尿もれとは、自分の意思とは関係なく尿がもれることです。尿もれの主な症状には、お腹に力が入った際にもれる腹圧性をはじめ、急に強い尿意が起こりトイレに着く前にもれる切迫性、排尿の意思がないのに少量の尿が溜まっただけで膀胱が萎縮し急に強い尿意を感じる過活動膀胱、腹圧性と切迫性の両方を併せ持つ混合性などのタイプがあります。また尿もれが起こる原因には、職場や通勤など特定の環境に身を置く際に生じるメンタルや、膀胱や尿道、子宮など女性の骨盤内の臓器を支える筋肉の緩みがあります。実は尿もれに悩んでいる方はとても多く、恥ずかしいからと我慢をしている方がほとんどです。そこで今回は、尿もれが大変になってきた方におすすめの、尿もれ対策に効果的な福祉用具や介護用品をご紹介します。
目次
尿もれパッド
尿もれパッドとは、尿を吸収するためのもので、下着に貼ったり紙おむつの中に入れたりして使用します。尿もれパッドは、介護の必要がない方やトイレには間に合うという方に便利で、尿量や外出時間などに合わせさまざまなタイプがあります。
普段用
軽い尿もれが心配という方には普段用のパッドがおすすめです。おりもの用シートや生理用ナプキンにはない吸収力で、ニオイも防ぐことができます。また、くしゃみや運動などのふとした動作で尿もれしてしまうといった際にも安心です。
外出用
「長時間の外出でパッドを交換する時間がない」「普通用では漏れてしまいそうで心配」というときには、外出用の尿もれパッドを使用しましょう。吸収量が多く、下着への尿もれを防ぐことができます。ズレやヨレが心配な方には、着脱できる下着型もおすすめです。
男性用
男性と女性では、尿もれする場所が異なります。男性用の尿もれパッドは、前側が幅広い設計になっており、アウターに響かない薄型タイプが多く、スーツの下に着用しても違和感なく使用できます。テープ付きのパッドはズレを防いでくれるため、スポーツのときにも安心です。
紙パンツ専用
尿もれパッドには、紙パンツと併用するものもあります。汚れてもパットのみの交換で済むため、経済的負担を軽減できます。紙パンツ用の尿もれパットは、アウターに響かないよう薄くできており、吸収量が多く長時間に対応した夜用タイプもあります。
おむつ専用
おむつ専用の尿もれパッドは、寝て過ごすことが多い方や尿量が多い方におすすめです。男性用と女性用があり、紙パンツ用よりも吸収量が多いです。パッドのみの交換で済むため、介護者の負担を軽減できます。
失禁パンツ
失禁パンツとは、パンツ自体に20ml〜50ml程度の尿を吸収する機能を備えたものです。トイレに間に合わず失禁することが多くなった方に便利で、ひとりで立つことができるかや、座った状態が保てるかによって選べるタイプがありもます。
立ったまま交換できる失禁パンツ
介助があれば立った状態が保てたり、ひとりでパンツの着脱ができたりする方には、サイドが破けるタイプの失禁パンツがおすすめです。ウエスト部分がゴムになっており、下着のように自分で着脱できます。また、サイドを破いて包むことができるため、後処理が安易に行えます。
座った状態で交換する失禁パンツ
立ち上がりは難しいが、介助があれば座った状態が保てる方には、サイドがテープタイプのパンツがおすすめです。ズボンを全部脱がずに膝まで下ろすだけで簡単にパンツが交換できます。また、パッドと併用することで漏れの心配がなくなるとともに、テープは何度も貼ったり剥がせたりできるため、パッドのみの交換で済み、経済的負担を軽減できます。
超薄型紙パンツ
超薄型紙パンツとは、下着感覚ではけ、尿2回分(約300ml)を吸収する機能を備えているパンツです。初めての紙パンツを使用する方やひとりで歩ける方、介助付きで歩けるという方におすすめです。クッションのようなやわらかい素材で薄型のため、紙パンツをはいていることを忘れる程、軽いはき心地です。
医療費控除の対象となる「おむつ代」
紙おむつ代やパッド代は、医療費控除の対象となる場合もあります。毎日の介護に必要なものだからこそ、手続きについてしっかりと把握しておきましょう。
おむつ代が還元される「医療費控除」とは
1年間に支払った医療費が一定額をオーバーすると、所得税の一部が還付されます。医療費控除を利用するためには、確定申告による手続きが必要です。
対象者の目安は、1年間(1月1日〜12月31日)に支払った医療費の合計が10万円を超える場合、またはその年の総所得額が200万円未満の方は、その総所得金額の5%を超えた場合、医療費控除の対象となります。この医療費には、医師が必要と認めたおむつやパッドの購入費も含みます。
控除の申請には「おむつ使用証明書」が必要
医療費控除の申請には、医療費の明細書のほか、医師が発行するおむつ使用証明書が必要です。介護保険の要介護認定を受けている方は、2年目以降、主治医意見書の写しで代用できる場合もあります。おむつ使用証明書の発行は、ほとんどが有料のため、必要な場合は事前の確認が重要です。
尿もれパッドや紙オムツを選ぶポイント
尿もれパッドや失禁パンツ、超薄型紙パンツを選び際は、使用する方の身体状況や症状に合ったものを選ぶことがポイントです。
ひとりでトイレに行くことができる
トイレにはひとりで行けたり軽い尿もれが心配だったりする方には、パッドタイプがおすすめです。尿もれの頻度や量に応じたものを選びます。また、下着への漏れが心配な方には、パンツタイプがおすすめです。
トイレに間に合わないことがある
トイレにはひとりで行けるが、間に合わないことがある方には、紙パンツがおすすめです。介護が必要な方は、身体状況に合わせたタイプを選びます。座ったままの状態で交換できる紙パンツを選ぶことで介護者の負担を軽減することもできます。
ひとりで立つことは困難で尿量が多い
介護度が高い方には、おむつとパッドの併用がおすすめです。パットのみ交換で済むため、経済的負担を軽減できます。また、横になって過ごすことが多い方には、吸収力が高いパッドがおすすめです。さらに、肌トラブルを防止してくれる、肌に優しい素材のパッドも販売されています。
自分に合ったものを選ぼう
今回は、尿もれが大変になってきた方におすすめの、尿もれ対策に効果的な福祉用具や介護用品をご紹介しました。排泄は、人の自尊心に大きく関わります。尿もれの心配がないと、自分らしい日々を送ることにつながるとともに、介護者の負担軽減できます。使用する方の身体状況や症状に合わせた尿もれパッドや失禁パンツ、超薄型紙パンツなどの福祉用具や介護用品を上手に取り入れてみましょう。
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多くの介護事業所の管理者を歴任。小規模多機能・夜間対応型訪問介護などの立ち上げに携わり、特定施設やサ高住の施設長も務めた。社会保険労務士試験にも合格し、介護保険をはじめ社会保険全般に専門知識を有する。現在は、介護保険のコンプライアンス部門の責任者として、活躍中。