2021.11.26

親が突然倒れてしまった!2 退院後の対応や要介護認定の申請について

最終更新日:2021.11.26

親が突然倒れ入院生活が始まったら、退院後に向けた生活設計をしなくてはなりません。親の身体状況によっては、介護が必要になる場合もあります。介護サービスの利用には申請手続きが必要なため、親が元気なうちに申請の流れを理解しておくことが大切です。今回は、退院後の対応や要介護認定の申請方法について解説します。

親の退院後に備えた準備

病院のベッド

親の突然の入院は、慌ただしく気持ちも動揺するものです。病状を見ながら、退院に向けた備えもしなくてはいけません。なぜならば退院は思いのほか、早い時期にやってくる可能性もあるからです。退院の時期はあくまでも医師の判断によるものですが、一般病床での治療はおおむね3ヵ月で終了し、退院を促されます。一般病床は、急性期症状の患者が入院する病床です。一般病床での治療は、入院して3ヵ月経過すると終了したとみなされ、診療報酬制度が変化します。治療や検査は制限され、一般病床は退院となります。

3ヵ月ルールについて

一般病床入院後、3ヵ月たつと退院を促される「3ヵ月ルール」には、以下の2種類の診療報酬制度の違いが関係しています。

● 出来高方式
● 包括評価方式

「出来高方式」は、入院中の診療行為ごとに医療費を計算するものです。検査や投薬、診療など、そのつど行った治療に対し医療費が計上されます。一方「包括評価方式」は、1日あたりの定額料金を基本に医療費を計算します。つまり、検査や投薬、処置といったすべてを包括して入院費を請求するのです。「出来高方式」に比べ、「包括評価方式」の診療点数は低くなります。その理由は病院側にとっては利益が少なく、検査や治療を制限せざるを得なくなるからです。そのため、一般病床は入院から3ヵ月経過すると退院となります。一般病床での急性期治療後は療養型病床へ移るケースもありますが、療養型病床はあくまで長期療養が目的であり、一般病床のような検査や治療はできないという特徴があります。

親の退院後、だれに相談すれば?

悩む女性

退院後の生活は、入院中であれば病院の医療ソーシャルワーカーに相談できます。高齢者は入院すると、身体状況が変化する可能性があります。入院をきっかけに認知症を発症し、変わっていく親の姿に不安になることもあるでしょう。退院後、どのように生活すればよいのか悩みを抱えることもあるかもしれません。医療ソーシャルワーカーは、そのようなときに家族をサポートしてくれるスタッフです。医療機関における福祉の専門職であるソーシャルワーカーは、病気になった患者だけでなく、家族の生活をトータルサポートします。患者と医療、社会資源の架け橋となり、退院後に必要なサービスをともに検討することも可能です。入退院の調整や、自宅の環境整備まで幅広い分野を担当します。また、退院後に在宅生活を送るのであれば、主治医や看護師に相談することも大切です。症状や家族の状況によっては、訪問診療や訪問介護の利用を検討する必要もあるでしょう。介護が必要な場合は、地域包括支援センターの窓口に相談します。地域包括支援センターは、介護や医療、保健福祉といったさまざまな側面から高齢者をサポートする機関です。相談対象となるのは、地域包括支援センターの居住地に住む高齢者です。遠方の家族の介護を検討する場合は、親の居住地を担当する地域包括支援センターが相談窓口になることもあわせて覚えておきましょう。

介護保険制度について

介護保険

介護保険制度は、介護が必要になった人を社会全体で支える仕組みのことです。施設や在宅での介護サービスや住宅改修といった、さまざまなサービスを利用できます。利用時の自己負担は原則1割ですが、所得に応じて2割または3割になる場合もあります。サービスを受けられる被保険者は、原則として65歳以上の第1号被保険者です。老化に起因する特定疾病がある場合は、40歳から64歳までの第2被保険者も利用できます。介護保険で受けられるサービスの幅は広く、以下の3つの視点から高齢者の生活をサポートします。

● 訪問介護サービス
● 通所介護サービス
● 入所介護サービス

訪問介護サービスは、訪問介護員が高齢者の居宅を訪問し、調理や洗濯といった生活支援や身体介護をするサービスです。ひとり暮らしの高齢者だけでなく、家族と暮らす高齢者も利用できます。また、通所介護サービスには、居宅から施設への送迎サービスが含まれています。デイサービスと呼ばれる通所介護施設は、日中に通う高齢者に対し、食事や入浴サービスのほかレクリエーションを提供する施設です。入所介護サービスでは、24時間体制で高齢者の生活を支援します。近年は、高齢者の看取りの場となるケースも多い施設です。短期間だけ利用するものや3つのサービスを組み合わせたものなど、介護サービスにはさまざまな種類があります。本人と介護者、それぞれの環境に応じたプランを検討していきましょう。

医療保険と介護保険の違い

女性

医療保険は、病気やケガによる医療費を負担するものです。一方、介護保険は介護サービスに必要な資金を提供します。医療保険は国民皆保険制度のため、原則として国民全員が加入します。介護保険は、満40歳以上になると加入する保険制度です。どちらも公的な保険制度ですが、介護保険制度を利用するには、自らが申請する必要があります。そのため、退院時に介護保険サービスの利用を検討している場合は、入院時から手続きを始めるのがおすすめです。具体的な手続き方法は、以下の項で紹介していきます。

退院後に介護保険サービスを利用するには

介護保険

介護保険制度を利用するためには、利用申請をする必要があります。申請先は、居住する市町村の役所や地域包括支援センターの窓口です。本人の体調が悪く窓口に行けない場合は、家族が代理申請することも可能です。申請後は認定調査により、本人がどの程度介護が必要な状態かを判断します。認定調査では、ケアマネジャーが自宅を訪問し、申請者の心身の状況を確認します。入院中であれば、病院を訪問してもらうことも可能です。コンピューターの一次判定と介護認定審査会の二次判定結果を受け、介護度は決定します。要支援1または2、要介護1から5と段階があり、介護度によって利用できるサービス内容は異なります。

あらかじめ親の介護について考えておこう

手

いつかはと考えていても、高齢者の介護はある日突然始まるものです。入院は、その大きなきっかけのひとつでもあります。いつか来る介護に備え、入院に必要な手続きとともに、介護に関する知識を備えておくのは大切なことです。親が元気なうちに、介護保険の利用法やサービス内容について理解を深めておきましょう。

増田 高茂
社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者
多くの介護事業所の管理者を歴任。小規模多機能・夜間対応型訪問介護などの立ち上げに携わり、特定施設やサ高住の施設長も務めた。社会保険労務士試験にも合格し、介護保険をはじめ社会保険全般に専門知識を有する。現在は、介護保険のコンプライアンス部門の責任者として、活躍中。