2021.11.04

フレイルとは、フレイル・サイクルの原因と改善方法・予防を解説

最終更新日:2022.06.22
増田 高茂
社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者

フレイルとは、高齢になることで心と体の両方が衰えること、あるいは虚弱状態になることを意味する言葉です。心身ともに衰えた状態から、身体がつらいから動かない、動かないから体力がさらに衰えるといった悪循環「フレイル・サイクル」が見られることもあります。なぜ悪循環が起こるのか、また、改善と予防の方法について見ていきましょう。

フレイルとは

高齢女性の膝の痛み

フレイルとは英語で虚弱を意味する「frailty」を由来とする言葉で、高齢になって心身が衰えた状態を指しています。フレイル自体は病気ではありません。しかし、フレイルは健康な状態と介護が必要な状態の中間にあると考えられており、何もしないで放置すると要介護状態(フレイル・サイクル)に進むことがあります。反対に意識的に健康的な生活を心がけると、元の健康な状態に戻ることも少なくありません。次のチェックリストの3つ以上に該当するときはフレイル、1つないし2つに該当するときはフレイルの前段階と考えられます。

● ダイエットや病気ではないのに体重が減少した
● 疲れやすい、行動することが面倒だと感じる
● 歩行速度が低下している
● 握力が低下している
● 活動量が減っている

フレイル・サイクルとは

体重計

フレイル・サイクルとは、高齢になったことから筋量が減少し、それに伴って活動量が減り、食事量が減り、低栄養になって体重と筋量が減り、と悪循環が続くことです。フレイル・サイクルに陥ると、フレイルの状態から要介護状態になってしまう恐れもあります。フレイル・サイクルが起こる3大要因について詳しく見ていきましょう。

筋力(SMI)の低下

筋肉の合計量を身長の2乗で割った数値をSMI(骨格筋量指数)と呼び、いわゆる筋力を指します。SMIの数値が低下すると「サルコペニア」と呼ばれる状態になり、基礎代謝量が衰えて食欲が落ち、さらに筋量が減るという悪循環に陥りかねません。また、サルコペニアになると骨密度が低くなり、骨がもろくなることが多いという研究結果もあります。SMIが低下しないためにも、しっかりとタンパク質を摂取し、運動することが大切です。

低栄養

体を動かすために必要な栄養を取れていない状態を低栄養といいます。体をあまり動かしていないと食欲がわかず、生きていくために必要なエネルギーを取らず、低栄養になってしまうことが少なくありません。また高齢者は、体を動かしてはいても食欲がわかないことや噛む力が弱くなったために食事を減らすようになることもあります。意識してしっかりと食べる習慣をつける必要があるでしょう。低栄養になると体重が減少するだけでなく、元気がなくなったり、免疫力が衰えて風邪などにかかりやすくなったりします。また、病気をしても治りにくくなるというのも、低栄養の特徴のひとつです。

社会的孤立

社会とのつながりがないことを「社会的孤立」といいます。定年退職した後は、「仕事」という社会的つながりがなくなるため、友人づきあいや、趣味サークル、ボランティア活動などをしない方は、社会的に孤立してしまうことも少なくありません。社会的なつながりがないと外に出る機会が減るので、筋力の低下や低栄養につながることもあります。一人暮らしでなおかつ社会的に孤立している場合は、会話をする相手がいないため、気分が落ち込みやすくなる可能性もあるでしょう。積極的に社会とつながり、生き生きとした生活を楽しむように心がけていく必要があります。

3大要因以外のリスク

薬

フレイル・サイクルに陥る理由は3大要因だけではありません。身近なところにもリスクがあり、フレイル・サイクルに陥る可能性があるのです。

薬の服用

病気を治すための薬が、フレイルの原因になることもあるので注意が必要です。例えば血圧を下げる降圧剤は、ふらつきの原因になることもあります。ふらついてケガをして自宅療養になったことがきっかけで、運動量が減り、筋量低下が始まることもあるでしょう。中枢系の降圧剤や副腎皮質ステロイドにより、抑うつ状態になり、社会的な関わりを断って家に引きこもり、運動量と筋量の低下が始まることもあります。

口腔機能の低下

加齢とともに口腔機能も衰えます。硬いものが食べにくくなったり、口の中が渇いたような違和感を覚えたりすることで、食事が楽しくなくなってしまうこともあるでしょう。食事量が減るとエネルギー量が不足して元気がなくなり、運動量と筋力低下が引き起こされることもあります。また、肉などのタンパク質の摂取量が減りり、さらに筋力が衰えることもあるでしょう。

フレイルは改善できる

ストレッチをする男性

フレイルは健康な状態と介護が必要な状態の中間に位置します。フレイルになったものの悪化せずにフレイルの状態を維持している人や、フレイルから健常に戻った人も少なくありません。フレイルチェックに該当したとしても諦めず、健康を取り戻すように意識していきましょう。フレイルから健常に戻った人の生活習慣に見られる特徴をいくつか紹介します。ぜひ実施して、フレイルから健康な状態になるため、また、健康な状態からより健康な状態になるための努力を始めていきましょう。

● 持病を悪化させないために、定期的に通院する
● インフルエンザなどの感染症の予防対策をする
● 毎日運動する習慣を身につける
● 規則正しく栄養バランスの取れた食事を心がける
● 口腔ケアをする。定期的に歯科医院で虫歯チェックなどのメンテナンスも受ける
● 友人と積極的に会ったり趣味活動のサークルに入ったりと、外出する機会を増やす
● 家族や家族以外と食事を楽しむ

フレイルを予防するためには

笑顔で散歩をする男性

運動をする習慣を身につけることや栄養バランスの取れた食事をしっかりと食べること、病気やケガをしないように注意して生活することでフレイルを予防できるでしょう。フレイルになると運動量の低下から筋量低下、食欲低下、低栄養の悪循環が起こってしまいます。また、フレイルになったとしても、健常な状態に戻ることは可能です。心身ともに健康な生活を目指し、社会的に孤立しないように意識することで、健康な状態を取り戻しましょう。

増田 高茂
社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者

多くの介護事業所の管理者を歴任。小規模多機能・夜間対応型訪問介護などの立ち上げに携わり、特定施設やサ高住の施設長も務めた。社会保険労務士試験にも合格し、介護保険をはじめ社会保険全般に専門知識を有する。現在は、介護保険のコンプライアンス部門の責任者として、活躍中。