親の介護にお悩みの方必見!仕事・お金・兄弟…よくあるお悩みと解決法の紹介
40代、50代となると、親の介護が現実的な問題として迫ってきます。仕事と介護を両立できるのか、また介護を始めることで生活がどのように変化するのか、介護の負担を軽減する制度にはどのようなものがあるのかなど気になるポイントを集めてみました。
目次
親の介護は誰が行うべきなのか
介護が必要になるのは、両親の年齢がある程度高齢になってからのことが多いです。配偶者も高齢で介護ができないこともあるため、子どもが介護を行うことが一般的と捉えられてしまうのでしょう。また、民法にも、直系の家族(祖父母・親・子・孫など)や兄弟姉妹は扶養していくことが定められています。親が困っているときは、子、場合によっては孫が介護を行い、お互いが幸せに生活できる方法を探っていきましょう。
親の介護を行わないとどうなるのか
親の介護をしないと民法に反することになりますが、何かの懲罰があるわけではありません。しかし、介護をしなかったことで傷害を負ったもしくは死亡したなどとなった場合は別です。扶養・扶助の義務があるのに放置をしたということになり、刑罰の対象になることもあります。とはいえ、多くの方は「罰せられるのは嫌だから」といった理由ではなく、「大切な親だから」という理由で介護を始めるでしょう。しかし、親のためにと思って始めた介護であっても、毎日続くと体力的にも精神的にも負担は大きいものです。「なぜ自分だけ介護をしなくてはいけないのだろう」「兄弟間で介護負担に差があり過ぎる」と不満に感じることがあります。自分以外にも介護を行う義務がある人がいる場合は、必ず事前に話し合い、経済的にも時間的にも負担が偏らないようにしましょう。曜日ごとに介護担当者を決めたり、介護できる日が少ない人は費用を負担したりできます。また、誰かが介護のために離職をしなくてはいけない場合は、そのほかの家族が減った収入の一部を補うようにすることもできるでしょう。親の介護のために兄弟仲が悪くなってしまったり、疎遠になってしまったりしないように、介護の最初の瞬間から負担分担を決めておくことが大切です。
親の介護が必要になりそうな時に何をするか
病院に行く機会が増えた、軽度認知障害などの診断を受けたなど、そう遠くない将来に介護が始まりそうだと予想されるときは、介護をスムーズに進めるためにも次の3点を確認しておきましょう。また、脳卒中などの病気により突然介護が始まることもあるので、親が元気で介護の必要がなさそうな場合でも、できれば早いうちに次の3点を確認しておいてください。
親の病状の確認
これからどのような状態になる可能性があるのか知るためにも、親の病状を詳しく確認することが必要です。通院している場合は一緒にかかりつけ医に会いに行き、どのような病状なのか、これから何に注意する必要があるのか尋ねておきましょう。万が一のときにスムーズに対応するためにも、かかりつけ医や通っているすべての医療機関を把握し、ノートなどにまとめておきます。緊急時に対応できるように、健康保険証や介護保険証、診察券などの置き場所も尋ねておきましょう。
親の財布・通帳等の確認
介護にはお金がかかります。「たとえ親であってもお金のことは聞きにくい」と放置していると、いざ介護が始まったときに対応しづらくなることがあるかもしれません。介護費用に毎月どれくらいを使えるのか、常時介護が必要になった場合は施設に入所することを検討しているのか、また、施設への入所が可能な程度のお金があるのか詳しく尋ねておきましょう。当座の費用を出すためにも、財布や通帳等を確認することも忘れてはいけません。認知症になって置き場が分からなくなることも想定されるので、元気なうちに尋ねておいてください。
介護保険を利用するための手続きを確認
満65歳になると自治体から介護保険証が郵送されますが、保険証を持っているだけでは介護保険を利用することはできません。介護保険を利用して在宅介護やデイサービスなどの介護サービスを受けたり、介護福祉用品のレンタルや買取を行ったりするためには、「介護認定」を受ける必要があります。介護認定は自治体の介護保険窓口に申請書を出し、調査に通過した場合のみ受けることが可能です。介護を必要としているのに介護認定を受けていない場合は、まずは自治体に相談しておきましょう。介護認定を受けるためには通常1か月ほどかかります。介護サービスが必要なときにスムーズに手続きをするためにも、親の状態をこまめにチェックし、必要に応じて認定を申請しましょう。
親の介護が仕事に与える影響
介護と仕事を両立できずに、介護離職をする方もいます。再就職が難しいケースもありますので、介護休暇や介護休業などの制度を活用してできるだけ離職しないように調整していきましょう。また、リモートワークや短縮勤務により両立できることもあります。家族と話し合いながら、介護計画を立てていきましょう。
親の介護を会社に伝えるべきか
親の介護を会社に報告することで、休暇や休業を取得しやすくなることがあります。しかし、会社によっては、介護への理解を得られず、閑職に追いやられる可能性もないとはいえません。今まで介護をしたことがある同僚などに相談し、ストレートに伝えるべきか考えていきましょう。
親の介護をするための各種制度について
仕事と介護を両立する方法のひとつに、介護休業と介護休暇があります。それぞれどのような制度が見ていきましょう。
介護休業
介護が必要な家族1人に対して最大3回、合計93日まで休業を取得できる制度です。休業中は給付金を受給できるので、経済的にもある程度保証されながら介護を続けることができるでしょう。
介護休暇
介護が必要な家族1人に対して年に5日まで、介護を必要とする家族が2人以上いる場合は年に10日まで休暇を取得できる制度です。1日だけ、1時間だけといった休暇も可能なので、病院への付き添いなどに利用できます。ただし、介護休業とは異なり給付金はありません。会社によって休暇中に手当が支給されるかが異なるので、事前に確認しておきましょう。
親の介護について
親の介護は突然始まることがあります。慌てずに対応するためにも、親の病状や経済的な状況、介護の手続きなどについて元気なうちから確認しておくようにしましょう。また、介護をどのように家族で分担するか話し合っておくことも大切です。特定の人に身体的あるいは経済的な負担が偏らないためにも、不公平感がないように分担しておきましょう。
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多くの介護事業所の管理者を歴任。小規模多機能・夜間対応型訪問介護などの立ち上げに携わり、特定施設やサ高住の施設長も務めた。社会保険労務士試験にも合格し、介護保険をはじめ社会保険全般に専門知識を有する。現在は、介護保険のコンプライアンス部門の責任者として、活躍中。