2021.11.17

遠距離介護|遠くで一人暮らしをしている親が心配!そのお悩み、遠距離介護なら解決できます!

最終更新日:2022.05.07
増田 高茂
社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者

実家から離れて暮らしている方は、親が元気に暮らしているか気になります。特に、親が1人で暮らしている場合や病気やケガをしたばかりのときは、食事や通院はどうしているのかと心配になるでしょう。そんなときには、「遠距離介護」を検討してみてはいかがでしょうか。遠距離介護とは何か、また、交通費などをお得にする方法などについてみていきましょう。

遠距離介護とは

家族

離れて暮らす親が自立した生活を送れるようにサポートすることを「遠距離介護」と呼びます。親が1人で暮らし、病気やケガをしたという話を聞くと、「こっちに来て一緒に暮らそう」と提案したくなることでしょう。しかし、親には親の生活や人間関係があり、それらをすべて断ち切って新しい土地で生活をさせてしまうのは、果たして本当に親にとって幸せな状態なのか分かりません。日常生活を無理なく行えているのであれば、遠距離から親の生活をサポートする遠距離介護を選ぶことができます。つまり、遠距離介護は、親にとっての幸せ、そして心配する子の気持ちの両方を尊重した介護ともいえるでしょう。

遠距離介護をしている人の現状・割合

新幹線の車内

遠距離介護は決して珍しい介護の方法ではありません。令和元年国民生活基礎調査によれば、主な介護者を別居する家族だと答えた方は13.6%でした。つまり、介護を必要としている人の8人に1人は遠距離介護を受けていると考えられます。なお、もっとも多いのが同居している配偶者で23.8%、次に多いのは同居している子で20.7%でした。別居している家族が介護をするのは3番目に多く、事業者(12.1%)よりも多く、よくある介護の手段であることが分かります。

参考:厚生労働省「令和元年国民生活基礎調査」

遠距離介護の時に使えるサービスプラン

飛行機から見た景色

さまざまな外部サービスを利用すると、遠距離介護をしやすくなります。介護に行けないときに利用できるサービスや日常生活のサポート、また介護に通う際には交通費割引サービスなども利用できるでしょう。

 見守りサービス

自治体ごとに高齢者世帯を見守るサービスを実施していることがあります。まずは親が暮らしている地域で高齢者向けにどのようなサービスを提供しているのか確認してください。民間の見守りサービスもあります。親の生活動線にセンサーを配置し、動きが見られないときは通知をしてくれたり、緊急時にスタッフが駆けつけたりするサービスなども利用できるでしょう。また、月に一度、家を訪問して安否を確認し、話を聞いて、必要に応じて自治体や家族に連絡するサービスもあります。いずれも月額数千円で利用できるので、介護に行けないときの親の様子が気になる方にもおすすめです。

交通費割引サービス

できれば毎週介護をしたいと思っても、遠距離の場合は交通費が大きな負担になることもあるでしょう。航空各社では介護帰省割引制度を実施し、親や祖父母の介護のための航空機の利用に関しては料金が割引になることがあります。また、鉄道でも早めの予約で料金が割引になるサービスを実施しているので、帰省する日を決めたら早めに予約をすることができるでしょう。

ゴミ出しなどの日常生活サポート

自治体によっては要介護状態の方がいる世帯に関して、ゴミ出しを手伝うサービスを提供しています。親が快適に暮らしているのか気になるときは、一度、自治体にゴミ出しサービスについても尋ねてください。自治体によっては、要介護の状態でなくても、ゴミを出す際に親族や近隣の人々の協力を得られないときはサポートを実施することもあります。

遠距離介護のメリット・デメリット

メリットデメリット

遠距離介護には、良い点もあればあまり好ましくない点もあります。例えば親と離れて暮らすことで、お互いが自分の生活のペースを保てるという点はメリットといえるでしょう。時折会うだけなら優しく接することができても、毎日となるとどんなに大切な人であってもストレスに感じることはあります。ちょっとした習慣が気になってイライラしたり、強い言葉をぶつけてしまったりすることがあるかもしれません。

遠距離介護ならばストレスが溜まるほどには一緒に過ごさないため、それぞれが自分のペースで快適に暮らせます。また、身体的にもゆとりが出るという点もメリットです。同居や近くに暮らしている場合は、ほぼ毎日介護と向き合うことになり、自分の生活や仕事、介護のすべてを両立させるのは難しいと感じるかもしれません。引っ越さずに済むのもメリットといえます。親と一緒に生活をするために引っ越すためには、今の仕事を辞めなくてはならない可能性もあるでしょう。思うような仕事がなく、労働量が増えたり給料が減ったりするケースもあります。子どもの学校が変わることも、子どもにとっては大きなストレスです。遠距離介護であれば転校する必要はないので、新しい環境に馴染めず苦労をすることも避けられます。

しかし、いつでも一緒にいられないという点は遠距離介護のデメリットといえるでしょう。親に万が一のことが起こったときにすぐに対応することができません。そのため、症状が悪化したり、常時介護が必要な状態になったりすることもあるかもしれません。また、実家に通う回数が増えれば、交通費がかさみ、家計を圧迫することもあります。無理のない範囲で帰省することも、遠距離介護を続けるコツといえるでしょう。

遠距離介護の注意点

注意点

兄弟がいる場合は、介護をどのような配分で行うか、しっかりと話し合っておきましょう。近いから、長子だからなどのという理由で一方的に介護を任されていると、負担に感じ、兄弟仲に影響を及ぼしかねません。また、何かがあったときのために、近隣の人に声をかけておくことも大切です。親の介護だからと家族だけで背負うのではなく、地域や知り合い、民間サービスなどを包括的に利用するように心がけましょう。

遠距離介護について

話し合い

遠距離介護を選ぶことで、同居によって引き起こされる問題を回避できることもあります。また、親世帯、子世帯がそれぞれのペースを守りながら生活できる点も遠距離介護の特徴です。とはいえ、介護の形は1人ひとり異なります。親や兄弟とも話し合い、どのような形がベストなのか探っていきましょう。

増田 高茂
社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者

多くの介護事業所の管理者を歴任。小規模多機能・夜間対応型訪問介護などの立ち上げに携わり、特定施設やサ高住の施設長も務めた。社会保険労務士試験にも合格し、介護保険をはじめ社会保険全般に専門知識を有する。現在は、介護保険のコンプライアンス部門の責任者として、活躍中。