2021.09.13

遠距離介護で悩んでいる方へ|事前の準備から利用したいサービスまで紹介

最終更新日:2021.09.13

遠距離介護とは、親や義父母の介護のため、頻繁に遠方まで通う介護のことです。少しでも介護の負担を軽減するために、どのような準備ができるのでしょうか。また、遠距離介護の際に利用すると便利なサービスや、心身ともに限界を感じたときに検討できることについても紹介します。

遠距離介護を始める前の準備

カウンセリング

仕事や家事、育児をしながら介護をするということは、決して楽なことではありません。ましてや遠距離介護となると、移動時間も増えるため、さらに時間的な制約も受けるようになります。遠距離介護をスムーズに実施するために準備したいことを紹介しますので、ぜひ事前に確認してください。

要介護認定の有無を確認する

遠距離介護を始める前に、介護対象者が要介護認定・要支援認定を受けているか確認しておきましょう。要介護・要支援認定を受けていると、1~3割の自己負担で介護サービスを利用できるようになります。家族の介護負担も大きく減らすことができるので、受けていない場合は申請を行いましょう。まずは介護対象者の自治体役場に要介護認定の申請を提出します。申請書は役場にあるので準備する必要はありません。その際は、介護保険の被保険者証を忘れずに持っていきましょう。後日自宅にケアマネジャーが訪問して介護が必要な状態か否かを調査し、かかりつけ医の意見も総合して、介護認定が可能か、要介護度・要支援度はどの程度かを決定します。

親の日常生活を把握する

離れて暮らしていると、実の親でもどのような生活を送っているのか分かりにくいものです。介護を始める前に、普段はどのようなパターンで生活を送っているのかを確認しておきましょう。病院に通う曜日や時間、食事の好み、入浴のタイミングなどが分かると、介護のスケジュールを組みやすくなります。

親の経済状況を把握する

介護を始める前には、介護対象者の経済状況も把握しておく必要があります。年金額が多ければ、介護サービスや民間サービスも利用しやすくなるでしょう。預貯金が多いときには、計画的に取り崩すことで介護にかかる費用を補填することができます。また万が一のときのためにも生命保険の詳細や、預貯金がどこにあるのかを確認しておく必要があります。民間の保険の中には保険金支払条件が「要介護・要支援認定を受けること」である商品もあるので、契約内容を確認し、受給できるものは受給申請を行いましょう。

親の人間関係を把握する

介護対象者の人間関係についても事前に把握しておくべきことがあります。例えば普段から行き来している友人や親戚がいる場合は、介護が必要になったことや、生活パターンが変わることなどを伝えておくほうが良いでしょう。さらに、かかりつけ医に相談することも必要です。どのような介護が必要か、どのような病状なのかを詳しく尋ねておきましょう。

遠距離介護が始まってからのポイント

看護師

介護生活は長期間続くことが基本です。円滑に進めていくために知っておきたいポイントをいくつか紹介します。

関係者とのコミュニケーションを図る

遠距離介護は、介護対象者の急変や急な呼び出しには応えにくいという特徴があります。万が一のときにも親や義父母に必要なサポートができるよう、介護対象者の友人やかかりつけ医、ケアマネジャーとは普段からこまめにコミュニケーションを取っておきましょう。

様々なサービスを利用する

介護生活が長く続くと、介護をするほうに金銭的な負担がかかるようになります。特に遠距離介護の場合は、交通費がかさむようになるので、何らかの工夫をする必要があるでしょう。飛行機を利用するならば、JALの「介護帰省割引」やANAの「介護割引」、スターフライヤーの「介護割引運賃」などの利用が可能です。いずれも事前に予約が必要ですが、運賃が割り引かれるだけでなく、予約変更にも対応していますので、急に何が起こるか分からない介護時には助かります。一方、鉄道は介護帰省専用の割引サービスはありませんが、JRの「ジパング倶楽部」や「エクスプレス予約」などの会員に登録しておくと、会員限定の割引サービスを受けることが可能です。

遠距離介護が限界だと感じたら

介護

親の心身の状態が悪化した、仕事との両立が難しい、などの理由から遠距離介護を続けていくことに限界を感じることもあるかもしれません。遠距離介護が難しく感じるときは、次の2点を検討してみてはいかがでしょうか。

施設への入居を考える

自分の生活と親や義父母の家での介護生活の両立が難しいときは、施設への入居も考えてみましょう。施設なら基本的に24時間体制で介護を受けられるので、急変したときにも安心です。高齢者が入居できるサービスは、病状や介護の状態、予算によっていくつか種類があります。ケアマネジャーと相談し、最適な施設を選びましょう。もちろん自分で施設紹介サイト等から最適な施設を探す方も多くいらっしゃいます。

介護休暇・介護休業を利用する

仕事と介護の両立が難しいときは、介護休暇や介護休業を取得することも考えてみましょう。介護対象者1人につき介護休暇は年間5日、介護休業は通算93日まで取得できますので、介護に専念することができます。なお、介護休暇取得時には会社で特別な決まりがない限り、給与は支給されません。しかし、介護休業の場合は、一定の条件を満たした上、雇用保険で介護休業給付を受給できるので、忘れずに申請するようにしましょう。

遠距離介護に関するブログを紹介

女性

遠距離介護に疲れたときは、同じく遠距離介護をしている方のブログを読んでみてはいかがでしょうか。悩んでいるのは自分だけではないということに、癒されるかもしれません。また、工夫できる点や利用するサービスなどの気付きを得られることもあります。

遠隔円満♥介護

一人娘が離れた母親の介護についてつづったブログです。常にポジティブでパワーをもらえます。写真が多いので、介護に役立つヒントも満載です。

マジ!いきなり認知症とか!【仕事と介護の両立法】

認知症の母親の遠距離介護について日記形式で書かれたブログです。新幹線で東京から実家に通っているので、同じ境遇の方ならさらに共感できるかもしれません。

母の認知症、ただ時が流れゆく

父親の入院、母の認知症、弟家族による両親のお金の使い込みなど、ヘビーな話が淡々とつづられています。介護を通して家族に起こり得る問題について、改めて考えることができるでしょう。

DonDonの遠隔介護記録

糖尿病の父の介護、母の介護、そして精神疾患を抱える弟という家庭環境の中、神奈川県に住み兵庫の実家まで遠距離介護に励んでいます。他の家族との揉め事なども克明に記録されており、リアルな介護を知ることができるブログです。

ほくほく線にのって…

両親が祖父母を介護する老老介護から遠距離介護、そして父の死により母を近くに呼び寄せての近距離介護のブログです。家族の変化によって介護のスタイルも変わっていくことを丁寧につづるブログです。フラットな視線がときにやさしく、ときに厳しく介護の現実を伝えています。

様々なサービスを活用しよう

スケジュール

介護の問題は誰にとっても他人事ではありません。また、実家から遠く離れて暮らしている方にとっては、遠距離介護も決して他人事とはいえないでしょう。介護が必要になったときは、まずは要介護・要支援認定を確認し、生活面や経済面も確認しておきます。交通費に利用できるサービスや介護休業なども検討し、少しでも経済的・身体的負担を軽減できるように準備しておきましょう。

増田 高茂
社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者
多くの介護事業所の管理者を歴任。小規模多機能・夜間対応型訪問介護などの立ち上げに携わり、特定施設やサ高住の施設長も務めた。社会保険労務士試験にも合格し、介護保険をはじめ社会保険全般に専門知識を有する。現在は、介護保険のコンプライアンス部門の責任者として、活躍中。