2021.06.07

買い物が大変な方におすすめな福祉用具・介護用品

最終更新日:2022.12.01
長谷川 大祐
介護福祉士、福祉用具専門相談員、住環境コーディネータ2級

加齢や疾病などで足腰が弱ると、歩行に不安を感じたり近くに外出するだけで疲れてしまったりすることがあります。特に買い物は、重い荷物を持って移動する必要が伴うため、高齢者にとって大きな負担になります。しかし外出することは、健康を維持し、認知症の予防にも効果的だと言われています。買い物などの外出の機会を失わないためには、安全に歩行できるとともに、荷物が多い買い物に便利な福祉用具や介護用品を取り入れることが重要です。そこで今回は、買い物が大変な方におすすめの、買い物を補助してくれる福祉用具や介護用品をご紹介します。

歩行器

歩行器

一般的に歩行器は、自分で歩くことが困難な方が使用する福祉用具を指しますが、買い物を補助してくれる福祉用具には、シルバーカーと呼ばれるものがあります。シルバーカーとは、自分で歩くことができる方の歩行を補助する福祉用具を指し、買い物の荷物を入れるカゴがついていたり、歩行に疲れた際に座って休憩できる椅子がついていたりなど便利な機能を備えています。シルバーカーには、使用する目的や機能によってさまざまなタイプがあります。

持ち上げ型

コンパクトなサイズで持ち上げ型のシルバーカーは、初めてシルバーカーを利用する方におすすめです。小型で軽量かつ収納スペースもあるため、バスや電車など公共交通機関で買い物に行く際にはとても便利です。また、座面がついているものもあり、疲れた際には腰を下ろして休憩することもできます。しかし、大型のものに比べ安定性に欠けるため、自立歩行できる方に向いています。

適度な収納力の中型

コンパクトな持ち上げ型では収納力が足りないという方には、適度な収納力を備えた中型のシルバーカーがおすすめです。収納力を確保しながらも大きすぎず持ち運びしやすいため、お買い物や散歩に便利です。また、シルバーカーの車輪が比較的大きいため、安定性にも優れています。

ボックス型

より車幅が広く安定性に優れているボックス型のシルバーカーは、収納スペースが広く、座面のもクッション性に優れています。また、ひじ掛けが付いているものもあり、立ち上がりする際には便利です。段差がある場所にも対応できますが、荷物を入れすぎると重たくなるため、力の弱い方が使用する際は注意が必要です。

ワゴン型

シルバーカーには抵抗がある方には、ワゴン型のシルバーカーがおすすめです。カゴの部分がワイヤー製のため、汚れても手入れしやすく、園芸や農作業の道具などを運ぶ際に便利です。座面がついているものもあり、座って休憩することもできます。

2WAY型

車いすとシルバーカーの二つの機能を兼ね備えた2WAY型のシルバーカーは、普段は自分で押すシルバーカーとして、疲れた際は座面に座り誰かに押してもらう車椅子として使用できます。安定性に優れているとともにひじ掛けや足置きも付いているため、車椅子としての購入も検討している方におすすめです。

ショッピングカート

ショッピングカート

ショッピングカートとは、キャリーケースのように横で押したり後ろで引いたりできる、買い物に便利なカートです。ショッピングカートに歩行補助の記載がないものは、歩行補助に適していないため、自立歩行が可能な方や買い物には行けるが荷物を持つのが大変な方に向いています。コンパクトで荷物を入れても持ち運びしやすく、デザイン性に優れているため、男性から女性、若年層までの幅広い方が抵抗感なく使用できます。

電動カート

電動カート

電動カートとは、三輪や四輪で動く一人乗り用の電動の乗り物です。手元にあるアクセルレバーやジョイスティックレバーを操作することでモーターが動き、前後左右に方向転換ができるようになっているため、長距離の歩行が難しい方でも、買い物や通院に便利です。また、道路交通法において歩行車扱いとなっているため、自動車のような運転免許が不要です。

電動カートを選ぶ際の三つの注意点

電動カートを選ぶ際は、使用する方の身体に合ったもので、周辺の環境やバッテリーの交換タイミングを確認することが重要です。電動カートに乗ると立位の姿勢よりも視覚範囲が狭くなり周囲の見通しが悪くなるので、無理なく首を回せて周囲の安全確認を行えるものを選びます。また、周囲に傾斜や段差がないかなど、電動カートが進入できる環境が整っているかを事前に確認します。さらに、バッテリーを搭載してモーターを動かし移動をサポートするため、バッテリーの交換と充電のタイミングに注意します。

買い物が大変な方におすすめの福祉用具や介護用品を選ぶポイント

高齢者

安心して買い物などの外出を楽しむためには、使用する方の身体状況に応じたものや、買い物の目的に応じた機能を備えたものを選ぶことがポイントです。歩行がある程度安定している方には、小回りの利くコンパクトな持ち上げ型がおすすめです。また、歩行の安定性を求める方には、車幅の広いボックス型がおすすめです。さらに、手軽に近所の買い物に出かけたい、男性でも違和感のないタイプがほしい方には、ファッション性の高いショッピングカートがおすすめです。さまざまなデザインが販売されているため、好みに合ったものを見つけることができます。その他、歩行が困難な方には、電動カートがおすすめです。充電式で動くカートにはハンドルが付き、病院やスーパーへの移動の際にも便利です。長距離の歩行が困難な方でも運転できるため、引きこもりの予防や介護負担の軽減にもつながります。

まとめ

高齢者_歩行器

今回は、買い物が大変な方におすすめの、買い物を補助してくれる福祉用具や介護用品をしました。高齢になり足腰に不安を感じると、外出することが億劫になります。特に、荷物が多い買い物は、杖歩行の方には負担となるため、歩行の安定と収納スペースを確保できる歩行器やショッピングカート、電動カートなどは、とても便利です。使用する方の身体状況に応じたものや、買い物の目的に応じた機能を備えた福祉用具や介護用品を上手に取り入れ、外出する機会や喜びを大切にしましょう。

長谷川 大祐
介護福祉士、福祉用具専門相談員、住環境コーディネータ2級

福祉用具貸与事業所に勤務し、住み慣れたご自宅での在宅生活で、お客様が安全・快適に過ごしていただけることをミッションとして福祉用具・住宅改修業務を通して携わる。また地域包括支援センターと連動して地域の老人会や自治会に向けて、住環境整備の大切さを啓発する勉強会を開催するなど、地域に根付いた活動に力を入れている。