる方が多く、病気を患っている方が在宅での看取りを希望する場合は、医療機関との連携やサポートが必要になります。在宅での看取りを選ぶことで、患者本人の意思を最大限に尊重し、最期の瞬間を本人も介護者も大きな充足感を持って迎えられるでしょう。

在宅で看取るための主なサポート体制

看護師

在宅での看取りを選ぶ場合は、患者の状態などによっていくつかサポートを受けることができます。主なサポートとそれぞれのサポートの役割について見ていきましょう。

往診医

定期的に治療を受ける必要がある方や緩和ケア、点滴、胃ろうなどの必要がある方には、医療行為を受けるために医師によるサポートが必要です。在宅での看取りを希望するならば、24時間365日体制でかけつけてくれる往診医が必要になるでしょう。往診医は患者に急変があった場合だけでなく、日常的な治療行為のためにも必要です。また、在宅での対応が難しいと判断される場合に医療機関と連携を取る役割も、往診医に任されています。

訪問看護師

在宅での看取りに関して、訪問看護師は、患者の病状を把握し、医師の指示に基づいた医療行為を行います。内服や排せつの補助、リハビリや精神的ケアも訪問看護師の役割です。また、介護の方法や生活、ケアに関して患者本人や家族の相談に乗り、適切なアドバイスを実施します。その他にも、主治医への報告や、介護員やケアマネジャーなどの他のサポートスタッフとの連携も、訪問看護師が主導して行うことが一般的です。

訪問介護員

訪問介護員は、患者の食事や入浴、排せつなどの日常生活をサポートします。また、介護を行う際に気付いたことや患者の変化についての情報を訪問看護師と共有し、より良いサポート再生の構築に役立てることも訪問介護員の役割です。

ケアマネジャー

ケアマネジャーは、往診医や訪問看護師からの報告を受けてケアプランを作成していきます。患者の病状や体調の変化により、何度でもケアプランを見直し、訪問看護や訪問介護の頻度を調整する必要もあるでしょう。

看取りの準備の具体的な流れ

夫婦

在宅で看取るためには、患者と家族だけでなく医師や看護師などの医療スタッフ、介護スタッフ、ケアマネジャーなどの協力と連携が必要です。在宅での看取りを考えている場合は、以下の流れに沿って準備をしていきましょう。

STEP1 本人の意思を確認する

在宅での看取りにおいて、何よりも大切なのは患者本人の意思です。患者が在宅での看取りを希望しているのかについて、言葉だけでなく書面でも確認します。本人が記入・署名した「リビング・ウイル」や「医療判断代理委任状」、また、本人の意思を細かく確認できる「エンディングノート」などを活用し、患者本人が在宅での看取りを希望していることを確認していきましょう。なお、リビング・ウイルとは、日本尊厳死協会が発行する終末期医療に対する意思を表示する書類です。延命措置を行うのか、治癒の見込みがないときは医療行為を受けないのかについて患者本人の意思で記入します。「医療判断代理委任状」は患者が医療判断に関わる意思表示を一時的あるいは恒久的に失った場合に、患者本人の代わりに医療判断を行う人を指名する書類です。いずれの書類も患者の意思を確認できる書類として使用されるので、意思表示ができる段階で作成しておくことができます。

STEP2 家族・親族で話し合う

どのような看取りを希望するかは、最終的には患者本人の意思によって決定します。しかし、患者が意思を決定する際に、家族や親族がどのように考えているのか尋ねることは大いに参考になるでしょう。死や終末期について話し合っていない家庭も多いため、具体的な看取りの計画を立てる際には家族や親族と話し合うことも欠かせません。

STEP3 事務手続きをする

人材の手配

在宅で看取る場合は、医師や看護師、介護員などの人材の手配が必要です。主治医やケアマネジャーと話し合い、在宅でケアを受けられるように人材の手配を行いましょう。

用品の手配

在宅で看取る場合、介護用品や医療機器を自宅に導入する必要があります。こちらも主治医やケアマネジャーと話し合って、必要な用品を手配しましょう。なお、用品によってはレンタルではなく買取が必要になることもあります。

行政の手続き

24時間365日体制で医療を受けられるようにすることで、医療費がかさむようになります。「高額療養費制度」の手続きを行い、収入等で決定する上限額以上の費用がかからないようにしておきましょう。なお、高額療養費制度では、12か月以内に3回以上上限額に達した場合には、4回目からは上限額が引き下げられる「多数回該当」もあり、さらに医療費を軽減することができます。

在宅で看取る場合は、救急車を呼ばないように

救急車

持病のない方が急変した場合は、救急車を呼び救急医療を受けられるようにします。しかし、在宅で看取る場合は救急車ではなく往診医(主治医)を呼ぶようにしてください。救急車を呼ぶ場合、臨終のさいに死亡診断書を書く往診医がいないと不審死扱いとなり、警察が介入することになるでしょう。また、救急車を呼んで病院に到着する前に亡くなった場合でも、病院の医者が主治医でない場合は死亡診断書を書けないケースがあります。主治医を呼ぶことで、存命の場合は医療行為がスムーズに行えるというメリットもあるでしょう。主治医は患者の病歴や看取りに対する希望を把握しているので、急変があった場合にもどのような医療行為が最善なのかすぐに決定でき、治療介入のタイミングを逃しにくくなります。

安らかな最期を迎えてもらうためには

家族

患者が安らかな最期を迎えられるためには、患者の判断能力がはっきりとしている間に「どのような最期を希望しているのか」について話し合い、患者本人の意思を明らかにしておくことが大切です。患者だけでなく長年寄り添った家族や親族も交えて話し合うならば、患者の意思決定に役立つでしょう。患者の意思が明確になったら、リビング・ウイルや医療判断代理委任状、エンディングノートなどを活用して、書面に残しておくことができます。そのうえで主治医と話し合い、看取りに必要な人材や用品、手続きなどを用意していきましょう。日本では死や終末期についての話をタブーとする傾向にあり、長年一緒に暮らしている家族であっても、患者本人がどのような希望を持っているのか正確に理解していないことが少なくありません。本人の意思と家族が思っている本人の意思と異なることも多いので、元気なうちから看取りについて話し合い、安らかな最期を迎えられるように協力していきましょう。