2021.06.11

関節が固くなり痛みを感じる方へ|介護予防運動② 柔軟体操

最終更新日:2021.06.14

柔軟体操による効果

ヨガをする女性

加齢に伴い関節が固くなると、可動域が狭くなります。関節の動きが悪いと、無理に動かそうとして筋肉や筋に負担をかけてしまい、体を動かす際に痛みを感じやすいでしょう。痛みを感じやすい方は、柔軟体操で関節を柔らかくすることが大切です。また、関節が固く体を動かしにくいと、動かすのが大変に感じて、体を動かさなくなります。すると、ますます関節が固くなり悪循環に陥ってしまうでしょう。関節の柔軟性が高まれば、日常生活で体を動かしやすくなります。体を動かすことは、骨や筋肉の強化にもつながります。骨や筋肉が健康でいられるための対策は、骨折リスクが低く、筋肉量低下による寝たきり予防にもおすすめです。また、関節の柔軟性が高まると、血流アップしやすくなります。血液が全身に届けられると、心臓や血管への負担が少なく、病気の予防にもおすすめです。

介護予防運動の具体例(柔軟体操)

柔軟体操をする女性

介護予防のための柔軟体操は、横になった状態や座ったままできるものがあります。体に負担が少ない姿勢の柔軟体操なら、体力に自信がない高齢者でも取り組みやすいでしょう。仰向けで出来る柔軟体操は、寝たきりの高齢者でもできます。座った状態の柔軟体操は、椅子に座れる人におすすめです。どちらも、自分でストレッチすることで、筋肉トレーニングにもなります。これらのストレッチは家族がサポートしながら取り組むこともできます。体の状態に合わせて、仰向けや座った状態の柔軟体操を取り入れてみてください。

柔軟体操(仰向けの状態で出来る)

仰向けの状態で出来る柔軟体操は、体への負担を軽くできます。朝起きたときにストレッチしたい場合や、寝たきりの高齢者にも対応できるでしょう。寝る前に横になりながら、リラックスした状態で柔軟体操もできます。家族がサポートする場合は、関節を軽く動かすようにしてください。本人が動かす場合も、反動をつけず痛みがない範囲で無理なく動かしましょう。ストレッチの際には、呼吸を止めないようにします。仰向けになった状態で出来るストレッチとして、3種類のやり方を紹介します。

股関節のストレッチ

膝裏を床に付けたまま、膝を軽く曲げましょう。そのままの姿勢で、膝を左右に倒していきます。膝を倒したら、痛みがない範囲で20秒~30秒くらいキープさせます。片方をストレッチしたら、もう片方に膝を倒していきましょう。左右それぞれ2~3回ストレッチします。体が硬い人は、膝を横に倒すのが難しく感じられます。家族がサポートするときは、痛みがないか確認しながら膝を倒すようにしてください。一度や二度で柔軟性が高まりませんが、繰り返していくと少しずつ膝が倒れるようになります。膝を左右に倒し終わったら、膝を左右に開いて、股関節の稼働を高めていきます。このときに、足の裏をくっつけるようにして、膝が自然と開くところで止めてください。同じく、20秒~30秒くらいキープさせましょう。

手の上げ下ろし

寝た状態で手を上げ下ろしすると、肩・肩甲骨の柔軟性を高めることができます。仰向けに寝た状態から、手をゆっくりと上にあげていきます。手を上げるときに、肩甲骨の動きを意識してください。上まであげたら、手をゆっくりと下におろしていきましょう。次は、手をあげたときに体を横に倒す動きをつけていきます。「測屈」とも呼ばれる動きで、ヨガでも用いられているストレッチです。体全体のストレッチができて、リラックスした状態に導いていきます。仰向けになった状態から、両手を横から真上にあげましょう。親指を組んで、体全体の伸びを感じてください。上半身を引き上げるようにすると、上半身のストレッチになります。親指を組んだ状態で、上半身をゆっくりと左右に倒しましょう。

首周りのストレッチ

首周りの関節も動かさないと固くなってくるため、寝たままストレッチをしましょう。仰向けに寝た状態で、ゆっくりと呼吸しながら首を動かしていきます。首をゆっくりと左右に傾けていきましょう。前後にも首を動かして、首周りの伸びを感じてください。最後に、首をゆっくりと回していきます。寝たままの状態で回すときは、首の前側だけを回すように意識します。無理に首を後ろ側に回す必要はありません。首や肩こりを感じているときは、タオルを使って首を上に引っ張ります。頭の付け根部分にタオルを当てて、両腕でタオルの左右を持ち、上に引き上げてください。引っ張るときは、強く力を入れないでください。ゆっくりと上に引き上げるようにして、痛みがない程度に留めましょう。

柔軟体操(座っても立っても出来る)

座った状態での柔軟体操は、体力に自信がない高齢者でも取り組めます。できるだけ本人が動かしながらストレッチをしていきましょう。体を動かすことで、筋肉強化にもなります。座った状態の柔軟体操も、痛みがない程度に行ってください。無理なく行いながら、できるだけ毎日続けていきましょう。座りながらのストレッチは、体重を利用して無理なく体を伸ばすことができます。寝た状態では伸ばしにくい部分にも対応できるでしょう。

膝裏のストレッチ

膝裏は、負担の生活で伸ばすことが少ない部位です。固くなってしまうと、下半身の血流が悪くなり、足のむくみを感じやすいでしょう。柔軟性が高まると、歩くための足の動きがしやすくなります。まず椅子に軽く腰かけてください。膝裏を伸ばすほうの足を前に出します。つま先を上に向けるようにしながら、膝裏を伸ばしていきましょう。膝裏を伸ばすときは、胸を張るようにします。できるだけ膝が曲がらないようにして、痛気持ちいいくらいの力で伸ばします。片方の膝裏を伸ばしたら、足を変えて反対側の足の膝裏も伸ばしてください。膝裏が伸びると、猫背の解消にも役立ちます。高齢になると腰が曲がって猫背になりやすいため、膝裏を伸ばして予防しましょう。

上体倒し

上体倒しは、腰回りの関節が固くなるのを予防できます。座ったまま上半身を倒し、お辞儀をするような姿勢のため、高齢者でも無理なく行えます。姿勢を整えた状態で、椅子に腰かけます。背筋を伸ばすようにして、両足は揃えて座ります。上半身を前にゆっくり倒していきましょう。腰の後ろ部分が伸びているのを感じてください。無理がない位置で止めて、同じ姿勢を10秒くらいキープさせます。このときに呼吸を止めないように注意して、体を脱力させるようにしてください。再び椅子に座っている状態に姿勢を戻します。無理のない範囲で、5~10回くらい同じ動きを繰り返しましょう。上半身倒しは、腰回りや上半身の血流アップにもおすすめです。椅子に座ったままなら、足腰の筋力が低下している人でも行えます。

膝の抱え込み

加齢に伴い股関節の柔軟性が低下しやすくなります。片足を胸に引き寄せる動きで、柔軟性を高めていきましょう。足や腰回りの筋肉強化にもおすすめのストレッチです。姿勢を正した状態で、椅子に腰かけます。両手を使って、片側のすね部分を抱え込みましょう。足が上がるようなら椅子にかかとを乗せると、よりストレッチ効果が高まります。椅子を使うと、腕の力で足を引き上げなくて済みます。足を上にあげた状態で、10秒くらいキープさせましょう。呼吸を止めないようにしながら、お尻の筋肉や股関節の稼働を感じてください。片足のストレッチを5~10回くらいやったら、もう片方の足も同じようにストレッチします。ストレッチしやすいよう、椅子の高さを調節してください。

柔軟体操で血流アップを目指そう

関節は動かさないとますます固くなり、可動域が狭くなってしまいます。可動域が狭いと、筋肉や筋にも負担をかけやすいので注意が必要です。家庭で柔軟体操を取り入れながら、体の痛みを軽減させるようにしてください。柔軟体操は、毎日続けて少しずつ効果がみられてきます。いきなり激しい動きをするのではなく、気持ちがいいところで止めるようにしましょう。関節の柔軟性がアップすれば、血流アップにより病気予防にもなります。ぜひ、家庭でも柔軟体操を取り入れて、介護予防をしましょう。

小池 涼太
理学療法士
"理学療法士として維持期リハビリとして高齢者が住み慣れた地域でいつまでも生活できるようリハビリを提供してきた。
現在では高齢者の地域での生活を支えるだけでなく、生きがいを持った生活が送れるよう、QOLの向上を目指し、心を豊かにするリハビリを提供できるよう活動している。"