2021.08.31

在宅介護サービスの種類とは?各サービスの特徴を紹介

最終更新日:2022.07.22
増田 高茂
社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者

介護保険サービスは、在宅サービス、施設サービス、地域密着型サービスと3つの種類にサービスが区分されています。一般的に介護サービスといっても様々な種類や内容、利用できる条件などがあります。

在宅介護サービスの種類

在宅介護サービスは、要支援1・2、要介護1・2・3・4・5のいずれかの認定を受けた人が、自宅で利用できる介護サービスのことをいいます。平成12年から始まった介護保険制度ですが、令和2年11月時点で厚生労働省が定める在宅介護サービスは、13種類あります(居宅介護支援含む)。主に次のような特徴があります。

種 類 説 明
訪問サービス 担当者が利用者の自宅を訪問し介護サービスを提供する
通所サービス 利用者が自宅から外出し事業所で介護サービスを受ける
短期入所サービス 利用者が短期間施設を利用し自宅に戻る

在宅介護サービスの内容

在宅介護サービスは、どこでサービスを受けるかによって種類が異なります。ここでは、その種類ごとに各サービスの特徴を紹介していきます。

訪問サービス

介護保険制度で提供される在宅介護サービスのうち、訪問サービスとは、ご本人の自宅にサービス担当者が訪問してサービスを提供する形態のことです。利用者の体調や生活環境により介護サービスを自宅で受ける必要がある場合には、訪問サービスが適しています。

訪問介護(ホームヘルプサービス)

利用者の自宅に訪問介護員(ホームヘルパー)が訪問し、生活援助、身体介護などのサービスを提供します。訪問介護員は家政婦とは違うので、ご本人ができる事や同居の家族に関する援助まではおこないません。基本的に訪問介護員はあらかじめ決められた日時に1人で訪問し、訪問介護計画書にもとづいた内容、援助時間で介護サービスを提供します。事業所によっては、早朝から深夜まで対応してくれるところや、土日・祝日はもちろん年末年始も営業しているところがあります。なお、訪問介護サービスの場合、要支援1、2の認定を受けている場合には、介護保険サービスではなく、市町村独自の地域支援事業として、訪問介護相当のサービスを受けることができます。

訪問看護

利用者の自宅に看護師が訪問し、かかりつけ医の指示のもと訪問看護計画書に定められた介護や医療ケアをおこないます。訪問介護同様、基本的に看護師が一人で訪問看護をおこないます。事業所によっては、緊急時や終末期の看取りまで対応してくれるところがあります。

訪問入浴

入浴できる設備を備えた車が、浴槽を積んで訪問します。利用者の自室で安全に入浴できる様に介護スタッフ、看護師が連携してサービス提供にあたります。利用者の部屋が1階になくても、ホースで上層までお湯を汲み上げるなど住宅環境に応じて対応してくれます。通所介護に通うことができない、ホームヘルパーによる支援だけでは、入浴出来ないなどの場合に適しています。

訪問リハビリ

理学療法士や作業療法士などのリハビリスタッフが自宅を訪問してリハビリをおこないます。日常生活の場面でリハビリを行なうので、具体的な生活動作の訓練や改善につながります。

居宅療養管理指導

医師、歯科医師、薬剤師、管理栄養士又は歯科衛生士等が、通院が困難な利用者の自宅を訪問して、心身の状況や生活環境等を把握し、住み慣れた自宅で生活できる様療養上の管理及び指導を行います。

通所サービス

介護保険制度で定められている通所サービスは、利用者が送迎サービスなどで事業所に出かけ、介護やリハビリサービスをうける形態のことです。要介護度や事業所の空き状況によって、利用できる回数が限られています。

通所介護(デイサービス)

利用する事業所の送迎サービス等により自宅から外出し、その事業所において、食事や入浴、レクリエーションなどのサービスを受けます。事業所によって定員やサービス提供時間が異なっているので、少人数の事業所や、半日型利用など希望に応じてデイサービスの事業所を選ぶことができます。事業所の特徴は、単独型や特別養護老人ホームに併設されているところなど様々です。なお、要支援1,2の認定を受けている場合には、介護保険サービスではなく、市町村独自の地域支援事業として、通所介護相当のサービスを受けることができます。

通所リハビリテーション(デイケアサービス)

利用する事業所の送迎サービス等により自宅から外出し、その事業所でサービスを受けますが、リハビリテーションのために、理学療法士や作業療法士など専属のスタッフが配置されている点がデイサービスとの大きな違いです。事業所は主に、介護老人保健施設や、病院、診療所などの施設に併設されているところが多くみられます。

短期入所サービス(ショートステイ)

特別養護老人ホームや老人保健施設などの専用ベッドもしくは空きベッドに、数日間入所して介護サービスを受けることができます。事業所による送迎サービスや機能訓練を受けることができます。

短期入所生活介護

特別養護老人ホームや有料老人ホームなどに短期間入所して、食事や機能訓練、入浴などのサービスを受けることができます。介護職員が24時間交代で勤務していますので、夜間でも介護を受けることができます。

短期入所療養介護

介護老人保健施設や介護療養型医療施設などに短期間入所して、食事や機能訓練、入浴などのサービスを受けることができます。生活介護と比べて看護職員の配置が手厚いので、医療ケアの必要な利用者で、なおかつ24時間の介護が必要な場合には、こちらが適しています。

居宅介護支援

上記で紹介した在宅介護サービスを利用するには、要介護認定を受けていることとは別に、介護支援専門員(ケアマネジャー)により居宅介護支援計画書(ケアプラン)が作成されていることが、必要になります。介護支援専門員は利用者の状態や要望を把握し、事業所の紹介や調整をおこなう専門職です(介護支援専門員に頼らず、自分で計画書を作成する方法もあります)。ちなみに介護保険を申請してから、保険者による認定調査を受け、要支援・要介護の認定結果がでるには、およそ1か月かかります。

まとめ

介護が必要な状態になっても、在宅介護サービスを受けながら利用者が住みなれた自宅で過ごすことは可能です。ですから、介護保険の申請や制度に関する相談、ケアマネジャー選定のための情報提供など具体的な相談があれば、市区町村の高齢者福祉担当課もしくは地域包括支援センターに問い合わせてみましょう。

増田 高茂
社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者

多くの介護事業所の管理者を歴任。小規模多機能・夜間対応型訪問介護などの立ち上げに携わり、特定施設やサ高住の施設長も務めた。社会保険労務士試験にも合格し、介護保険をはじめ社会保険全般に専門知識を有する。現在は、介護保険のコンプライアンス部門の責任者として、活躍中。