2021.08.03

65歳未満でも介護保険の対象となる特定疾病について解説

最終更新日:2021.08.03

公的介護保険は、通常は満65歳以上で要介護あるいは要支援の認定を受けた場合のみ適用されます。しかし、特定疾病を原因として介護が必要な状態になっている場合は別です。65歳未満であっても保険を利用できることがあります。特定疾病とはどのような病気なのか、またどのようなときに保険適用となるのか詳しく見ていきましょう。

介護保険における特定疾病とは?

医師の診断

40歳以上はすべて介護保険の被保険者ですが、65歳を境に保険適用の条件が異なるため、満65歳以上を「第1号被保険者」、満40歳以上65歳未満を「第2号被保険者」と区分けすることが一般的です。第1号被保険者は要介護認定あるいは要支援認定を受けると、介護サービスを利用するときや特定の介護福祉用品を購入するときなどに介護保険が適用されます。一方、第2号被保険者は加齢と関係のある16種類の「特定疾病」により要介護状態になった場合のみ、介護サービス利用時の介護保険が適用されます。また、実際に保険適用となるためには、特定疾病に罹患するだけでなく、所定の状態あるいは症状が医師等の専門家によって認めらることが必要です。16の特定疾病と保険適用となるための条件について詳しく見ていきましょう。

16種類の特定疾病

満40歳以上65歳未満の方も、加齢と何らかの関係がある疾病を原因とする場合は介護保険が適用されます。これらの疾病は特定疾病と呼ばれますが、症状によっては保険適用外になることもあるので注意が必要です。

がん

がんは特定疾病のひとつです。ただし、がんに罹患しただけでは介護保険は適用されません。末期がんで、医師により回復の見込みがないと判断されたときのみ、介護保険適用の対象になります。

関節リウマチ

関節リウマチも特定疾患のひとつです。こわばった状態が1時間以上続く場合や、関節腫脹や関節液貯留が見られる場合など、介護が必要だと判断されるときは、65歳未満であっても介護サービス利用時に介護保険が適用されます。

筋萎縮性側索硬化症(ALS)

身体の機能が徐々に降下していく筋萎縮性側索硬化症(ALS)も特定疾患のひとつです。成人後に発症した場合や進行性であることなどが認められた場合には、介護保険が適用されます。

後縦靭帯骨化症

後縦靭帯骨化症は、脊椎を連携させる靭帯である「後縦靭帯」が骨化する疾病です。四肢にしびれが生じたり、知覚障害が生じたりする場合には、介護保険が適用されることがあります。

骨折を伴う骨粗しょう症

骨内に細かな穴が大量に生じ、骨折しやすくなる疾病です。腰椎骨の骨密度などの測定結果によっては、特定疾患と認定され、介護保険適用対象となります。

初老期における認知症

若年性認知症とは、65歳未満で発症する認知症のことです。若年性認知症を発症し、なおかつ言語障害や失認(感覚器に異常があるわけではないのに認知機能に問題が見られること)などが見られる場合は、特定疾病となります。

進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病(パーキンソン病関連疾患)

脳内の神経細胞が減少することでパーキンソン病関連疾患が発症することがあります。進行性で、認知機能障害や歩行障害などが見られる場合は、特定疾病となることがあるでしょう。

脊髄小脳変性症(SCD)

脊髄小脳変性症(SCD)は、身体が自由に動かしづらくなることがある疾病です。運動機能における障害以外にも、神経系の障害などが見られるときは特定疾病と指定されることがあります。

脊柱管狭窄症

脊柱内の菅にはさまざまな神経が通っていますが、この菅が狭まることで神経が圧迫されて身体的に不自由になることがあります。画像等で脊柱管が狭まっていることが確認された場合は、保険適用となることもあるでしょう。

早老症

ウェルナー症候群などのいくつかの疾病に罹患すると、実際よりも早く老化が訪れます。介護サービスが必要な場合は介護保険が適用されることがあるでしょう。

多系統萎縮症(MSA)

多系統萎縮症(MSA)は原因不明の脊髄小脳変性症のひとつです。罹患するとふらつきや筋肉のこわばり、手先の動きが鈍くなるなどの症状が見られると、保険適用となることがあります。

糖尿病神経障害、糖尿病腎症、糖尿病性網膜症

糖尿病は特定疾病ではありません。しかし、糖尿病により神経障害や腎症、網膜症が起こった場合は特定疾病として指定されることがあります。

脳血管疾患

脳梗塞や脳出血などの脳血管疾患が起こり、後遺症が見られる場合には特定疾病となることがあります。ただし、特定疾病は老化によって引き起こされる疾病のため、事故などが原因の場合は特定疾病とは判断されません。

閉塞性動脈硬化症

動脈硬化症が起こり、なおかつ主幹動脈などに閉塞が見られ、強い痛みが生じているときは特定疾病となることがあります。症状によっても特定疾病と判断されるかどうかが異なるため注意が必要です。

慢性閉塞性肺疾患

肺気腫などの閉塞性肺疾患があり、気流閉塞が見られる場合は特定疾病と判断されます。65歳未満であっても、介護サービスを利用する際に介護保険が適用されるでしょう。

両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

股関節もしくは両側の膝関節が変形し、運動機能等の低下が見られるときや痛みが強いときは保険適用内と判断されることがあります。ただし、歩行機能などの検査が必要です。

特定疾病によって介護保険が利用できる

特定疾病を患い、要介護状態であると判断された場合は、介護保険の認定申請を行うことで65歳未満であっても介護保険が利用できます。満65歳以上の場合は、介護保険の負担割合は所得によって1割、2割、3割の3種類がありますが、満40歳以上65歳未満の方で特定疾患により要介護状態になった場合は、所得にかかわらず介護保険の負担割合は1割です。そのため、例えば介護サービスの利用料が10,000円の場合は、介護保険が適用されて自己負担額1,000円で利用できます。

所定の症状や状態があるか確認しよう

医師

特定疾病と判断されるためには、上記で紹介した16の疾病に罹患していることに加えて、所定の症状や状態が見られていることが必要です。医療機関を受診して診断を受けたうえで、自治体の介護保険課などに出向き、要介護認定の手続きを行いましょう。

東海林 さおり
看護師
看護師資格修得後、病棟勤務・透析クリニック・精神科で『患者さん一人ひとりに寄り添う看護』の実践を心掛けてきた。また看護師長の経験を活かし現在はナーススーパーバイザーとして看護師からの相談や調整などの看護管理に取り組んでいる。