2021.07.15

初めての方へ|介護保険の基礎知識

最終更新日:2021.07.15

介護保険は社会全体で介護を支えるしくみ

家族

介護保険を利用するのなら、基礎的な知識を身につけておきましょう。介護保険は自治体が運営しており、介護保険法は3年ごとに改正されるという特徴があります。

介護保険は市区町村が運営している

介護保険は、介護をする人やされる人に介護費用の一部を給付する保険制度です。生命保険のように民間の企業が運営しているのではなく、市区町村などの自治体が保険者となり運営を行っていることが特徴です。介護保険が目指しているのは、利用者の自立支援です。利用者が本当に求めているサービスの提供を目指し、給付と負担の関係を明確にした方式が採用されているのも特徴といえるでしょう。なお、加入できるのは40歳以上で、納めた保険料や税金などで給付金が賄われています。

3年ごとに改正される

これまでに、介護保険の内容は幾度となく改正されてきました。3年ごとに見直されることになっているのですが、これにはきちんとした理由があります。現在の日本は少子高齢化が著しく進んでおり、状況も刻々と変わっています。そのときどきにもっとも適したサービスを提供する必要があり、柔軟な対応をするために3年に一度介護保険法が改正されています。介護保険法の改正に合わせ、介護保険の内容も見直されているのです。

被保険者は2種類に分かれる

第一号被保険者と、第2号被保険者に分けられます。第一号被保険者とは、65歳以上の方で要介護、要支援状態である方を指し、第2号被保険者は、40歳以上で特定疾患の診断を受けた方を指します。

40歳になったら保険料を納める

介護保険は、誰もが利用できる制度ではありません。被保険者となれるのは、介護保険料をきちんと納めている方が対象です。40歳以上の方に負担義務が発生するため、40歳になったら保険料を支払わなくてはなりません。また、介護保険が適用されるには、一定の条件をクリアする必要もあります。第1号被保険者と第2号被保険者に分けられ、それぞれサービスを利用できる条件や年齢が異なることも覚えておきましょう。

サービスの対象は原則65歳以上

第1号被保険者は、65歳以上で要介護、要支援状態であることがサービスを利用できる条件です。第2号被保険者は、40~64歳の方を対象としており、特定疾患と診断されていることが条件です。なお、特定疾患とは、末期がんやアルツハイマー病、脊髄小脳変性症、脊柱管狭窄症、骨折を伴う骨粗しょう症などが該当します。40歳からでも介護保険のサービスを受けることは可能ですが、原則としては65歳以上です。ただ、先ほどもお伝えしたように、65歳以上で日常生活における支援が必要な方に対し、保険が適用されます。

介護保険のサービスには様々な種類がある

夫婦

介護保険のサービスには、自宅で受けられるものや施設に入所して受けられるものなどがあります。また、要介護状態により2つの給付があることも覚えておきましょう。まずは自宅で受けるか施設に入所するかで選ぶ。介護保険法により、介護サービスは大きく3つに分類されています。居宅サービスと地域密着型サービス、施設サービスが該当し、これらの中からマッチするものを選ぶ必要があります。居宅サービスは、訪問サービスや通所サービス、短期入所サービスなどが代表的です。施設サービスの場合、介護保険施設に入所し、専属のスタッフたちからサービスを受けます。自宅と施設、どちらにもメリットとデメリットがあるため、選ぶ際にはどちらも理解しておく必要があります。

要介護状態により2つの給付がある

予防給付と介護給付の2種類があります。予防給付は、まだ介護は必要ないものの、今後要介護状態になるのを回避することを目的に行われる給付です。予防給付の対象になるのは、要支援1~2に該当する方です。介護給付は、要介護状態にある利用者の状態がそれ以上悪くならないよう、現状維持や改善を促すための給付です。給付対象となるのは、要介護1~5の方たちが該当します。

サービスにかかる費用には自己負担がある

介護_サービス

介護保険を利用すれば、さまざまな介護サービスを無料で利用できるわけではありません。自己負担額もあるため覚えておきましょう。自己負担額は所得により変化し、1ヶ月あたりの負担額には上限も定められています。

所得により自己負担割合が変わる

介護保険利用者が負担するのは、全体の1~3割です。なぜ1~3と幅があるのかというと、収入に合わせて自己負担額が変化するからです。収入の多い方ほど自己負担額が多くなる仕組みが採用されています。たとえば、合計所得が340万円以上の方は3割負担となり、280円以上340万円未満では2割負担となります。また、介護保険の給付額には限度額が設けられており、それを超えてしまうと全額自己負担となるため注意が必要です。

1ヶ月の自己負担には上限がある

介護保険で介護サービスを利用し、負担額が一定金額を超えると超過分が払い戻しできます。これを、高額介護サービス費と呼びます。つまり、自己負担の上限を超えた分のお金が戻ってくるのです。高額介護サービス費で払い戻しするには、自治体から送られてくる申請書に記入し、役所の窓口に提出しなくてはなりません。サービスを受けた際の領収書も必要です。

まずは地域包括支援センターへ行こう

家

介護保険の利用にあたり、まずは地域包括支援センターに足を運び相談しましょう。センターでは、相談だけでなく申請の手続きもできます。

地域包括支援センターとは

介護に関係する総合相談や権利擁護、継続的ケアマネジメントなどを業務としている組織です。また、要介護にならないための、介護要望ケアマネジメントにも力を入れています。高齢者や介護を必要とされる方をトータルでサポートする、総合相談窓口との認識で差し支えありません。日本全国に施設があり、対象地域で暮らしている65歳以上の方、支援に関わっている方が利用できます。

最寄の地域包括支援センターを把握する

介護保険証を持っているだけでは、介護サービスは受けられません。サービスを受けるための申請、手続きが必要なのです。ただ、初めて介護に関わる方、介護を受ける方は何から手をつければいいのかわからないでしょう。そのような方のために、地域包括支援センターは存在しています。相談窓口で相談すれば、どのようなサービスが必要なのか、どのように手続きを進めればいいのかも教えてくれます。まず地域包括支援センターへ相談することが、介護サービス利用の第一歩なのです。

介護保険手続きにはマイナンバーが必要

「マイナンバーカードを持っていない」という方もいるかもしれませんが、カードは発行していなくても、国民一人ひとりにマイナンバーは付与されています。手続きでは絶対に必要なため覚えておきましょう。

マイナンバーとは

マイナンバー(制度)とは、日本国内で住民票を持つすべての方に、1つの個人番号(=マイナンバー)が割り振られる制度です。行政手続きの簡略化や、行政サービスの利便性向上などを目指し、マイナンバー制度が施行されました。年金や社会保障の申請を行う際などに、添付書類を付与せずとも行政機関への申請ができるのが主な利点です。マイナンバーは、通知書ですべての国民に郵送されています。重要な数字であるため、通知書やカードの紛失、盗難にはくれぐれも気をつけてください。他人にマイナンバーを教えるのもNGです。

マイナンバーを記入する主な介護保険関連書類

介護保険関連の書類で、マイナンバーが必要となる代表的な書類は以下の通りです。

・介護保険申請書
・介護予防サービス計画作成依頼届出書
・介護保険高額介護サービス費支給申請書
・居宅サービス計画作成依頼届出書
・介護保険負担限度額認定申請書

ほかにもあるものの、代表的な書類としてはこれらが挙げられます。基本的に、これらの書類にはマイナンバーの記載が必要ですが、自治体によっては記載がなくても受理されるケースがあるようです。

増田 高茂
社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者
多くの介護事業所の管理者を歴任。小規模多機能・夜間対応型訪問介護などの立ち上げに携わり、特定施設やサ高住の施設長も務めた。社会保険労務士試験にも合格し、介護保険をはじめ社会保険全般に専門知識を有する。現在は、介護保険のコンプライアンス部門の責任者として、活躍中。