2021.10.25

前立腺肥大症とは?症状や予防方法|高齢者の病気 腎臓・泌尿器系

最終更新日:2021.10.25

前立腺肥大症は、高齢男性にしばしば見られる病気のひとつです。50歳を超えると年齢を重ねるほどに罹患率が高くなるとされ、治療を必要としない軽度のケースも含めると少なからず発症しています。前立腺肥大症の症状や予防方法について見ていきましょう。

男性特有の病気

男性の手

前立腺とは、膀胱から尿道につながる部分にある男性のみにある生殖器官のひとつです。尿道を取り囲む形で、射精や排尿を調節したり前立腺液をつくったりといった働きをしています。前立腺肥大症は、その名の通り、前立腺が肥大する病気です。前立腺は尿道を取り囲んでいるため、肥大すると尿が出にくくなったり、夜間に何度も目覚めるほどの頻尿になったりすることがあります。一方、前立腺がんとは、前立腺にがん細胞が生じることです。前立腺肥大症から前立腺がんが生じることはありませんが、前立腺がんにより、前立腺が肥大し、前立腺肥大症と発展することはあります。

前立腺肥大症

前立腺が肥大する原因については、まだはっきりとしたことは分かっていません。一般的には、年齢を重ねるごとに発症率が高くなることから、年齢によって男性ホルモンの量やバランスに変化が生じることと関係があるのではと考えられています。また、肥満や脂質異常症、高血圧などの生活習慣病とも関係があると見られているため、バランスの取れた食事を摂ることや適度に運動習慣を身につけることなども前立腺肥大症の予防につながると考えられるでしょう。

前立腺がん

前立腺の細胞ががん化する原因についても、まだはっきりとは分かっていません。しかし、前立腺肥大症と同様、高齢者の発症が多いため、年齢によって男性ホルモンのバランスなどに変化が生じることや、加齢そのものが関連するのではと考えられています。また、遺伝的な要因も原因として指摘されることが少なくありません。例えば親や兄弟などの遺伝的に近い人に前立腺がんに罹患したことがある人がいる場合は、前立腺がんになるリスクが高くなっています。その他にも、食事との関連も指摘されることがあります。食生活が欧米化したことで前立腺がんが増えているとも考えられるので普段から注意する必要があるでしょう。

それぞれの病気の症状

病院の待合室の椅子

前立腺は体内にある器官のため、外部からは異常に気付きにくいという特徴があります。しかし、いくつかの症状によって、前立腺肥大症や前立腺がんの発症を早期に気付けることもあるでしょう。

前立腺肥大症

前立腺肥大症に罹患すると尿道が圧迫されるため、排尿に関する症状が見られることがあります。初期の頃には頻尿になり、日中や夜間を問わず何度もトイレに行きたくなることがあるでしょう。また、尿が少量ずつしか出ず、出し切るまでに時間がかかるようになることもあります。肥大症が悪化すると、尿がなかなか出なくなるケースも少なくありません。腹部に力を入れても出ない、尿意を感じているのになかなか出ない、また、尿を出し切ったはずなのにちょろちょろと細く出続けることもあります。さらに症状が悪化すると、頻尿が深刻になったり排尿にかかる時間がいっそう長くなったりするかもしれません。場合によっては尿が出なくなる「尿閉」状態になることがあるでしょう。その他にも、突然かつ強い尿意が起こったり、トイレが間に合わずに失禁したりすることもあります。

前立腺がん

前立腺肥大症では尿道が圧迫されるため、尿意や尿の出といった比較的分かりやすい形で症状が出る傾向にあります。しかし、前立腺がんは早期では尿道を圧迫することがないため、自覚症状として何かを感じることはあまりありません。徐々にがんが進行するとがん化した部分が大きくなり尿道を圧迫するため、前立腺肥大症と同様に、頻尿や尿の出にくさ、尿の切れの悪さといった症状が出ることがあります。また、排尿時に痛みが生じたり、尿に血が混ざる、あるいは精液に血が混ざったりすることもあるでしょう。前立腺がんは転移の可能性もあります。リンパ節や骨に転移し、痛みや麻痺などが生じることもあるでしょう。

前立腺肥大症の前兆の見極め

トイレ

前立腺肥大症が進行すると、尿閉や我慢できないほどの強い尿意が突発的に生じることもあります。できるだけ早期に察知して、医療機関を受診するようにしましょう。次のような前兆が表れたときは、前立腺肥大症の可能性を疑うことができるかもしれません。

● トイレの回数が増えた
● 夜間に尿意を感じて目が覚めることが増えた
● 尿がすっきりと出ない、残尿感がある
● 尿が出切るまでに時間がかかる、トイレの時間が長くなった

前立腺肥大症の予防

体操をする男性

前立腺を圧迫する姿勢を長時間取り続けることで、前立腺肥大症にかかるリスクが高くなることがあります。例えば座っている姿勢が長すぎる場合は、前立腺に負荷をかけていると考えられるでしょう。適度に立ち上がって屈伸運動やストレッチなどをするようにしてください。また、適度な運動も前立腺肥大症の予防につながることがあります。ウォーキングやストレッチなどの軽い運動を毎日行う習慣を身につけましょう。前立腺肥大症を発症すると尿意を感じることが増えますが、だからといって水分を控えてしまうと、腎機能が低下し、尿路感染等の発症リスクを高めることになります。適度に水分を摂取し、腎機能が低下しないように注意しましょう。入浴により血行を良くすることでも、前立腺肥大症の予防につながることがあります。ただし、長時間入浴すると心臓に負担をかけることがあるため、下半身だけ浴槽に浸かるほうが良いでしょう。脂肪分やタンパク質が多い欧米型の食生活は、前立腺肥大症を発症するリスクを高めます。食物繊維を含む野菜を多く摂るように心がけ、バランスの取れた食事を楽しむようにしましょう。

前立腺肥大症の治療

処方箋と薬

症状が進行していないときは薬物治療を行うことが一般的です。症状が進み、薬物治療ではあまり効果が見られないときは、内視鏡や開腹による手術を行うこともあります。ただし、患者の状態によっては早期の治療は行わず、経過観察をすることが一般的です。

早期発見、早期治療が大切

笑顔の男性

前立腺肥大症は尿意や尿の出方に症状が表れるため、早期に気付きやすい疾患です。一方、前立腺がんは初期には自覚症状がないことも多く、早期発見が難しい傾向にあります。尿意の異常や腹部の痛みがあるときは、自己判断せずに医療機関を受診することで早めに治療方針を立てられるようにしましょう。

東海林 さおり
看護師
看護師資格修得後、病棟勤務・透析クリニック・精神科で『患者さん一人ひとりに寄り添う看護』の実践を心掛けてきた。また看護師長の経験を活かし現在はナーススーパーバイザーとして看護師からの相談や調整などの看護管理に取り組んでいる。