2021.08.20

民間介護保険と公的介護保険の違い、加入が向いている方について説明

最終更新日:2021.08.20

満40歳以上のすべての国民は、公的介護保険の加入が義務付けられています。一方、民間介護保険は民間の保険会社が運営する保険商品で、加入は任意です。それぞれの保険にはどのような違いがあるのか、また民間介護保険の加入が向いているのはどのような方なのか見ていきましょう。民間介護保険のメリットやデメリットについても紹介するので、ぜひ加入の際の参考にしてください。

民間介護保険とは?

会議

まずは民間介護保険とは、どんな介護保険なのかを紹介しましょう。公的介護保険との違いから、給付方法や加入方法、保険料の支払いなど具体的な内容についてを解説します。

公的介護保険との違い

公的介護保険は、満40歳以上のすべての国民が加入する義務がありますが、民間介護保険は加入したい人が任意で加入する保険のため、年齢にかかわらず加入していない方も少なくありません。その他にも、以下のような違いがあります。

給付方法・給付額

公的介護保険では、介護サービスなどを利用したときに利用料や購入費の一部が支給されます。例えば10,000円の介護サービスを利用する際、介護保険の負担割合が1割の場合は保険で9,000円が支給されるため、自己負担額は1,000円です。介護保険の負担割合は収入などによって1割・2割・3割の3つの種類があり、上限はありますが、介護サービスや介護福祉用品などを実際の1~3割の負担で利用・購入することができます。一方、民間介護保険では、保険商品によって違いはあるものの、「要介護認定を受けたら保険金が給付される」と定められていることが一般的です。保険金は一時金としてまとめて受給できるものもあれば、年金として月々受給できるものもあります。保険金の金額は契約時に決められるので、高額を希望する場合は毎月の保険料も高額になるでしょう。

給付の対象者

公的介護保険は、満65歳以上(第1号被保険者)で要介護認定や要支援認定を受けた方なら誰でも利用できます。また、満40歳以上65歳未満の方(第2号被保険者)は、16種類の特定疾病を理由に要介護状態・要支援状態になった場合のみ、介護保険の適用が可能です。一方、民間介護保険は、契約時に定められた保険金請求事項に該当すれば、年齢に関係なく保険金が給付されます。0歳や20歳などの若いうちから加入できるタイプの介護保険商品もあるので、病気やケガなどで介護が必要になったときに備えておきたい方は、早めに加入を検討することができるでしょう。

加入方法

公的介護保険は満40歳以上は強制加入となるため、特に手続きをしなくても満40歳になった月から加入している医療保険を通して介護保険の加入手続きが行われます。一方、民間介護保険は各保険会社と契約を結ぶので、保険会社が定める方法で手続きを行わなくてはいけません。必要事項を記入して契約書を作成し、必要に応じて捺印します。

保険料の支払い

公的介護保険では、満40歳になった月から医療保険料と合算して介護保険料も請求されます。会社員の方などは給料から天引きされるので、特に手続きは必要ありません。一方、民間介護保険は口座振替によって保険料を支払うことが一般的です。登録した口座から毎月(半年払い、年払いなどを選択できる保険商品もある)保険料が引き落とされるでしょう。また、いつまで支払うかに関しても公的介護保険と民間介護保険では異なります。公的介護保険は生涯にわたって保険料を支払い続けますが、民間介護保険では保険金受給の条件を満たすと以後の保険料の支払いは不要です。

民間介護保険に加入するメリット・デメリット

メリットとデメリット

公的介護保険に加入することで、上限額はありますが介護サービスを1~3割の自己負担で利用できるようになります。しかし、必ずしもそれだけでは十分とは言えません。公的介護保険は基本的には満65歳以上で要介護・要支援になった方を対象としているため、年齢やサービスを必要とする原因によっては加入していても保険が適用されない可能性があるのです。民間介護保険に加入するならば、公的介護保険が適用されないときでも保険金を受給できることがあります。若くして介護が必要になった場合に備えて、民間介護保険に加入しておくこともできるでしょう。また、介護サービスを利用するかどうかにかかわらず保険金受給条件を満たすことで現金を受給できることも、民間介護保険のメリットです。年金タイプならば毎月あるいは隔月・毎年保険金を受給でき、一時金タイプならまとまった保険金を手にできます。しかし、保険金を受給するには条件が定められているため、要介護状態になっても受給できない恐れがあるという点はデメリットです。また、毎月保険料を支払うため、家計の負担が増える点もデメリットと言えるでしょう。

加入のタイミングは?

家族

公的介護保険は満40歳に加入することが義務付けられていますが、民間介護保険は好きなときに加入できます。若くして加入したい方は保険商品の加入可能な年齢を確認し、自分に合う保険を選びましょう。ただし、加入するタイミングによって保険料が大きく変わるので注意が必要です。50代、60代になると介護の必要性を感じるようになりますが、保険料も加入時の年齢が高くなればなるほど高額になるため、月々の保険料負担は大きくなります。毎月の負担を軽減したいならば若いうちから民間介護保険に加入しておくことがよいでしょう。しかし、保険金を受給できる条件を満たさないときは何十年もの間、保険料を支払うことになるため、トータルで見ると支出が高額になることがあります。

民間介護保険はこんな方におすすめ

介護施設

40歳未満で介護が必要になったときに備えたい方、あるいは65歳未満で特定疾病以外で介護が必要になったときに備えたい方は、民間の介護保険に加入しておきましょう。また、老後資金に不安があり、介護保険が適用されても1~3割の自己負担額を支払うことが難しそうな場合も、民間介護保険で備えることができます。年金タイプの介護保険ならば保険金を毎月の生活費としても利用できるため、公的年金や預貯金では不足する分を補えるでしょう。その他にも、介護が必要となったときには施設へ入所したいと考える方も、民間介護保険を検討することができます。一時金として数百万円以上を受給できるタイプもあるので、入所時の費用として利用することができるでしょう。

違いについて知っておこう

印鑑

民間介護保険に加入することで、公的介護保険では保証できない部分をカバーすることが可能になります。しかし、あまりにも早めに加入すると保険料が負担となるため、各自加入タイミングを吟味する必要があるでしょう。保険商品によって保険料支給の条件が異なるため、必要とするときに受給できるのかの確認も必要です。加入者にあった保険商品を、一番良いタイミングで入れるように参考にしてください。

増田 高茂
社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者
多くの介護事業所の管理者を歴任。小規模多機能・夜間対応型訪問介護などの立ち上げに携わり、特定施設やサ高住の施設長も務めた。社会保険労務士試験にも合格し、介護保険をはじめ社会保険全般に専門知識を有する。現在は、介護保険のコンプライアンス部門の責任者として、活躍中。