2021.06.07

介護保険を利用して購入できる移動用リフトの吊り具の種類と特徴|快適介護用品・福祉用具

最終更新日:2021.06.08

特定福祉用具とは介護が必要な方のお困りごとを支援する用具の中で、利用する方の肌が直接触れる用具が対象となります。介護用品はレンタルすることができる商品もありますが、衛生面を考慮し肌が直接触れるポータブルトイレや入浴で使用するイスや手すり、特殊尿器の交換部品がそれにあたります。介護保険で控除されるのは介護サービス費用だけではありません。介護に必要な用品を購入する際に、介護保険が適用されることもあります。介護保険適用対象内で購入できる介護福祉用品には5つの種類がありますが、今回はそのうちのひとつ、移動用リフトの吊り具について見ていきましょう。

移動用リフトの吊り具はどんな状態のときに使うべきか

介護

ベッドから車いす、車いすからベッドへの移動が難しい場合、またトイレや浴室への移動に困難がある場合には、移動用リフトを使用することがあります。移動用リフトを導入すると、介護者の腰への負担が軽減され、介護しやすくなることもあるでしょう。移動用リフトには吊り具が必要です。吊り具は布などでできた平面上のもので、要介護者の体を包み、移動用リフトのひっかける部分に吊り下げて使用します。

移動用リフトの吊り具はどんな悩みを解決することができるのか

介護

移動用リフトの吊り具を使うことで、要介護者がベッドから車いすなどに移動する際の介護者の身体的負担を軽減します。また、介護者に負担をかけにくいため、要介護者も気兼ねなく移動したいときは依頼できるようになるでしょう。

移動用リフトの吊り具を利用するメリット

高齢者

移動用リフトの吊り具を使用することで、次の2つのメリットを得られるでしょう。

メリット①腰に負担をかけずに要介護者の移動をサポートできる

食事やトイレ、デイサービスに出かける際など、介護者は一日に何度も要介護者をベッドから車いすへと移動させます。1回、2回でも腰に負担を感じることがありますが、一日に何度もおこなうと腰や背中につらい痛みを抱えることにもなりかねません。また、介護者が健康状態を損なうことで、介護者・要介護者のQOL(生活の質)が著しく低下してしまうというリスクもあります。移動用リフトの吊り具を利用することで、介護者の腰に負担をかけずに要介護者の移動をサポートできるようになるでしょう。

メリット②トイレや入浴の介助がしやすくなる

移動用リフトの吊り具のなかには、要介護者が吊り具に座った状態でそのままトイレや入浴できるものもあります。トイレや入浴の際に要介護者の身体を支え続けることから解放されるため、要介護者がくつろいだ気分で排泄や入浴の時間を過ごしやすくなり、また、介護者も身体的負担が軽減されるというメリットを得られるでしょう。

移動用リフトの吊り具の種類と選び方

車イス

種類①ローバックタイプ

H字の下の二本が長いタイプはローバックタイプで、太ももを片方ずつ包み、腰をくるむようにして移動用リフトに吊り下げて使用する吊り具です。お尻の下は支えていないため、そのままトイレができるというメリットもあります。ローバックタイプでは背中までシートで支えるわけではないため、要介護者の状態によっては体勢が不安定になることがあるでしょう。しかし、背中が自由に動くため、締め付け感が少なく快適に感じる方も少なくありません。

種類②ハイバックタイプ

ローバックタイプと同じくH型の移動用リフトの吊り具です。太ももを片方ずつ包み、背中をくるむような状態で移動用リフトに吊り下げます。背中までしっかりとホールドするため、要介護者は体勢を保ちやすいというメリットもあるでしょう。また、ハイバックタイプもお尻の下は支えていないため、吊り具に包んだ体勢でそのままトイレや入浴が可能です。ただし、背中をしっかりと支えるため、要介護者によっては圧迫感を覚えることもあります。

種類③シートタイプ

大きな布で、お尻を中心に要介護者の身体全体を包むように支えるのがシートタイプの吊り具の特徴です。ベッドの上に寝転んだ状態で敷き込んで使用するため、要介護者が座っている姿勢のときは使いづらいことがあります。また、お尻全体を覆うため、吊り具を装着した状態ではトイレや入浴をすることはできません。シートタイプの吊り具を選ぶときは、大きさに注意しましょう。大きければしっかりと要介護者を覆うことができるので安定感は増しますが、視界が狭まり、圧迫感を覚えることになりかねません。反対に小さい場合は安定感が減少し、吊り具から落下したり、介護者が常に背中を支える必要が生じたりすることもあります。

種類④セパレートタイプ

紹介した3つの移動用リフトの吊り具はいずれも布状ですが、セパレートタイプは2本の紐から成るロープ状の吊り具です。ロープで要介護者の脇の下とお尻の下を支えて使用します。布状とは異なり安定感が著しく低いため、ある程度、腰で姿勢を維持できる方向けの吊り具と言えるでしょう。ただし、身体を覆っている部分が少ないため、入浴時には適しています。

移動用リフトの吊り具の費用

計算機

移動用リフトの本体を購入する場合は、介護保険は適用されません。しかし、レンタルする場合は介護保険の対象となるので、ケアマネジャーと相談してみましょう。屋外で使用するか、玄関などの段差のあるところも移動できるか、天井に取り付けるかによっても価格は異なりますが、本体価格は40万~100万円、レンタル料金は月12,000~30,000円のことが一般的です。介護保険が適用されると月1,200~3,000円で利用できます。一方、移動用リフトの吊り具は介護保険で購入することが可能です。メーカーにもよりますが各種類とも50,000~70,000円ほどなので、介護保険が1割負担の方なら5,000円~7,000円の自己負担額となります。

まとめ

介護

移動用リフトの吊り具があることで、転倒リスクを軽減して、ベッドから車いす、食卓用椅子、トイレ、浴室などに移動できるようになります。要介護者の行動範囲が広がるきっかけになるだけでなく、介助者も身体的負担を軽減することができるでしょう。快適な介護生活を送るためにも、ケアマネジャーと相談したうえで必要な介護福祉用品を選定し、移動用リフトの購入やレンタル、そして移動用リフトの吊り具の購入を検討してください。

遠藤 和優
介護職員初任者研修、福祉用具専門相談員、住環境コーディネータ2級
福祉用具貸与事業所に勤務し、住み慣れたご自宅での在宅生活を安全・快適に過ごしていただけることをミッションとして福祉用具・住宅改修を通して携わる。
現在は、お客様のお悩みやご相談を受け、福祉用具だけではなく様々な介護保険サービスの説明やご案内を介護相談センター相談員として取り組んでいる。