2021.06.09

健康寿命を延ばす|自分の状態チェックと今からできる予防方法

最終更新日:2021.06.09

健康寿命とは?

健康寿命

健康寿命とは、心身的な自立と健康を保てる寿命のことです。「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」と定義されています。2000年WHO(世界保健機構)が健康寿命を提唱してから、注目を浴びるようになりました。WHOが提唱したのは、寿命を延ばすだけでなく、心身共に健康でいられる期間を延長する内容です。つまり健康寿命とは、病気の影響を受けず、健康的に生活できる期間のことをいいます。寿命が延びたとしても、寝たきりや障害などで生活に支障があれば、心身共に健康とはいえません。健康寿命とは、その人らしい生活を送ることができ、身体と心が健康でいられる期間です。また、自立した生活を送り、自分の生活に自信を持てることも大切でしょう。

健康寿命を延ばすことはなぜ重要?

健康寿命

では、なぜ健康寿命を延ばすことが重要なのでしょうか。現代社会の現状を見てみると、健康寿命を延ばすことは達成できていない問題があります。要介護状態にならないためにも、健康寿命を延ばす対策が重要です。

平均寿命と健康寿命の差が広がってきている

日本における平均寿命は、厚生労働省の平成28年簡易生命表によると、平成22年度で男性79.55歳、女性86.30歳だとされています。一方で、平成28年度は男性が80.98歳、女性が87.14歳でした。また、健康寿命の年齢は、同じく厚生労働省の発表によると、平成22年度で男性70.42歳、女性73.62歳でした。平成28年度では、男性72.14歳、女性74.79歳と伸びています。では、平均寿命と健康寿命の差はどのように変化しているのでしょうか。平成22年度の平均寿命と健康寿命の差は、男性9.13歳、女性12.68歳です。一方で、平成28年度の差は、男性8.84歳、女性12.35歳でした。平成22年度と平成28度を比べると差は小さくなりましたが、平均寿命が延びている背景を考えると、今後は平均寿命と健康寿命の差が開くと予測できます。

自立した生活ができない=要介護状態

健康寿命を延ばす目的は、要介護状態にならないためです。高齢者が要介護になれば、本人の生活の質が低下するのはもちろん、介護している家族にも影響を及ぼしかねません。例えば高齢者本人の影響として、外出や買い物の不安が出てくるでしょう。今までは自由に一人で外出できていた方が、家族やヘルパーさんなどに介助を頼まなければなりません。また自分の体が思い通りにならず、外出回数が減ってしまう恐れがあります。家の中でも、着替えやトイレの問題が出てくる恐れがあるでしょう。自分の身の回りのことができなくなると、健康を保つための体のケアが十分ではなくなります。家族やヘルパーさんに頼むことはできますが、慣れないケアに戸惑う方は少なくありません。介護をする家族の影響としては、離職リスクがあります。仕事を続けられなくなり、収入が減ってしまうのに対し、介護費用の負担が増してしまう恐れがあるでしょう。だからこそ、高齢者本人にも家族のためにも、健康寿命を延ばすことが重要です。

ロコモティブシンドロームとは?

ロコモティブシンドロームとは、移動するための能力低下した状態のことです。略して「ロコモ」とも呼ばれています。ロコモティブシンドロームの言葉は、「ロコモーション」の移動という言語と、「ロコモディブ」の移動する能力の言語を組み合わせたものです。「シンドローム」は症候群という意味で、移動するための能力低下や衰えの幅広い意味があります。能力低下や衰えの対象部位は、骨・筋肉・関節・神経などです。運動機能を保つためには、幅広い部位が関連しています。ロコモの予防が重要なのは、運動機能の問題で要介護になることが多いためです。高齢になると転倒で骨折するリスクや、知らないうちに関節や神経の問題を抱える恐れがあります。

サルコペニアとは?

サルコペニアとは、筋肉量が低下している状態のことです。ギリシャ語で「サルコ」は筋肉の意味で、「ぺニア」は喪失を表しています。筋肉は、たんぱく質の合成と分解が常に行われています。食事からたんぱく質が不足した場合や、何らかの原因で合成より分解が上回ると、筋肉量が減少してしまうため注意が必要です。加齢により筋肉量の減少が起こりやすくなり、さまざまな病気でも影響を受けています。栄養の吸収量低下でも、たんぱく質が不足してしやすいでしょう。筋肉量が低下すると、握力や脚力など全身の筋力が低下していきます。歩くスピードが遅くなり、転倒するリスクもあります。さらに筋肉量が低下すると、自分の体を支えられず、要介護となる恐れがあるでしょう。

自分の状態をチェック

チェックリスト

要介護状態を避けたいなら、自分の状態をチェックしてみましょう。本人が気づかないうちにロコモやサルコペニアが進んでいる場合もあるため、家族がチェックすることも重要です。早めにわかれば、予防もしやすいでしょう。要介護状態が進んでからより、早めの対策がおすすめです。チェック方法は、自分で確認する方法と、病院で調べてもらう方法があります。まずは、手軽にチェックできる方法から活用してみてください。

ロコチェック

日本整形外科学会ロコモティブシンドローム予防啓発公式サイトでは、ロコチェックが掲載されています。7つの項目をチェックするだけで、自分がロコモなのか手軽にチェックできます。

具体的に掲載されているチェック項目は、次の7つです。
1・片脚立ちで靴下がはけない
2・家の中でつまずいたりすべったりする
3・階段を上がるのに手すりが必要である
4・家のやや重い仕事が困難である
5・2kg程度の買い物をして持ち帰るのが困難である
6・15分くらい続けて歩くことができない
7・横断歩道を青信号で渡りきれない

7つのチェック項目は、1つでも当てはまる場合はロコモの恐れがあります。運動機能が低下している恐れがあるため、予防法を試してみましょう。

今からできる予防 介護予防運動

健康寿命

要介護を避けたいなら、介護予防運動を取り入れてみてください。健康寿命を延ばすには、筋肉量を増やすことが重要だからです。介護予防運動は、高齢者でも無理のない運動を選びましょう。いきなり強度の高い運動をすると、関節や筋肉などを傷めてしまう恐れがあります。高齢者向けに開発された運動なら、身体に負担をかける心配が少ないでしょう。介護予防運動は、椅子や机など器具を使ったやり方です。筋肉量が低下しているとバランスを崩しやすいため、補助器具を使って身体をサポートしましょう。

介護予防の目的

介護予防の目的は、QOL・ADLの向上・維持のためです。QOLは、「クオリティ・オブ・ライフ」のことです。一人ひとりに合わせた生活の質を上げることを目的としています。何に生きがいを感じるかは人によって異なるでしょう。例えば、社会奉仕や趣味・運動などを通して幸福感を得られる人もいます。介護予防で心身ともに健康維持に努めれば、その人らしい楽しい生活を送ることができます。ADLは、「日常生活動作」のことです。介護予防を通して、日々の生活で基本となる動作を高め維持していきましょう。ADLが高い高齢者は、自立度が高い傾向があります。基本の動作とは、着替え・移動・トイレなど日常生活に関する動作のことです。家族と同居する高齢者でも、ADLが高ければ自分の身の回りの対応ができます。

東海林 さおり
看護師
看護師資格修得後、病棟勤務・透析クリニック・精神科で『患者さん一人ひとりに寄り添う看護』の実践を心掛けてきた。また看護師長の経験を活かし現在はナーススーパーバイザーとして看護師からの相談や調整などの看護管理に取り組んでいる。