2022.11.10

【専門家が解説】老人ホーム体験入居前の準備や確認事項とは

最終更新日:2022.12.01
増田 高茂
社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者

老人ホームへの入居を検討する中で、「自分に合った施設はどこだろう」「実際に入居して、合わないと感じてしまったらどうしよう」と不安を感じている方もいると思います。老人ホームの体験入居は、見学だけでなく実際に宿泊することができ、施設の設備やサービスを体験できます。また、入居してみてパンフレットや見学のイメージと違うといったギャップを防ぐことができます。こちらの記事では、体験入居についてより詳しく知る為にも、体験入居の流れやチェックポイントについてわかりやすく解説します。

老人ホームの体験入居とは

介護施設を見学をする親子

老人ホームは、施設によって費用やサービス内容がさまざまに異なります。入居してから「こんなはずじゃなかった…」と後悔しないためにも、施設は事前に確認しておくのがおすすめです。体験入居は、多くの老人ホームが取り入れるサービスです。老人ホームの体験入居は、最短で1泊2日、長ければ1週間から3カ月までお試しで老人ホームに入居することができます。実際に宿泊して日常的に老人ホームで提供されているサービスを体験することによって、検討している老人ホームが自分に合うかどうかを確認することができる点が特徴です。

日中活動の様子や食事の内容、施設の設備についてはパンフレット等の資料や見学である程度確認することができます。しかし短時間の見学では、夜間早朝の支援内容や細かいスタッフ対応について知ることは困難です。その点体験入居ができれば、より具体的に施設のサービス内容を確認することができます。いったん入居してから「自分に合わない」と感じても、他の転居先を探すのは非常に大変です。積極的に体験入居を利用してみることが、失敗しない老人ホーム選びのポイントです。

体験入居で様子を見る

有料老人ホームの体験入居は、見学だけでなく実際に宿泊してみて施設の設備やサービスを体験できる貴重な機会です。一日の生活の流れや食事、介護サービスの質など実際に体験しないとわからないこともたくさんあります。また、入居してみてパンフレットや見学のイメージと違うといったギャップを防ぐためにも体験入居が大切です。体験入居で気に入った場合はそのまま契約に進み、イメージと違ったという場合は他の施設を検討しましょう。

体験入居までの流れ

老人ホーム体験入居までの流れ

1.施設見学

体験入居をする場合、まずは希望する施設の入居相談担当者に問い合わせをしてみましょう。まずは施設見学や入居に関する相談を行うことになります。

2.体験入居申し込み

施設によっては、健康診断書と診療情報提供書等の提出を求められる場合があります。これらの書類は、準備するのに1~2週間ほど時間がかかります。そのため、体験入居申し込みをする予定がある方は、早めに準備をしておくと良いでしょう。

3.面談・入居審査

面談・入居審査では、施設入居を希望される方の日常生活の様子や体調面について話します。体験入居をする際、施設への要望がある方は、この際に相談をしましょう。

4.体験入居

体験入居に必要な持ち物を準備し、実際に施設内で過ごします。施設見学だけでは確認できなかったことをチェックできるよう、メモを取ったり、予めチェック項目を用意したりしておくと良いでしょう。

5.契約・入居

体験入居が終わり、「この施設に入居したい!」と思ったら、本入居の手続きを行います。

老人ホームの体験入居の期間と費用

体験入居する場合の利用日数や費用は施設ごとに異なります。利用日数が3日までの施設もあれば、1週間以上の体験入居が可能な施設もあります。また費用面も施設ごとにまちまちです。たいていの施設では1泊4000円~1万5000円程度が一般的な費用ですが、要介護度によって金額が違うこともあります。

老人ホームの体験入居に必要な持ち物

老人ホームの体験入居に必要な持ち物

最低限必要な持ち物は、概ね以下の通りです。

・体験日数分の着替え
・衛生用品(歯ブラシやコップ、入れ歯ケース等)
・普段服薬している薬やお薬手帳
・おむつやティッシュ等の消耗品
・保険証類(医療保険証・診察券・介護保険被保険者証・介護保険負担割合証)
・靴(外用と室内用)
 ※室内用はスリッパより、しっかりと足全体を包み込むものがおすすめです。
・携帯電話及び充電器

老人ホーム体験入居前は、1日の生活をイメージして日用品を準備します。タオルや石鹸など入浴用品は用意されていることが多いので、事前に確認しておくことが大切です。普段服薬している薬は、いつどのタイミングで薬を飲むのか、スタッフに伝えておくと安心できます。インスリン注射のための医療器具などを持参する場合にも、必ず老人ホーム側に相談しておきましょう。

必要な持ち物は、体験入居する施設によって大きく異なります。また、施設の規定によって持ち込みが認められていない物もあります。いざ体験入居が始まってから困らないように、必ず事前に確認するようにしてください。

老人ホームの体験入居でチェックしたいポイント6つ

老人ホームの体験入居でチェックしたいポイント6つ

体験入居はただ宿泊するだけではありません。これから人生の基盤となる場所を決めるための時間です。老人ホームの体験入居でチェックしたいポイントは、施設の環境からサービスまで多岐にわたります。老人ホームの体験入居前で、あらかじめチェックしたいポイントを考えておきましょう。また忘れてしまわないように、事前にチェックしたいポイントについてメモをしておくと安心です。老人ホームの体験入居後、記入した内容は家族と共有し、老人ホーム選びに活かしていきましょう。

介助・介護

老人ホームでは、生活支援や身体介護といったサービスが提供されます。体験入居では、それぞれの満足度についてチェックしておきましょう。大切なのは、あれもこれも手を貸してもらうのではなく、必要な部分を補う介護であるか、そして入居者の安全に留意したものであるかです。毎日健康チェックがなされているか、体調不良の訴えにすぐ応じてくれるかといった点も大切なポイントです。夜間のサービス内容もしっかりと確認しておきたいです。

日常生活のサービス

老人ホームでは、掃除や洗濯、入浴などの日常生活のサービスを受けることが出来ます。これらのサービスはどのくらいの頻度で行われるのかチェックしておきましょう。また、部屋の掃除は隅々まで行われるか、洗濯後の洋服が臭くないかなどもチェックし、衛生面について満足できるかどうかも大切なポイントです。

人間関係

老人ホームに入居すると必ず人間関係の問題が生じてきます。ほかの入居者とうまく付き合っていけそうかどうかも大切なポイントです。レクリエーションなどに積極的に参加をして、ほかの入居者と親しく付き合っていけそうか見極めるとよいでしょう。また、家族もできるだけ一緒に足を運び、入居者の様子を見るようにしましょう。

スタッフ

老人ホームには、介護士や看護師など、数多くのスタッフが働いています。スタッフ同士のかかわりやスタッフと入居者の関わりなどを確認しておくことが大切です。また、スタッフの仕事ぶりや国家資格を持つ人の人数の確認などもチェックしておくと良いでしょう。

食事

体験入居は見学とは違って実際にサービスや食事を受けることができます。味はもちろんのこと、「栄養バランスがとれているか」「嚥下状態に対応した形態か」「どんな食器で出されるか」というのも大切なポイントです。冷たいものは冷たく、温かいものは温かく提供されることは、衛生面にも影響します。体調に合わせ、内容を変更できるのかといった点も確認しておきましょう。

周辺環境や居室

周辺環境や居室でチェックしていただきたいのが、周囲に騒音などが気になる施設はないか、日常的な買い物ができるスーパーや薬局はあるかどうかです。また、長時間過ごす居室のスペースや収納、日当たりもチェックしてください。

老人ホームの体験入居で細かく確認すること

老人ホームの体験入居で細かく確認すること

老人ホームの体験入居の時には、見学では目が届かない小さな設備や環境まで目を配りましょう。例えばトイレの手すりの位置や操作ボタンの使い勝手、ナースコールの場所など使いにくいところがないか、実際に住むことをイメージしてチェックします。また食堂への移動や共有スペースへの経路も一日に何度も使うので確認が必要です。手すりはあるかどうか、転倒防止や衝撃を和らげる工夫があるかどうか確認してください。可能であれば、食事や共有スペースで出会った入居者から話を聞くことも大切です。施設での生活について感想を聞いてみたり、質問してみたりしましょう。施設によって入居者の雰囲気や自立度も違います。自分がそこで生活するイメージができるかどうかが重要です。

身元引受人を決めておく

身元引受人とは?役割とは?

多くの有料老人ホームでは、入居時に身元引受人が求められます。契約の段階になって慌てることがないように、事前に身元引受人は決めておきましょう。身元引受人について紹介します。

身元引受人とは?

老人ホームは高齢者の生活を預かる役割なので、さまざまなリスクやトラブルを想定しなければいけません。身元引受人は施設が責任を追えない事態や、緊急の事態に対応するために立てられます。多くの場合は身元引受人一人ですが、経済的な責任を負う連帯保証人と身元保証のための身元引受人に分けて立てる場合もあります。さらに身元引受人は入居契約時に決定した人から後で変更することも可能です。その際は新しい身元引受人に関する書類を提出します。また身元引受人が死亡した場合などは、新しい身元引受人を立てなければいけません。

身元引受人の役割

身元引受人の役割にはいろいろあります。入退院の手続きのほか、各種支払いや銀行の手続き、年金、保険の手続きを本人に代わっておこなうこともあります。施設でのケアプランや病院での治療方針など、本人に代わる意思決定をおこなうのも身元引受人です。金銭的な連帯保証も行うため、施設での支払いが滞った場合は保証人が債務を負います。身元引受人はケガや事故、緊急搬送された場合などの緊急連絡先でもあります。入居者が退去するときや亡くなった時は身柄を引き取って各種手続き、支払いの清算、私物の引き取りをおこないます。

重要事項説明書の見方

重要事項説明書の見方

有料老人ホームを契約するときに、目を通さなければいけないのが重要事項説明書です。重要事項説明書には、どのような施設なのか、料金プランがどうなっているのか、職員の体制など必要な情報が網羅されています。重要事項説明書は、老人福祉法第29条に基づいて都道府県への提出が義務付けられているため、どの老人ホームでも必ず作成されています。契約段階でなくても閲覧できるので、契約までに時間をかけて目を通しましょう。

事業主体概要

有料老人ホームの事業主体概要は、事業者の主体が誰であるか、事業規模はどの程度あるかを確認するために重要です。また介護付き有料老人ホームの場合は、介護保険事業者としての登録内容が記載されています。事業主体概要には住まいの概要としてホームの名称や所在地、事業開始年月日なども記載されています。ホームの類型も記されていますが、一つのホームで複数の類型を持つ場合もあります。ホームページのアドレスも記載されているので見ておくと良いでしょう。

施設概要

施設概要からは建物の概要とサービスの概要が書かれています。入居する建物の規模や構造、所有関係記載されているほか、居室の使用や共用施設も記載されています。一般居室や介護居室の区分けもチェックしてください。サービスの概要からは施設の運営方針と提供しているサービスの内容が記載されています。また外部委託のサービスの場合はそれも記載されるので、ホーム職員がサービスを提供しているのか、外部委託なのか確認します。生活スタイルや生きがいに合った共用施設やサービスがあるかを確認してください。医療連携の有無や外部協陸医療機関も重要な情報です。救急車の手配や入退院の付き添い、通院介助がおこなわれているかも確認してください。

職員に関する事項

重要事項説明書にはホームに従事している職員の職種と人数の内訳がわかります。また利用者1人に対する介護、看護職員比率を常勤換算で記載されています。常勤の人がどれだけいるか、職員の採用時期や退職者数、経験年数なども確認できます。長期勤務している人が少ない場合などは、運営状態に問題がある可能性もあるので注意してください。

サービスの内容

有料老人ホームでは住まう権利の種類や利用料金の支払い方法なども重要です。食費、管理費など月払い費用の具体的なルールが記載されているほか、利用料金プランも書かれています。入居者の年齢や要介護状態に合わせて、さまざまなプランがあるホームもあります。個別機能訓練加算や夜間看護看取り加算、といった加算の有無がわかります。入居時点で必要な費用、月にいくらかかるのか、入居してからの基本的な費用の目安がイメージできるでしょう。本人と家族で確認しておくようにおすすめします。

体験入居を利用して、家族に合った施設を選ぼう

老人ホームの体験入居をする男性

老人ホーム選びのポイントは、本人や家族が納得して入居できる施設をいかに見つけられるか、という点にあります。まずは数か所をピックアップしてパンフレットや見学などで検討しましょう。体験入居はその後、契約前の最終確認として利用することが基本です。老人ホームの体験入居では、パンレットや見学ではわからない施設の情報を確認できます。

体験入居の際は、事前に確認するポイントをリストアップしておき、老人ホームで過ごすご家族をイメージしながらチェックしていくことです。特に居室内設備の使い勝手や施設利用者・職員の雰囲気、入居者の満足度などを確認することが重要です。情報が多すぎて迷ってしまわないよう、自分が重要視したい条件をおさえておくことも大切です。家族もなるべく老人ホームを訪問し、滞在中の本人の様子を確認しておきたいですね。体験入居を活用し、より良い老人ホーム選びに活かしていきましょう。

増田 高茂
社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者

多くの介護事業所の管理者を歴任。小規模多機能・夜間対応型訪問介護などの立ち上げに携わり、特定施設やサ高住の施設長も務めた。社会保険労務士試験にも合格し、介護保険をはじめ社会保険全般に専門知識を有する。現在は、介護保険のコンプライアンス部門の責任者として、活躍中。