2021.06.07

介護保険を利用して介護用品・福祉用具を購入するには

最終更新日:2021.06.08

介護保険の要介護ごとに定められている利用上限額とは別に、介護用品の購入費用も年間10万円(4月~3月の年度内)の範囲内で介護保険が適用され、実質1~3割の負担のみで購入することができます。

特定福祉用具とは

高齢者_紅葉

特定福祉用具とは介護が必要な方のお困りごとを支援する用具の中で、利用する方の肌が直接触れる用具が対象となります。介護用品はレンタルすることができる商品もありますが、衛生面を考慮し肌が直接触れるポータブルトイレや入浴で使用するイスや手すり、特殊尿器の交換部品がそれにあたります。

特定福祉用具販売で購入できる介護用品

お風呂_福祉用具

特定福祉用具には5つの種類があります。以下で詳しく説明致します。

腰掛便座

腰掛便座とは、トイレでの排泄が大変な方におすすめな介護用品です。いくつか種類があり、それぞれ利用する方の状態や家庭でのトイレ事情に合わせて選ぶことができます。例えば自宅のトイレが和式のときは、和式便器の上に置いて使うタイプの腰掛便座を選ぶことができるでしょう。反対に自宅のトイレが洋式の場合には、高さを補助する便座を置くことで要介護者の座る・立つという動作が簡単になります。高さの補助だけでは座る・立つの動作が難しい方には、電動式やスプリング式で立ち上がりを補助できる腰掛便座がおすすめです。その他にも、トイレへの移動が大変な方には室内に設置できるポータブルトイレもあります。

入浴補助用具

介護を必要とする方は、入浴の際にも特定福祉用具が必要となることがあります。特に浴槽の出入りや入浴時の姿勢保持のために必要な入浴補助用具は、特定福祉用具販売の対象となることが多いです。身体を洗う際に使用する入浴用の椅子や、浴槽の出入りの際に用いる入浴台や浴槽用手すり、浴室内に段差がある場合には浴室内すのこで危険を回避できることもあるでしょう。また、浴槽の深さが深すぎるときは浴槽内椅子や浴槽内すのこを置くことで、不便を解消することができます。そのほかにも、浴槽への出入りを介助する入浴用介助ベルトが特定福祉用具販売の対象となります。これは要介護者の身体に直接つけて使用するもので、浴槽に入る際に滑ったり水中に転落したりすることを予防する目的の介護用品です。

自動排泄処理装置

自動排泄処理装置とは、便あるいは尿が自動的に処理される装置です。ただし、この装置全体の購入費に介護保険が適用されるのではなく、交換可能な部品においてのみ適用となります。なお、自動排泄処理装置の本体は、購入ではなくレンタルの対象品です。要介護度にもよりますが、自動排泄処理装置は介護保険が適用されて1~3割の自己負担でレンタルすることができます。

簡易浴槽

簡易浴槽とは、その名の通り、折り畳み式で簡易に移動させることができる浴槽のことです。空気式で膨らまして使用するものもあります。簡易浴槽によっては、要介護者が居室内で入浴できるものもあり、移動に不便を感じる方も入浴することが可能です。

移動用リフトの吊り具

要介護者は移動する際にリフトを使用することがありますが、このうち、要介護者の身体に直接触れる吊り具は、特定福祉用具販売の対象となります。要介護者の身体に合うもので、なおかつ移動用リフトに装着可能なものが介護保険の対象です。

特定介護福祉用品の購入額の控除の方法

電卓

医療サービスや介護サービスを利用する場合には、通常は医療保険や介護保険が適用された後の金額を支払います。例えば10,000円の介護サービスを保険負担割合が3割の方が利用する場合には、支払額は3,000円のみです。しかし、介護保険で特定介護福祉用品の購入額の控除を受けるためには、まずは全額利用者が支払うことになります。その後、特定介護福祉用品を購入した事業所で受け取った「控除適用申請書」と「領収書」を持って、お住まいの市区町村役場の介護・福祉の窓口に提出しましょう。自治体によっては控除適用申請書と領収書以外にも、書類を求められることもあるので注意してください。書類が受理されると、介護負担割合に応じて負担割合に応じた金額を差し引いた金額が保険者(自治体)より払い戻しされます。例えば50,000円の腰掛便座を購入した場合には、一旦50,000円をお支払いください。その後、介護保険1割負担の方なら45,000円、2割負担の方なら40,000円、3割負担の方なら35,000円が払い戻されます。なお、特定介護福祉用品の購入に関しては、年度内に10万円が限度となるため、限度額を超えて購入する場合には全額自己負担になるという点にもご注意ください。

特定介護福祉用品の購入の流れ

介護

特定介護福祉用品を購入する流れを紹介します。

1. ケアマネジャーと必要な介護福祉用品について相談する
2. 介護福祉用品のサービス事業者と話し合い、購入する商品を選択する

まずはケアマネジャーと話し合い、在宅介護でどのような福祉用品が必要か決めていきます。そのうち、購入するほうが良いと考えられるものに関しては、ケアプランを作成して購入を検討していきましょう。次にケアマネジャーと一緒に介護福祉用品のサービス事業者に問い合わせて、実際に購入する商品を選択していきます。レンタルではなく購入品となると長く使用することになるため、できれば試して使用感を把握しておきましょう。購入する商品を選択したら、実際に購入する段階に進んでください。まずは全額を支払い、その後、介護保険の適用を受けて払い過ぎた分の償還を受けます。

まとめ

高齢者_読書

介護用品や福祉用具のなかでも、要介護者の身体に直接触れるものや、レンタルが好ましくないと考えられるものに関しては、介護保険の適用を受けて購入することが可能です。年間10万円という範囲内でなら1~3割の負担で購入することができるため、要介護者の生活を楽にするためにも、また、介護者の負担を軽減するためにも、どの商品が対象になり、それぞれの悩み事を解消できるかを知ることが大切です。特定介護福祉用品を購入する際は、介護保険が適用される場合でも、一旦は全額自己負担となります。後で償還されますが、ケアマネジャーとも話し合い、まずはどの程度の金額が必要なのかについても事前に確認しておきましょう。特定介護福祉用品の購入の上限額は年間10万円のため、翌年度になればさらに10万円の範囲内で購入することが可能です。しかし、特定介護福祉用品のなかには何度か買い換える必要が生じるものもあり、場合によっては毎年購入することになるかもしれません。可能な限り介護保険内で購入できるように、ケアマネジャーとケアプランを作成しておきましょう。

遠藤 和優
介護職員初任者研修、福祉用具専門相談員、住環境コーディネータ2級
福祉用具貸与事業所に勤務し、住み慣れたご自宅での在宅生活を安全・快適に過ごしていただけることをミッションとして福祉用具・住宅改修を通して携わる。
現在は、お客様のお悩みやご相談を受け、福祉用具だけではなく様々な介護保険サービスの説明やご案内を介護相談センター相談員として取り組んでいる。